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AEDも立派な病院前救護!救急医療体制の全体像をつかもう

看護師国家試験 第115午後32

国試問題にチャレンジ

115午後32

救急医療に関する記述で正しいのはどれか。

  1. 1.救急医療情報センターは国が整備する。
  2. 2.救急搬送の約8割が軽傷・中等症患者である。
  3. 3.都道府県の健康増進計画に救急医療の連携が記載されている。
  4. 4.一般住民による自動体外式除細動器〈AED〉の使用はプレホスピタルケア〈病院前救護〉に該当する。

対話形式の解説

博士博士
今回は救急医療がテーマじゃ。看護師国試では毎年のように出る重要分野じゃから、しっかり整理しておこうぞ。
サクラサクラ
救急医療って、救急車が来てから始まるイメージなんですが、実はもっと前から始まっているんですよね?
博士博士
鋭いのう。医療機関に到着するまでに現場で行われる救命処置を「プレホスピタルケア」、つまり病院前救護と呼ぶのじゃ。救急救命士の処置だけでなく、その場に居合わせた一般市民による胸骨圧迫やAEDの使用もここに含まれるぞ。
サクラサクラ
え、AEDって医療従事者じゃない普通の人が使ってもいいんでしたっけ?
博士博士
もちろんじゃ。日本では2004年7月から、医師や救急救命士でなくとも一般市民がAEDを使用できるようになったのじゃ。駅、学校、空港、コンビニなどに設置が広がっておるじゃろう?
サクラサクラ
確かに最近よく見かけます。でも、なんでそんなに急いで除細動しないといけないんですか?
博士博士
心室細動などの致死的不整脈による心停止では、除細動までの時間が1分遅れるごとに救命率が約7〜10%低下すると言われておる。救急車の到着を待っていたのでは間に合わないこともある。だからこそ市民の手で行うAED使用が「救命の連鎖」の中核なのじゃ。
サクラサクラ
救命の連鎖って、どんな要素があるんでしたっけ?
博士博士
(1)心停止の予防、(2)早期認識と通報、(3)早期の心肺蘇生、(4)早期の除細動、(5)二次救命処置と心拍再開後のケア の5つじゃ。前半の3〜4つは病院前、つまり市民やバイスタンダーが担う領域なのじゃよ。
サクラサクラ
なるほど!じゃあ問題の他の選択肢も見ていきたいです。「救急医療情報センターは国が整備する」は違うんですよね?
博士博士
その通り。救急医療情報センターは各都道府県が設置・運営しておる。地域の救急医療機関の空床や応需状況をリアルタイムで集約し、救急隊が搬送先を決める際に活用されるのじゃ。国ではなく都道府県、ここは引っかけポイントじゃぞ。
サクラサクラ
「救急医療体制は都道府県の健康増進計画に記載される」というのも違うんですよね?
博士博士
うむ。救急医療体制は、医療法に基づく「医療計画」に記載されるのじゃ。健康増進計画は健康増進法に基づき、生活習慣病対策や健康づくりの目標を定めるもので、目的が全く違う。法律と計画の対応をしっかり区別しておこう。
サクラサクラ
ちなみに救急医療体制って、どう分かれているんですか?
博士博士
良い質問じゃ。初期救急(休日夜間急患センターなど軽症対応)、二次救急(入院や手術が必要な患者に対応、病院群輪番制など)、三次救急(救命救急センターでの重症・重篤患者対応)の三層構造になっておる。これに加えて災害医療、周産期救急、小児救急なども医療計画に位置付けられておるぞ。
サクラサクラ
「救急搬送の約8割が軽症・中等症」という選択肢も微妙でしたね。
博士博士
総務省消防庁のデータでは、軽症と中等症を合わせると確かに多いが、年や地域によって変動するし「約8割」と断定的に表現するのは適切ではない。むしろ「軽症での救急要請が多すぎる」ことが社会問題となっており、♯7119(救急安心センター事業)の整備が進められておる。
サクラサクラ
♯7119って聞いたことあります。電話で相談できるんですよね。
博士博士
そうじゃ。看護師や医師、相談員が電話口で対応し、緊急性の判断や受診先の案内をしてくれる。救急車の適正利用にもつながる仕組みじゃ。看護師国試でも問われたことがあるから覚えておくのじゃぞ。
サクラサクラ
救急医療って、現場の処置だけじゃなくて、社会全体の仕組みなんですね。看護師としても理解しておくべき分野だと感じました。

POINT

病院前救護(プレホスピタルケア)の範囲と、救急医療体制を規定する法律・計画の知識を問う問題。AED使用が市民レベルの病院前救護に含まれることを理解しているかが鍵となる。

解答・解説

正解は4です

問題文:救急医療に関する記述で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。プレホスピタルケア(病院前救護)とは、傷病者が医療機関に到着する前に行われる救命・応急処置全般を指す概念であり、救急隊員や救急救命士による処置だけでなく、その場に居合わせたバイスタンダー(一般市民)による胸骨圧迫や自動体外式除細動器〈AED〉の使用も含まれる。心停止からの社会復帰率は時間との戦いであり、心停止の発生から除細動までの時間が1分遅れるごとに救命率が約7〜10%低下するとされる。そのため、一般住民が現場で躊躇なくAEDを使用できる体制を整えることが、病院前救護の中核を担っている。

選択肢考察

  1. ×1.  救急医療情報センターは国が整備する。

    救急医療情報センターは、各都道府県が地域の実情に応じて設置・運営する仕組みであり、国が直接整備する施設ではない。都道府県内の救急医療機関の応需状況・空床情報・診療科目などを集約し、救急隊や医療機関に提供することで、適切な搬送先選定を支援する役割を担っている。

  2. ×2.  救急搬送の約8割が軽傷・中等症患者である。

    総務省消防庁の救急救助の現況によると、救急搬送患者の傷病程度は軽症がおおむね半数前後、中等症が4割前後で、両者を合わせると確かに大半を占めるが、軽症と中等症を合わせて「約8割」と一律に断定するのは正確とはいえない。年や地域によって構成比は変動する。

  3. ×3.  都道府県の健康増進計画に救急医療の連携が記載されている。

    救急医療の連携体制(初期・二次・三次救急、災害医療、周産期医療、小児救急など)が記載されるのは、医療法に基づき都道府県が策定する「医療計画」である。健康増進計画は健康増進法に基づくもので、生活習慣病対策や健康づくり目標などを定める計画であり、救急医療体制の整備は対象としていない。

  4. 4.  一般住民による自動体外式除細動器〈AED〉の使用はプレホスピタルケア〈病院前救護〉に該当する。

    プレホスピタルケアとは医療機関に到着する前に現場で行われる救命処置の総称であり、市民救助者(バイスタンダー)による心肺蘇生やAEDの使用もこれに含まれる。2004年以降、わが国では一般市民もAEDを使用できるよう制度が整えられ、駅・学校・公共施設などへの設置が進められている。

救急医療体制は、軽症を扱う初期救急(休日夜間急患センター・在宅当番医)、入院を要する救急患者に対応する二次救急(病院群輪番制・共同利用型病院)、生命危機のある重症患者に対応する三次救急(救命救急センター)の三層構造で整備されている。これらの連携や救急医療情報センターの運営は、医療法に基づく都道府県の医療計画に明記される。また、救命の連鎖(Chain of Survival)は、(1)心停止の予防、(2)早期認識と通報、(3)早期の心肺蘇生、(4)早期の除細動、(5)二次救命処置と心拍再開後のケア の5つの輪で構成され、最初の3つは現場の市民が担う領域であることを押さえておくとよい。

病院前救護(プレホスピタルケア)の範囲と、救急医療体制を規定する法律・計画の知識を問う問題。AED使用が市民レベルの病院前救護に含まれることを理解しているかが鍵となる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。