海藻はなぜダメ?Basedow病の検査前にヨウ素を控える理由
看護師国家試験 第115回 午後 第97問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aさん(21歳、女性、大学生)は半年ほど前から疲れやすさを自覚していた。その後、夜間にも息切れと動悸が出現するようになり、1か月前から所属するテニスサークルを休んでいる。数日前からは手が震えるようになり、学業にも支障が出てきた。頻脈に汗が出ると自覚しており、母親から「首が腫れている」と指摘され受診した。受診時は、身長160cm、体重44kgで半年前から6kg減少していた。体温37.5℃、呼吸数22/分、脈拍132/分、血圧152/70mmHgであった。
診察の結果、Basedow〈バセドウ〉病が疑われ、甲状腺アイソトープ(123I)摂取率検査を受けることになった。 検査前の食事で制限するのはどれか。
- 1.果物
- 2.肉類
- 3.海藻類
- 4.緑黄色野菜
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
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サクラPOINT
Basedow病の精査前にヨウ素摂取を制限する理由と、ヨウ素を多く含む代表的食品(海藻類)を結び付けられるかを問う問題。甲状腺ホルモンの原料がヨウ素であることを軸に整理する。
解答・解説
正解は3です
問題文:診察の結果、Basedow〈バセドウ〉病が疑われ、甲状腺アイソトープ(123I)摂取率検査を受けることになった。 検査前の食事で制限するのはどれか。
解説:正解は 3 です。Basedow病は自己抗体(TRAb:抗TSH受容体抗体)が甲状腺を持続的に刺激し、甲状腺ホルモン(FT4・FT3)が過剰に産生される自己免疫性疾患である。診断には血中のFT4・FT3・TSHの測定や、TRAb・TSAbなどの抗体測定、甲状腺シンチグラフィ(放射性ヨウ素摂取率測定)などが行われる。甲状腺ホルモンの原料はヨウ素(ヨード)であり、ヨウ素を多量に摂取すると一時的に甲状腺ホルモン合成が抑制されたり(Wolff-Chaikoff効果)、逆に過剰産生を起こしたりして検査値が変動する。特に放射性ヨウ素を用いる検査ではヨウ素摂取が結果に直接影響するため、検査前は海藻類などヨウ素を多く含む食品の摂取制限が必要となる。Aさんの病態(頻脈132/分、体重6kg減少、振戦、体温37.5℃、収縮期高血圧、甲状腺腫)を踏まえても、正確な検査結果を得るためにヨウ素制限の指導が重要である。
選択肢考察
- ×1. 果物
果物はビタミンや食物繊維、糖質を主に含む食品で、ヨウ素含有量は極めて少ない。甲状腺機能検査前に制限する必要はない。
- ×2. 肉類
肉類はタンパク質源として重要だが、ヨウ素含有量は低く、甲状腺ホルモン測定や放射性ヨウ素検査に影響を与える代表的食品ではない。むしろBasedow病で代謝が亢進している患者には、十分なタンパク質摂取が推奨される。
- ○3. 海藻類
昆布・わかめ・ひじき・のりなどの海藻類はヨウ素を非常に多く含む(特に昆布は突出して高い)。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となり、摂取量により甲状腺機能や検査値、放射性ヨウ素摂取率検査の精度に大きく影響する。そのため検査前は海藻類およびヨード卵などヨウ素強化食品の摂取を控える必要がある。
- ×4. 緑黄色野菜
ほうれん草・にんじん・かぼちゃなどの緑黄色野菜はビタミンAやカロテン、ビタミンCなどが豊富だが、ヨウ素含有量は少なく、甲状腺関連検査前に制限する必要はない。
Basedow病の典型症状として「メルゼブルクの三徴」(甲状腺腫・頻脈・眼球突出)が知られ、その他に体重減少、発汗過多、手指振戦、易疲労感、収縮期高血圧、微熱、月経異常などがみられる。Aさんも頻脈132/分、振戦、体重6kg減少、体温37.5℃、甲状腺腫と典型像を呈している。診断ではFT4・FT3高値、TSH低値、TRAb陽性が基本となる。ヨウ素制限が必要となるのは血液検査のみならず、放射性ヨウ素摂取率検査やシンチグラフィ、将来的にアイソトープ治療を行う場合にも重要であり、検査・治療の1〜2週間前から制限することが多い。日常的に注意すべきヨウ素含有物として、海藻類のほか、ヨード卵、ヨウ素を含む造影剤、ポビドンヨード含有うがい薬・消毒薬、一部の咳止めシロップなども挙げられる。日本人は海藻摂取量が多くヨウ素摂取量も世界的に高いため、患者指導では具体例を挙げて説明することが実践的に重要である。
Basedow病の精査前にヨウ素摂取を制限する理由と、ヨウ素を多く含む代表的食品(海藻類)を結び付けられるかを問う問題。甲状腺ホルモンの原料がヨウ素であることを軸に整理する。
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