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膀胱癌患者の急性尿閉はなぜ危険?緊急対応を要する排尿トラブルを見抜く

看護師国家試験 第115午後53

国試問題にチャレンジ

115午後53

膀胱癌で手術療法を予定している成人で、緊急の対応が必要な症状はどれか。

  1. 1.残尿感
  2. 2.尿閉
  3. 3.排尿痛
  4. 4.頻尿

対話形式の解説

博士博士
今回は膀胱癌で手術を控えた成人患者の排尿症状について考えるぞ。残尿感、尿閉、排尿痛、頻尿——どれも下部尿路症状じゃが、緊急性は同じではないのじゃ。
サクラサクラ
えっ、どれも膀胱癌でよく聞く症状ですよね。違いがピンと来ないです…。
博士博士
そうじゃろう。まず膀胱癌の典型症状を整理すると、最も多いのは「無症候性肉眼的血尿」じゃ。進行すると頻尿、排尿痛、残尿感、そして血尿による凝血塊形成も加わってくる。
サクラサクラ
凝血塊…血のかたまりですか?
博士博士
その通り。血尿が続くと膀胱内に血液のかたまりができて、それが尿道を塞いでしまうことがあるのじゃ。これを「タンポナーデ尿閉」と呼ぶ。膀胱癌患者の急性尿閉の代表的な原因じゃよ。
サクラサクラ
なるほど、それで尿閉が緊急なんですね。でもなぜ尿閉だけが特別に危険なんですか?
博士博士
良い質問じゃ。尿閉になると膀胱に尿がどんどん溜まり、過伸展する。すると膀胱内圧が上がり、尿管・腎盂へ逆流して水腎症となり、最悪の場合「腎後性腎不全」を起こすのじゃ。さらに膀胱が破裂する危険もある。
サクラサクラ
腎不全までいくんですか…!それは確かに緊急ですね。
博士博士
そうじゃ。だから尿閉を見つけたら、導尿や膀胱留置カテーテルで速やかに尿を排出させる必要がある。凝血塊が詰まっている場合は、太めのカテーテルで膀胱洗浄を行うこともあるのじゃ。
サクラサクラ
残尿感や排尿痛、頻尿は緊急じゃないんですか?
博士博士
もちろん不快な症状で、ケアは必要じゃ。じゃが、これらは数時間放置しても腎機能障害や膀胱破裂には直結しない。一方、尿閉は「分単位・時間単位」で対応が求められるのじゃ。
サクラサクラ
緊急性のレベルが違うんですね。看護師としては何を観察すればいいですか?
博士博士
術前から尿量、排尿間隔、尿の色、凝血塊の有無、下腹部の膨満や疼痛をしっかり観察するのじゃ。患者が「急におしっこが出なくなった」「お腹が張って痛い」と訴えたら、すぐに医師に報告じゃぞ。
サクラサクラ
触診で下腹部の膨隆が分かることもありますよね。
博士博士
その通り!膀胱が過伸展していると、恥骨上に丸い膨隆が触れる。これは「球状膨隆」と呼ばれる重要なサインじゃ。最近ではポータブル超音波で膀胱容量を測定する施設も増えておる。
サクラサクラ
術前の段階から尿閉のリスクを意識して観察することが大事なんですね。
博士博士
うむ。緊急対応を要する症状を見抜く力は、看護師の安全管理能力の核心じゃ。優先順位を冷静に判断する力を養っていこう。

POINT

膀胱癌患者にみられる下部尿路症状のうち、放置すると腎機能障害や膀胱破裂など重篤な合併症を引き起こす「緊急対応を要する症状」を判別できるかを問う問題。急性尿閉の臨床的意義を理解しているかがポイント。

解答・解説

正解は2です

問題文:膀胱癌で手術療法を予定している成人で、緊急の対応が必要な症状はどれか。

解説:正解は 2 です。尿閉とは、膀胱内に尿が貯留しているにもかかわらず排尿ができない状態をいい、特に急性に発症した「急性尿閉」は緊急対応を要する病態です。膀胱癌では腫瘍そのものや凝血塊(血尿に伴う血液のかたまり)が膀胱頸部や尿道を閉塞することで、突然排尿が不可能となり、膀胱の過伸展が生じます。膀胱内圧が上昇すると激しい下腹部痛・膨満感が出現するだけでなく、腎盂・尿管への尿の逆流により水腎症や腎後性腎不全を引き起こす危険があります。そのため、導尿や膀胱留置カテーテルによる尿の排出など、速やかな処置が必要となります。

選択肢考察

  1. ×1.  残尿感

    排尿後にも膀胱内に尿が残っている感覚であり、膀胱癌や前立腺肥大などでよくみられる症状である。不快ではあるが膀胱の過伸展や腎機能低下を即座に来すものではなく、緊急性は低い。

  2. 2.  尿閉

    排尿したくてもできない状態で、膀胱が過伸展し下腹部痛・膨満を呈する。腎後性腎不全や膀胱破裂につながる恐れがあり、導尿などの緊急処置を要する。膀胱癌では腫瘍や血塊による尿道閉塞で生じやすい。

  3. ×3.  排尿痛

    膀胱癌や膀胱炎、尿路感染症などで起こる症状で、観察と対応は必要だが、ただちに重篤な合併症に直結するわけではない。緊急度は尿閉より低い。

  4. ×4.  頻尿

    排尿回数が多くなる症状で、膀胱癌、過活動膀胱、膀胱炎などで認められる。QOLは低下するが、ただちに身体的危機を招くものではなく緊急対応の優先度は低い。

膀胱癌の代表的症状は無症候性肉眼的血尿だが、進行とともに頻尿・排尿痛・残尿感・血尿による凝血塊形成などが加わる。凝血塊が尿道を閉塞すると「タンポナーデ尿閉」と呼ばれる状態となり、急性尿閉の代表的原因の一つとなる。看護師は術前から排尿状態(尿量・排尿間隔・色調・凝血塊の有無・下腹部膨満・疼痛)を継続的に観察し、突然の排尿停止や激しい下腹部痛がみられた場合はただちに医師へ報告する。導尿時には血塊で閉塞しないよう太めのカテーテルや膀胱洗浄を要することもある。膀胱の過伸展は破裂や腎機能障害につながるため、放置は禁物である。

膀胱癌患者にみられる下部尿路症状のうち、放置すると腎機能障害や膀胱破裂など重篤な合併症を引き起こす「緊急対応を要する症状」を判別できるかを問う問題。急性尿閉の臨床的意義を理解しているかがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。