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台風で停電!ICUで看護師が真っ先にすべきことは何じゃ?

看護師国家試験 第115午後118(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

115午後118

状況設定

大型の台風が直撃するという予報を受けて、午前9時、病院では災害対策本部が立ち上がった。また、病院の所在する市から避難所への看護師派遣の要請を受け、対応することになった。

午後1時、落雷によって病院の電源供給が一時停止したが、直後に自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している。ICUには患者4名が入院し、全員が輸液ポンプを使用している。Aさん(65歳、女性)は鎮静薬が投与され、人工呼吸器が装着されている。Bさん(78歳、男性)は大声で家族を呼び続けている。その他の患者は心配そうな表情でICU内を見回している。 このときのICU看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.Bさんを一般病棟に転棟する。
  2. 2.意識が清明な患者に声かけを行う。
  3. 3.Aさんの人工呼吸器を外し手動で補助呼吸を行う。
  4. 4.輸液ポンプ使用者の輸液ラインを自然滴下に切り替える。

対話形式の解説

博士博士
今回は災害時のICU対応の問題じゃ。台風が直撃して病院が停電、でも自家発電にすぐ切り替わって機器は正常に動いておる。さて、ICU看護師は何を優先すべきかな?
サクラサクラ
えーっと、人工呼吸器を外して手動で呼吸を助けるとか…?
博士博士
おっと、そこが大事なポイントじゃ。問題文をよく読むのじゃ。「自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している」と書いてあるじゃろ?
サクラサクラ
あ、本当だ。じゃあ機器は動いているんだから、わざわざ外す必要はないんですね。
博士博士
その通り。動いている人工呼吸器を外して用手換気に切り替えると、回路を外す手間や低酸素、感染のリスクがむしろ高まる。輸液ポンプも同じで、自然滴下に変えてしまうと投与速度が狂って、昇圧薬や鎮静薬の量がブレて危険じゃ。
サクラサクラ
なるほど…。「動いているものを触らない」のが鉄則なんですね。じゃあ転棟は?
博士博士
停電直後の混乱期に、緊急性のないBさんを一般病棟へ運ぶのもリスクが大きい。搬送中の機器トラブルや受け入れ先の混乱を招くだけじゃ。残る選択肢は「意識が清明な患者に声かけ」じゃが、これが正解じゃ。
サクラサクラ
どうして声かけがそんなに重要なんですか?機器が動いているなら患者さんは安全な気がしますが…。
博士博士
身体的には安全でも、心はどうじゃろう?突然部屋が真っ暗になり、機器のアラームが鳴り響き、外は台風じゃ。意識清明な患者は「自分は大丈夫か」「これからどうなるのか」と強烈な不安に襲われるのじゃ。
サクラサクラ
確かに…ICUにいるだけでも不安なのに、停電が重なったらパニックになりそうですね。
博士博士
さらにICUではせん妄が起こりやすいことも知っておくとよい。光・音・睡眠リズムの乱れに加え、急なストレスが重なると、せん妄発症の引き金になる。看護師が「停電しましたが自家発電で機器は動いています、安全です」と冷静に説明することは、不安軽減とせん妄予防の両方に効くのじゃ。
サクラサクラ
心理的ケアもICU看護師の大事な仕事なんですね。災害というと機器ばかりに目がいきそうでした。
博士博士
うむ。災害時看護では「ライフライン確認」「機器作動確認」「患者の身体状況」「患者と家族の心理状況」をセットで見るのじゃ。今回の問題は機器が無事だからこそ、心のケアにシフトできる場面じゃな。
サクラサクラ
ちなみに、自家発電ってずっと動き続けるんですか?
博士博士
良い質問じゃ。一般的に病院の非常用発電は燃料の関係で数時間から10時間程度しか持たない。だから自家発電に切り替わったあとも、用手換気用のバッグバルブマスクや予備バッテリー、酸素ボンベの残量を必ず確認しておくのが実務上のセオリーじゃ。
サクラサクラ
非常用コンセントの色とかも関係ありますか?
博士博士
ある!赤色コンセントが非常電源系統で、人工呼吸器や輸液ポンプは必ずここに繋ぐ運用じゃ。日頃の点検でしっかり繋がっているか確認することが、いざという時の安全を守る。
サクラサクラ
災害は突然来るから、平時からの準備と「条件を冷静に読む力」が大切なんですね。

POINT

停電直後でも「自家発電に切り替わり機器は正常作動」という条件を読み取れるかが鍵。機器対応が不要な状況では、不安を抱える意識清明な患者への心理的ケアが最優先となる。

解答・解説

正解は2です

問題文:午後1時、落雷によって病院の電源供給が一時停止したが、直後に自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している。ICUには患者4名が入院し、全員が輸液ポンプを使用している。Aさん(65歳、女性)は鎮静薬が投与され、人工呼吸器が装着されている。Bさん(78歳、男性)は大声で家族を呼び続けている。その他の患者は心配そうな表情でICU内を見回している。 このときのICU看護師の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。問題文では「停電によって病院の電源供給が一時停止したが、直後に自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している」と明記されています。つまり、人工呼吸器・輸液ポンプ・心電図モニタといった生命維持・観察に必要な機器は、いずれも問題なく稼働している状態です。この前提のもとでICU看護師が次に優先すべきは、停電という出来事自体に動揺している意識清明な患者への心理的支援です。突然の照明消失や機器のアラーム音は、患者にとって「自分の治療は大丈夫なのか」「災害がさらに進むのではないか」という強い不安を引き起こします。看護師がそばに行き、停電が起きたこと、自家発電に切り替わって機器が正常に動いていること、これからも安全管理を続けることを落ち着いた声で説明することが、不安軽減とせん妄予防につながります。

選択肢考察

  1. ×1.  Bさんを一般病棟に転棟する。

    停電直後で病院全体が緊急対応中の段階に、緊急性のない転棟を実施することはむしろ危険です。搬送中の機器トラブルや受け入れ先の混乱を招くおそれがあり、災害発生直後はまず現在の場所で患者の安全と機器作動を確認することが優先となります。

  2. 2.  意識が清明な患者に声かけを行う。

    停電と機器アラームは、意識清明な患者にとって強いストレッサーとなります。看護師が現状と安全確保について短く明確に説明することで、不安や混乱を和らげ、ICU特有のせん妄発症リスクを下げる効果も期待できます。災害時看護で求められる、機器管理と心理的ケアを並行して行う基本姿勢にも合致します。

  3. ×3.  Aさんの人工呼吸器を外し手動で補助呼吸を行う。

    問題文には自家発電下で人工呼吸器が正常に作動していると示されています。正常に動作している機器をあえて外して用手換気(バッグバルブマスク等)に切り替えることは、回路離脱に伴う低換気・低酸素・感染のリスクを生じさせ、患者にとって不利益です。徒手換気は機器が停止または故障した場合の対応です。

  4. ×4.  輸液ポンプ使用者の輸液ラインを自然滴下に切り替える。

    輸液ポンプも自家発電により正常作動しています。投与量を正確に管理する必要があるICUの輸液(昇圧薬や鎮静薬などが含まれることが多い)を自然滴下に切り替えると、投与速度の誤差が大きくなり循環動態の急変を招くおそれがあります。動いている機器をむやみに変更しないことが災害時対応の鉄則です。

災害時のICU対応では、まず「ライフライン(電源・酸素・吸引)」と「医療機器の作動状況」を確認し、次に「患者の身体状況」「患者と家族の心理状況」を整理します。自家発電は通常、非常用コンセント(赤色コンセント)に接続された機器のみを動かす設計のため、人工呼吸器や輸液ポンプは必ず赤色コンセントに接続されているかを日頃から点検しておくことが重要です。また、自家発電の燃料は数時間〜10時間程度しか持たないため、停電が長期化する場合に備え、用手換気物品(ジャクソンリースやバッグバルブマスク)、予備バッテリー、酸素ボンベの残量確認も並行して行います。ICU患者は鎮静下や挿管中であっても聴覚は残っていることが多く、状況説明の声かけはせん妄予防の観点からも有用です。

停電直後でも「自家発電に切り替わり機器は正常作動」という条件を読み取れるかが鍵。機器対応が不要な状況では、不安を抱える意識清明な患者への心理的ケアが最優先となる。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。