StudyNurse

災害亜急性期にこそ必要な『こころのケア』を理解しよう

看護師国家試験 第115午後73

国試問題にチャレンジ

115午後73

災害亜急性期に行う看護師の活動で適切なのはどれか。

  1. 1.災害用物資の点検
  2. 2.災害対応マニュアルの整備
  3. 3.急性ストレス障害〈ASD〉に対するケア
  4. 4.心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉への介入

対話形式の解説

博士博士
今日のテーマは災害看護じゃ。災害亜急性期に看護師が行う活動として適切なのはどれか、という問題じゃな。
サクラサクラ
選択肢は『災害用物資の点検』『災害対応マニュアルの整備』『ASDに対するケア』『PTSDへの介入』ですね。どれも災害に関係しそうで迷います…。
博士博士
ふむ、ポイントは『亜急性期』というフェーズじゃ。災害看護では時期区分を必ず押さえる必要があるぞ。
サクラサクラ
時期区分ですか?
博士博士
そう。静穏期・準備期・超急性期・急性期・亜急性期・慢性期・復興期、と段階ごとに必要な支援が違うんじゃ。亜急性期は発災72時間後からおよそ1か月までを指す。
サクラサクラ
ということは、超急性期・急性期は救命優先で、亜急性期はもう少し落ち着いた段階なんですね。
博士博士
その通り。命の危機を脱した一方で、避難所暮らしの長期化や家族喪失などで心の症状が表に出てくる時期なんじゃ。
サクラサクラ
ああ、なるほど。だから心理的ケアが大事になるんですね。
博士博士
そこで登場するのがASD、急性ストレス障害じゃ。受傷から3日〜4週間以内に出る再体験・回避・過覚醒・解離などの症状を指す。
サクラサクラ
亜急性期の時間軸とぴったり重なりますね。
博士博士
そうじゃ。だから正解は3の『ASDに対するケア』。傾聴、安心感の提供、睡眠と食事の確保、正確な情報提供などのPFAが中心になるぞ。
サクラサクラ
PFAってサイコロジカルファーストエイドのことですよね。Look・Listen・Linkの3原則と習いました。
博士博士
よく覚えておったな!見て、聴いて、つなぐ。これが災害時の心のファーストエイドじゃ。
サクラサクラ
では1の『災害用物資の点検』はなぜ違うんですか?
博士博士
あれは静穏期・準備期に行う平時の備えじゃ。発災後に新たに点検を始めても遅いからのう。
サクラサクラ
2の『災害対応マニュアルの整備』も同じ理由ですね。
博士博士
その通り。マニュアルや訓練はあらかじめ準備しておくものじゃ。
サクラサクラ
4の『PTSDへの介入』はどうですか?ASDと似ていますよね。
博士博士
ASDとPTSDの違いは時間軸じゃ。症状が1か月以上続いた場合にPTSDと診断される。だから介入の中心は慢性期以降になるぞ。
サクラサクラ
亜急性期はPTSDへ移行させないための予防の時期、と捉えればいいんですね。
博士博士
見事じゃ。さらに亜急性期では避難所での感染症対策、慢性疾患の薬の継続、エコノミークラス症候群の予防なども重要じゃ。
サクラサクラ
生活の場全体を看護の視点で支える時期なんですね。覚えやすい整理ありがとうございます!

POINT

災害看護の時期区分と、亜急性期に出現しやすいASDへの心理的ケアが看護師の中心的役割であることを理解できているかが問われています。

解答・解説

正解は3です

問題文:災害亜急性期に行う看護師の活動で適切なのはどれか。

解説:正解は3の「急性ストレス障害〈ASD〉に対するケア」です。災害看護では時期区分(静穏期・準備期・超急性期・急性期・亜急性期・慢性期・復興期)に応じて求められる支援が変化します。亜急性期は発災後おおむね72時間から1か月程度までを指し、生命の危機を脱して救命救急の山を越えた一方で、避難所生活の長期化やライフラインの不安定、家族・住居の喪失などの新たなストレッサーが顕在化する時期です。この時期には心的反応として急性ストレス障害(ASD:受傷後3日〜4週間以内に生じる再体験・回避・過覚醒・解離症状)の出現が増えるため、傾聴・安心感の提供・睡眠と食事の確保・正確な情報提供といったサイコロジカルファーストエイド(PFA)に基づくケアが中心となります。同時に、避難所での感染症予防、慢性疾患の継続管理、エコノミークラス症候群の予防など、生活の場での看護が重要視されます。

選択肢考察

  1. ×1.  災害用物資の点検

    物資の点検や備蓄管理は、災害が起こる前の静穏期・準備期に行う平時の備えに該当します。亜急性期では既に備蓄物資は供給段階に入っており、新規の点検活動が中心になることはありません。

  2. ×2.  災害対応マニュアルの整備

    マニュアル整備や訓練、災害教育も平時(静穏期)に行う準備活動です。発災後にゼロからマニュアルを作成する余裕はなく、亜急性期の活動としては不適切です。

  3. 3.  急性ストレス障害〈ASD〉に対するケア

    ASDは外傷的出来事から3日〜4週間以内に出現する一過性の反応で、亜急性期の時期と一致します。傾聴・安心の提供・生活リズムの再構築・PFAに基づく心理的支援が看護師の中心的活動です。

  4. ×4.  心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉への介入

    PTSDは症状が1か月以上持続した場合に診断される疾患で、慢性期以降の関わりが中心となります。亜急性期はPTSDへの移行を予防する段階であり、PTSDそのものへの介入時期ではありません。

災害時期区分とCSCATTT(指揮・安全・情報伝達・評価・トリアージ・治療・搬送)は災害看護の二大頻出キーワードです。サイコロジカルファーストエイド〈PFA〉のLook・Listen・Linkの3原則も併せて押さえましょう。覚え方は『超急性期=救命、急性期=治療、亜急性期=こころと生活、慢性期=PTSD・コミュニティ再建』とフェーズごとに紐づけると整理しやすいです。

災害看護の時期区分と、亜急性期に出現しやすいASDへの心理的ケアが看護師の中心的役割であることを理解できているかが問われています。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。