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特定健診・特定保健指導を制度の骨格から理解する

看護師国家試験 第115午前86

国試問題にチャレンジ

115午前86

特定健康診査・特定保健指導について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.医療保険者が実施主体である。
  2. 2.がんのスクリーニングを目的とする。
  3. 3.特定健康診査の受診者全員に特定保健指導を実施する。
  4. 4.対象は、75歳以上の医療保険被保険者・被扶養者である。
  5. 5.根拠法令は、高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)である。

対話形式の解説

博士博士
今日は115回午前86問、特定健康診査と特定保健指導についての問題じゃ。2つ選ぶタイプじゃから、選択肢を一つずつ丁寧に潰していこう。
サクラサクラ
はい、博士。特定健診って「メタボ健診」っていう呼び方は聞いたことがあります。確か40歳から始まるんですよね?
博士博士
そのとおりじゃ。対象は当該年度に40歳から74歳になる医療保険の被保険者と被扶養者じゃ。75歳以上になると後期高齢者医療制度に移るから、特定健診の対象からは外れる。これだけで選択肢4は誤りと分かるな。
サクラサクラ
なるほど。じゃあ選択肢2の「がんのスクリーニングを目的とする」はどうですか?健診って、がんも一緒に調べるイメージがあって…
博士博士
いい着眼点じゃ。だが、特定健診の目的はあくまでメタボリックシンドロームの早期発見と、虚血性心疾患・脳血管疾患・2型糖尿病といった生活習慣病の発症・重症化予防に絞られておる。がん検診は別制度で、健康増進法に基づいて市町村が胃・大腸・肺・乳・子宮頸の5つを実施しておる。法律も実施主体も違うから、混同しないことが大事じゃ。
サクラサクラ
法律が違うんですね。じゃあ特定健診の根拠法は何ですか?
博士博士
それが選択肢5の「高齢者の医療の確保に関する法律」、通称「高齢者医療確保法」じゃ。2006年の医療制度改革で老人保健法が改正されてこの名前になり、2008年4月から特定健診・特定保健指導が始まった。第20条が特定健診、第24条が特定保健指導の規定じゃから、選択肢5は正解。
サクラサクラ
では選択肢1の「医療保険者が実施主体」も正解ですか?市町村が実施しているイメージだったのですが…
博士博士
ここが受験生がよく間違えるポイントじゃ。実施主体は健康保険組合・協会けんぽ・共済組合・市町村国保といった「医療保険者」じゃ。市町村国保の場合に市町村が実施しているように見えるが、あくまで「保険者として」実施しておるのじゃ。被用者保険の被扶養者であれば市町村ではなく加入する健保組合や協会けんぽが実施することになる。だから選択肢1も正解じゃ。
サクラサクラ
なるほど。残る選択肢3の「受診者全員に保健指導を実施」が誤りという理屈はどうなりますか?
博士博士
特定健診の結果から、腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上、またはBMI25以上の人を抽出し、さらに血糖・脂質・血圧・喫煙のリスク数で「積極的支援」「動機付け支援」「情報提供」の3区分に階層化する。保健指導が手厚く提供されるのは前2区分の該当者のみで、リスクのない人には情報提供のみじゃから、全員に保健指導を実施するわけではないのじゃ。
サクラサクラ
リスク階層化で対象を絞るんですね。覚え方のコツはありますか?
博士博士
「根拠法・実施主体・対象年齢」をセットで暗記するのが王道じゃ。学校健診なら学校保健安全法と学校設置者、労働者健診なら労働安全衛生法と事業者、乳幼児健診なら母子保健法と市町村、がん検診なら健康増進法と市町村、そして特定健診なら高齢者医療確保法と医療保険者で40〜74歳、という具合じゃ。表にして整理すると国試の出題パターンに強くなる。
サクラサクラ
制度ごとに法律と主体が違うんですね、整理して覚えます。臨床現場ではどう関わってきますか?
博士博士
病棟看護師だと直接関わる機会は少ないが、保健師や産業看護職、地域包括ケアに関わる訪問看護師にとっては特定保健指導の知識は必須じゃ。動機付け支援は原則1回、積極的支援は3か月以上の継続支援といった運用面まで押さえると、保健師国試や面接でも一段深く答えられるようになる。

POINT

特定健康診査・特定保健指導の「対象年齢(40〜74歳)」「目的(メタボ予防)」「実施主体(医療保険者)」「根拠法(高齢者医療確保法)」を整理して問う問題。

解答・解説

正解は1です

問題文:特定健康診査・特定保健指導について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は1と5。特定健康診査・特定保健指導は、2008年(平成20年)4月から「高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)」に基づいて開始された制度で、生活習慣病の発症および重症化予防を目的に、メタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導の体系である。実施主体は、市町村国民健康保険、健康保険組合、全国健康保険協会(協会けんぽ)、共済組合、後期高齢者医療広域連合など、被保険者およびその被扶養者を有する各「医療保険者」と法律で定められている(高齢者医療確保法第20条、第24条)。対象は40歳から74歳までの被保険者・被扶養者で、75歳以上は後期高齢者医療制度に移行するため特定健診の対象外である(ただし後期高齢者の健康診査は別途実施)。健診結果から、腹囲・BMI、血糖・脂質・血圧・喫煙歴のリスクを階層化し、「動機付け支援」「積極的支援」「情報提供」のいずれかに振り分け、リスクの高い者に対してのみ特定保健指導が提供される。したがって、医療保険者が実施主体であること(選択肢1)と、根拠法が高齢者医療確保法であること(選択肢5)の2つが正しい。

選択肢考察

  1. 1.  医療保険者が実施主体である。

    正しい。高齢者医療確保法第20条・第24条において、特定健康診査および特定保健指導の実施義務は加入する医療保険者(市町村国保、健康保険組合、協会けんぽ、共済組合等)に課されている。市町村が一般住民を対象に行うがん検診(健康増進法に基づく)とは実施主体が異なる点に注意が必要である。

  2. ×2.  がんのスクリーニングを目的とする。

    誤り。特定健診の目的はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の早期発見と、それに起因する生活習慣病(虚血性心疾患、脳血管疾患、2型糖尿病など)の発症・重症化予防である。がんのスクリーニングは健康増進法に基づき市町村が実施する「がん検診(胃・大腸・肺・乳・子宮頸)」が担っており、制度的に区別される。

  3. ×3.  特定健康診査の受診者全員に特定保健指導を実施する。

    誤り。特定健診の結果から、腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)またはBMI25以上を基準に、血糖・脂質・血圧・喫煙のリスク数を加味して階層化し、「積極的支援」「動機付け支援」「情報提供」のいずれかに振り分ける。保健指導が提供されるのはリスクのある「積極的支援」「動機付け支援」該当者のみで、リスクのない受診者には情報提供のみとなる。

  4. ×4.  対象は、75歳以上の医療保険被保険者・被扶養者である。

    誤り。特定健診・特定保健指導の対象は当該年度に40〜74歳となる医療保険加入者である。75歳以上は後期高齢者医療制度の被保険者となり、特定健診の対象外となる(広域連合が別途、後期高齢者健康診査を努力義務として実施)。

  5. 5.  根拠法令は、高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)である。

    正しい。2006年の医療制度改革で老人保健法が改正・改称され、2008年4月から「高齢者の医療の確保に関する法律」として施行された。この法律の第18条以下に特定健康診査等基本指針、第20条に特定健康診査、第24条に特定保健指導の規定があり、本制度の直接の法的根拠となっている。

【関連知識】メタボの判定基準は、必須項目の腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)に加え、(1)空腹時血糖110mg/dL以上またはHbA1c5.6%以上、(2)中性脂肪150mg/dL以上またはHDL-C40mg/dL未満、(3)収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上、(4)喫煙歴ありのうち2項目以上で「積極的支援」、1項目で「動機付け支援」となる(65〜74歳と前期高齢者は積極的支援該当者も動機付け支援に区分)。【類似制度との区別】(1)がん検診=健康増進法・市町村が実施、(2)学校健診=学校保健安全法・学校設置者、(3)労働者の健診=労働安全衛生法・事業者、(4)乳幼児健診=母子保健法・市町村、(5)特定健診=高齢者医療確保法・医療保険者、と根拠法と実施主体をセットで覚えると国試で頻出の出題に対応できる。

特定健康診査・特定保健指導の「対象年齢(40〜74歳)」「目的(メタボ予防)」「実施主体(医療保険者)」「根拠法(高齢者医療確保法)」を整理して問う問題。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。