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母子感染3経路の交通整理 GBSはなぜ「経産道感染」の代表選手なのか

看護師国家試験 第115午後65

国試問題にチャレンジ

115午後65

経産道感染するのはどれか。

  1. 1.トキソプラズマ
  2. 2.パルボウイルス
  3. 3.B群溶血性レンサ球菌
  4. 4.成人T細胞白血病ウイルス

対話形式の解説

博士博士
今回は母子感染、つまり妊娠・分娩・授乳の過程で母から子に病原体が伝わる仕組みを学ぶぞ。問題は「経産道感染するのはどれか」じゃ。
サクラサクラ
母子感染って、お腹の中で感染するイメージしかなくて、産道と母乳の違いがあいまいです……。
博士博士
そこが今日のポイントじゃ。母子感染は大きく3つに分けられる。胎盤を介する『経胎盤感染(胎内感染)』、分娩時に産道を通るときの『経産道感染』、そして授乳による『母乳感染』じゃ。
サクラサクラ
なるほど、タイミングと経路で分けるんですね。それぞれの代表的な病原体を教えてください。
博士博士
経胎盤感染の代表はTORCH症候群じゃ。T:トキソプラズマ、O:others(梅毒・パルボB19・水痘など)、R:風疹、C:サイトメガロウイルス、H:単純ヘルペスじゃな。経産道感染の代表はB群溶血性レンサ球菌(GBS)、淋菌、クラミジア、HBV、HSV、HIV。母乳感染の代表はHTLV-1じゃ。
サクラサクラ
じゃあ選択肢を見ると、トキソプラズマとパルボウイルスは経胎盤感染、HTLV-1は母乳感染……となると、答えはB群溶血性レンサ球菌ですね!
博士博士
正解じゃ。GBSは母体の腟や直腸に常在することがあって、分娩時に新生児が産道を通過する瞬間に感染する。これが『経産道感染』の典型例じゃな。
サクラサクラ
新生児に何が起こるんですか?
博士博士
生後7日以内に発症する『早発型』では敗血症、肺炎、髄膜炎を起こす。死亡率も高く、後遺症を残すこともある。だから予防が極めて重要なのじゃ。
サクラサクラ
どうやって予防するんですか?
博士博士
日本では妊娠35〜37週にGBSスクリーニング、つまり腟と肛門のスワブ培養を行う。陽性なら分娩開始時からペニシリン系(アンピシリンなど)を点滴投与する。これを『分娩時抗菌薬予防投与(IAP:Intrapartum Antibiotic Prophylaxis)』と呼ぶのじゃ。
サクラサクラ
ペニシリンアレルギーの妊婦さんはどうするんですか?
博士博士
セファゾリンやクリンダマイシン、バンコマイシンなどを代替薬として選ぶ。アレルギー歴の確認は妊婦健診の重要な仕事じゃな。
サクラサクラ
他の選択肢についてもおさらいさせてください。トキソプラズマは?
博士博士
ネコの糞や生肉から感染する原虫で、妊婦が初感染すると経胎盤で胎児に移り、水頭症や脳内石灰化、網脈絡膜炎を起こす先天性トキソプラズマ症となる。妊娠中は生肉やガーデニング後の手洗いに注意じゃ。
サクラサクラ
パルボウイルスは伝染性紅斑(リンゴ病)の原因ですよね?
博士博士
そうじゃ。妊婦が初感染して経胎盤で胎児に移ると、胎児の赤芽球が破壊されて重度貧血となり、胎児水腫や流産を起こす。これも経胎盤感染の重要例じゃ。
サクラサクラ
HTLV-1はどうですか?母乳感染なら、授乳指導が重要ですね。
博士博士
その通り。HTLV-1キャリア妊婦には完全人工栄養が第一選択、希望があれば短期母乳栄養(3か月以内)や凍結融解母乳の選択肢を提示する。長期母乳栄養はリスクが高いから避ける。沖縄や九州など西日本でキャリア率が高いことも知っておきたい。
サクラサクラ
同じ『母から子へ』でも、経路によって予防策が全然違うんですね。看護師としてどんな視点が必要ですか?
博士博士
妊婦健診の段階でスクリーニング歴を把握し、感染症ごとに分娩管理と新生児管理、授乳指導を計画的に組み立てることじゃ。経路を理解すれば、なぜその予防策を取るのかが腑に落ちる。

POINT

母子感染を「経胎盤感染(胎内)」「経産道感染(分娩時)」「母乳感染」の3経路に分類し、各病原体がどの経路で伝播するかを区別できるかを問う問題。B群溶血性レンサ球菌(GBS)が経産道感染の代表であることが核心。

解答・解説

正解は3です

問題文:経産道感染するのはどれか。

解説:正解は 3 です。母子感染(垂直感染)は、感染が起こるタイミングと経路によって大きく「経胎盤感染(胎内感染)」「経産道感染(分娩時感染)」「母乳感染」の3つに分類されます。経産道感染とは、分娩の際に胎児が母体の産道(腟・子宮頸管)を通過する過程で、産道内の病原体に直接曝露されて感染するものを指します。代表例にはB群溶血性レンサ球菌(GBS)、淋菌、クラミジア・トラコマチス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、HIV(主たる経路)などがあります。選択肢のうちこの分類に該当するのはB群溶血性レンサ球菌のみで、新生児敗血症や髄膜炎の主要原因菌として臨床上極めて重要です。日本では妊娠35〜37週にGBSスクリーニング(腟・肛門スワブ培養)を行い、陽性妊婦に対しては分娩開始時からペニシリン系抗菌薬(アンピシリンなど)を静脈内投与する分娩時抗菌薬予防投与(IAP:Intrapartum Antibiotic Prophylaxis)を実施することで、早発型GBS感染症の発症を大幅に減らすことができます。

選択肢考察

  1. ×1.  トキソプラズマ

    トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)は原虫感染症で、妊婦が初感染すると胎盤を介して胎児に移行する経胎盤感染(胎内感染)が問題となる。先天性トキソプラズマ症では水頭症、脳内石灰化、網脈絡膜炎などを引き起こす。TORCH症候群のT(Toxoplasma)に該当し、経産道感染ではない。

  2. ×2.  パルボウイルス

    ヒトパルボウイルスB19は伝染性紅斑(リンゴ病)の原因ウイルスで、母体が妊娠中に感染すると胎盤を経由して胎児赤芽球を破壊し、重度の胎児貧血や胎児水腫、流産・死産を引き起こすことがある。すなわち経胎盤感染であり、経産道感染ではない。

  3. 3.  B群溶血性レンサ球菌

    B群溶血性レンサ球菌(GBS:Group B Streptococcus、Streptococcus agalactiae)は母体の腟・直腸に常在することがあり、分娩時に新生児が産道を通過する際に感染する代表的な経産道感染病原体である。新生児に早発型敗血症・肺炎・髄膜炎を起こすため、妊娠35〜37週にスクリーニング培養を行い、陽性であれば分娩時にペニシリン系抗菌薬を予防投与する。

  4. ×4.  成人T細胞白血病ウイルス

    成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)は感染リンパ球を介して伝播するレトロウイルスで、母子感染の主経路は母乳を介した母乳感染である。長期母乳栄養でリスクが上昇するため、キャリア妊婦には完全人工栄養または短期母乳栄養(おおむね3か月以内)・凍結融解母乳の選択肢を提示して感染リスクを下げる。経産道感染が主経路ではないため誤り。

母子感染の整理ポイント。【経胎盤感染(胎内感染)】風疹、トキソプラズマ、サイトメガロウイルス(CMV)、パルボウイルスB19、梅毒、水痘・帯状疱疹ウイルス、ジカウイルスなど。これらは「TORCH症候群」としてまとめられ、T:Toxoplasma、O:Others(梅毒、HIV、パルボB19、水痘など)、R:Rubella、C:CMV、H:HSVを意味する。【経産道感染】GBS、淋菌、クラミジア、HSV、HBV、HIV(主)。【母乳感染】HTLV-1が代表で、HIVも母乳から伝播し得る。GBSへの対応としてはIAP(分娩時抗菌薬予防投与)が標準で、ペニシリンアレルギーの場合はセファゾリンやクリンダマイシンなどを選択する。HBV母児感染予防では出生児に対するHBワクチン+HBIGの併用、HIV妊婦では抗ウイルス薬投与と帝王切開・人工乳の組み合わせで母子感染率を大きく下げられる。

母子感染を「経胎盤感染(胎内)」「経産道感染(分娩時)」「母乳感染」の3経路に分類し、各病原体がどの経路で伝播するかを区別できるかを問う問題。B群溶血性レンサ球菌(GBS)が経産道感染の代表であることが核心。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。