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排尿障害と尿失禁の対応

成人看護学 / 腎・泌尿器

解説

今回は排尿障害と尿失禁の対応について解説します。高齢化が進む中、排尿に関するトラブルは患者のQOLを大きく低下させる問題であり、看護師として正確な知識と適切な対応が求められます。

排尿に関する基本用語と正常範囲

まず基本用語を整理します。頻尿とは排尿回数が異常に多い状態で、日中8回以上または夜間1回以上の排尿を指します。乏尿は1日尿量400mL以下、無尿は100mL以下、多尿は3000mL以上の状態をいいます。尿閉は膀胱内に尿が貯留しているにもかかわらず排尿できない状態、尿失禁は不随意な尿漏れを指します。

成人の通常排尿は1日4〜7回、1回量200〜400mL、総量1000〜1500mL程度が目安です。

下部尿路症状(LUTS)の3分類

下部尿路症状は3つに分類されます。

蓄尿症状

頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁などが含まれます。

排尿症状

腹圧排尿、尿線途絶、尿勢低下、排尿遅延などです。

排尿後症状

残尿感、排尿後尿滴下が代表的です。

尿失禁の分類

腹圧性尿失禁は咳・くしゃみ・重い物を持つなどで腹圧が上昇した際に漏れるタイプで、骨盤底筋の脆弱化が原因となり中高年女性に多くみられます。妊娠・分娩・加齢・閉経・肥満・慢性咳嗽が危険因子です。切迫性尿失禁は強い尿意切迫感とともに漏れるもので、過活動膀胱や加齢、脳血管障害が背景にあります。両者を併せ持つものを混合性尿失禁、尿排出障害により膀胱が過伸展して漏れ出るものを溢流性尿失禁といい、前立腺肥大などが原因です。機能性尿失禁は認知症やADL低下によりトイレに間に合わないもの、反射性尿失禁は脊髄損傷などで尿意自覚がないまま膀胱反射的収縮で漏れるものです。

各尿失禁のケア

腹圧性尿失禁のケア

**骨盤底筋訓練(Kegel体操)**が第一選択であり、1日3〜4回、各10回×3セットを目安に継続します。早めのトイレ誘導、体重コントロール、禁煙による慢性咳嗽軽減、便秘予防も重要です。保存療法が無効な場合はデュロキセチン(SNRI)やTVT/TOT手術が検討されます。

切迫性尿失禁・過活動膀胱のケア

下腹部保温による膀胱刺激軽減、膀胱訓練、抗コリン薬やβ3作動薬による薬物療法を行います。カフェイン・アルコールの制限も指導します。

反射性尿失禁のケア

**間欠的自己導尿(CIC)**による定期的な膀胱排出が基本となります。

過活動膀胱(OAB)

過活動膀胱は尿意切迫感を必須症状とし、頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁を伴います。排尿筋の不随意収縮(detrusor overactivity)が病態で、神経性(脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷)と非神経性に分類されます。評価にはOABSSが用いられ、治療は①生活指導、②行動療法、③薬物療法、④神経変調療法・ボツリヌス毒素注入の順に進めます。

水腎症

水腎症は尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)の閉塞や狭窄により尿流出が妨げられ、腎盂・腎杯が拡張する病態です。原因は結石・腫瘍・前立腺肥大/前立腺癌・後腹膜線維症などの閉塞性と、神経因性膀胱や膀胱尿管逆流などの機能性に分けられます。症状は側腹部痛、背部痛、感染合併時の発熱、血尿などです。治療は原因疾患の治療が基本ですが、緊急時には経皮的腎瘻造設術や尿管ステント留置による尿路ドレナージが行われます。

看護のポイント

排尿日誌で排尿頻度・量・尿失禁エピソードを記録し、残尿測定、尿意の有無、ADL評価を総合的に行います。陰部ケアやおむつ・尿取りパッドの適切使用により皮膚障害を予防します。何より、患者の自尊心への配慮とプライバシー保持が重要であり、声かけや援助の仕方にも細やかな気遣いが求められます。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    頻尿とは排尿回数が異常に多い状態で、日中回以上または夜間回以上を指します。

  2. 2.

    1日尿量がmL以下を乏尿、mL以下を無尿、mL以上を多尿といいます。

  3. 3.

    膀胱内に尿が貯留しているが排尿できない状態をといいます。

  4. 4.

    成人の通常排尿は1日4〜7回、1回量200〜400mL、総量mL程度です。

  5. 5.

    咳やくしゃみで腹圧が上昇した際に漏れる尿失禁を尿失禁といい、の脆弱化が原因で中高年女性に多くみられます。

  6. 6.

    強い尿意切迫感とともに漏れる尿失禁を尿失禁といい、が背景にあります。

  7. 7.

    認知症やADL低下によりトイレに間に合わない尿失禁を尿失禁、脊髄損傷などで尿意自覚なく膀胱反射的収縮で漏れるものを尿失禁といいます。

  8. 8.

    腹圧性尿失禁の保存療法としてが第一選択であり、薬物では(SNRI)が用いられます。

  9. 9.

    過活動膀胱の必須症状はであり、評価にはが用いられ、薬物療法では抗コリン薬やが使われます。

  10. 10.

    尿路の閉塞・狭窄で腎盂・腎杯が拡張する病態をといい、緊急時には経皮的腎瘻造設術や留置で尿路ドレナージを行います。

排尿障害と尿失禁の対応」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。