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肝細胞癌に対するTAEを理解しよう

看護師国家試験 第115午後49

国試問題にチャレンジ

115午後49

肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる疾患はどれか。

  1. 1.肝嚢胞
  2. 2.脂肪肝
  3. 3.肝細胞癌
  4. 4.急性A型肝炎

対話形式の解説

博士博士
今日は『肝動脈塞栓術』、いわゆるTAEについて勉強するぞ。Transcatheter Arterial Embolizationの略じゃ。
サクラサクラ
カテーテルを使って血管を詰める治療…ですよね?どの疾患に使うんですか?
博士博士
ずばり、肝細胞癌じゃ。選択肢では肝嚢胞・脂肪肝・肝細胞癌・急性A型肝炎が並んでおったが、正解は『肝細胞癌』じゃよ。
サクラサクラ
どうして肝細胞癌に塞栓術が効くんでしょう?
博士博士
ポイントは血流じゃ。正常な肝細胞は門脈と肝動脈の両方から血液を受けておるが、肝細胞癌はほとんどを肝動脈から栄養されておる。だから肝動脈を詰めれば、正常組織への影響を抑えて腫瘍だけを虚血にできるんじゃ。
サクラサクラ
なるほど!腫瘍を狙い撃ちできるんですね。具体的にはどうやるんですか?
博士博士
大腿動脈などからカテーテルを腫瘍の栄養血管まで進めて、ゼラチンスポンジなどの塞栓物質を注入する。抗がん剤と一緒に注入する方法はTACE、化学塞栓術と呼ぶぞ。
サクラサクラ
他の選択肢はなぜダメなのか整理したいです。まず肝嚢胞は?
博士博士
肝嚢胞は液体がたまった良性の袋で、大きくて症状があれば穿刺吸引や開窓術じゃ。塞栓する対象ではないのう。
サクラサクラ
脂肪肝は?
博士博士
脂肪肝は生活習慣やアルコールが原因で起こる代謝性の疾患。食事・運動療法や原疾患の治療が中心で、血管内治療は行わん。
サクラサクラ
急性A型肝炎はどうですか?
博士博士
A型肝炎ウイルスによる急性ウイルス性肝炎で、安静と対症療法で自然軽快することが多い。これも血流を遮断する病態ではないんじゃ。
サクラサクラ
TAEの後に注意することはありますか?
博士博士
いい質問じゃ。術後は塞栓後症候群といって発熱・腹痛・嘔気が出ることがある。さらに穿刺部の出血や下肢の血流障害、肝機能悪化、まれに肝膿瘍にも注意じゃ。
サクラサクラ
肝細胞癌の他の治療法も知りたいです。
博士博士
肝切除、ラジオ波焼灼術、肝移植、分子標的薬、そしてTAE/TACEなどがある。腫瘍の大きさや数、肝予備能、Child-Pugh分類で選択するんじゃ。
サクラサクラ
ばっちりわかりました!『肝細胞癌=肝動脈優位=TAE』で覚えます。

POINT

肝細胞癌が肝動脈優位の血流支配を受ける hypervascular な腫瘍であり、その栄養動脈を遮断するTAEが代表的な局所治療となることを理解しているかが問われています。

解答・解説

正解は3です

問題文:肝動脈塞栓術〈TAE〉の適応となる疾患はどれか。

解説:正解は 3 です。肝動脈塞栓術(TAE:Transcatheter Arterial Embolization)は、大腿動脈などからカテーテルを挿入し、肝臓の腫瘍を栄養している肝動脈の枝にゼラチンスポンジなどの塞栓物質を注入して血流を遮断する治療法です。正常な肝細胞が門脈と肝動脈の両方から血液供給を受けているのに対し、肝細胞癌は主に肝動脈から栄養を受けるという特徴を利用しており、腫瘍部分のみを選択的に虚血壊死させることが可能です。抗がん剤と併用する肝動脈化学塞栓術(TACE)も含めて、手術不能例や多発性病変に対する代表的な局所療法として位置付けられています。

選択肢考察

  1. ×1.  肝嚢胞

    肝嚢胞は肝臓内に液体がたまった袋状の良性病変であり、無症状であれば経過観察、症状を伴う巨大嚢胞では穿刺吸引やエタノール注入、開窓術などが選択されます。腫瘍への動脈血流遮断を目的とするTAEの適応疾患ではありません。

  2. ×2.  脂肪肝

    脂肪肝は肝細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、生活習慣病やアルコール摂取が背景にあります。治療は食事療法・運動療法・原疾患の管理が中心で、血管内治療であるTAEの適応とはなりません。

  3. 3.  肝細胞癌

    肝細胞癌は主に肝動脈から血液供給を受ける hypervascular な腫瘍であり、その性質を利用して栄養動脈を塞栓するTAEが標準的治療の一つとされています。切除不能例や肝予備能が保たれた多発例で広く行われ、抗がん剤を併用するTACEもあります。

  4. ×4.  急性A型肝炎

    急性A型肝炎はHAVウイルス感染による急性の肝炎で、安静と対症療法で自然軽快することが多い疾患です。腫瘍ではなく炎症性疾患であり、血流遮断によるTAEの適応にはなりません。

TAEの合併症として、塞栓後症候群(発熱・腹痛・嘔気)、肝機能の一時的悪化、胆嚢炎、まれに肝膿瘍や腎機能障害(造影剤による)が知られています。看護では、術後の穿刺部出血と下肢の血流障害、バイタルの変動、疼痛や発熱への対応が重要です。肝細胞癌の治療選択肢としては、肝切除、ラジオ波焼灼術(RFA)、肝移植、分子標的薬、TAE/TACEなどがあり、腫瘍の大きさ・個数・肝予備能(Child-Pugh分類)によって決まることを押さえておきましょう。

肝細胞癌が肝動脈優位の血流支配を受ける hypervascular な腫瘍であり、その栄養動脈を遮断するTAEが代表的な局所治療となることを理解しているかが問われています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。