なぜ側頭葉?単純ヘルペス脳炎の好発部位を解剖学から読み解く
看護師国家試験 第115回 午後 第30問
国試問題にチャレンジ
成人の単純ヘルペスウイルスによる脳炎の好発部位はどれか。
- 1.小脳
- 2.後頭葉
- 3.側頭葉
- 4.頭頂葉
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
成人の単純ヘルペス脳炎が「側頭葉」を中心とした辺縁系に病変を作りやすいという、解剖学的な特徴と臨床症状の対応を理解しているかを問う問題。HSV-1の潜伏部位(三叉神経節)と進展経路から好発部位が決まる点がポイント。
解答・解説
正解は3です
問題文:成人の単純ヘルペスウイルスによる脳炎の好発部位はどれか。
解説:正解は 3 です。単純ヘルペスウイルス(HSV)脳炎は、成人ではほとんどがHSV-1の再活性化によって生じ、ウイルスが嗅神経や三叉神経の神経節から中枢神経へと逆行性に進展するため、解剖学的に近い側頭葉内側部(海馬・扁桃体・帯状回など辺縁系)および前頭葉眼窩面に出血性・壊死性の病変を作りやすい。このため画像所見(MRI拡散強調像やFLAIR)でも側頭葉内側の高信号が特徴的で、発熱・意識障害・けいれん・人格変化・健忘などの症状が出現する。
選択肢考察
- ×1. 小脳
小脳は単純ヘルペス脳炎の好発部位ではない。小脳に病変を生じる脳炎としては、小児のVZV(水痘・帯状疱疹ウイルス)感染後の急性小脳失調症などが知られる。
- ×2. 後頭葉
後頭葉は単純ヘルペス脳炎の典型的な病変部位ではない。後頭葉病変では同名半盲などの視覚野症状が出るが、HSV脳炎の主症状とは一致しない。
- ○3. 側頭葉
正解。HSV-1は三叉神経節などに潜伏し、再活性化すると嗅神経路や三叉神経路を介して側頭葉内側(海馬・扁桃体)や前頭葉眼窩面に進展しやすい。辺縁系を侵すため、記憶障害・人格変化・幻覚・側頭葉てんかんなど特徴的な症状を呈する。
- ×4. 頭頂葉
頭頂葉はHSV脳炎の好発部位ではない。頭頂葉病変では失認・失行などの高次脳機能障害が生じるが、HSV脳炎ではまず側頭葉・前頭葉症状が前景に立つ。
単純ヘルペス脳炎は無治療では致死率70%以上に達する重篤な疾患であるが、抗ウイルス薬アシクロビルの静脈内投与を早期に開始すれば予後を大きく改善できるため、疑った時点で確定診断を待たずに治療を始めるのが原則である。診断には髄液PCR(HSV-DNA検出)が最も感度・特異度が高く、MRIでは側頭葉内側〜前頭葉眼窩面の浮腫性病変や出血性変化が、脳波では側頭部優位の周期性一側性てんかん型放電(PLEDs)がヒントとなる。看護では、けいれん発作の観察と安全確保、意識レベルや瞳孔・バイタルの厳重なモニタリング、後遺症としての記憶障害や人格変化に対する長期的なリハビリ支援が重要である。
成人の単純ヘルペス脳炎が「側頭葉」を中心とした辺縁系に病変を作りやすいという、解剖学的な特徴と臨床症状の対応を理解しているかを問う問題。HSV-1の潜伏部位(三叉神経節)と進展経路から好発部位が決まる点がポイント。
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