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腹部打診で「聴く」のは音!触診との違いをスッキリ整理

看護師国家試験 第115午前36

国試問題にチャレンジ

115午前36

腹部の打診で観察するのはどれか。

  1. 1.鼓音
  2. 2.反跳痛
  3. 3.筋性防御
  4. 4.腫瘤の硬さ

対話形式の解説

博士博士
今回は腹部の打診について学ぶぞ。フィジカルアセスメントの基本中の基本じゃが、触診と混同しやすいから要注意じゃ。
サクラサクラ
打診って、お腹を指でトントンとたたく、あれですよね?何のためにやるんですか?
博士博士
お腹をたたくと振動が伝わって音が返ってくる。その音の質を聴き分けることで、お腹の中にガスがどれくらいあるか、肝臓や脾臓はどのあたりにあるか、腹水はたまっていないかなどを推測できるのじゃ。
サクラサクラ
なるほど!音から中身を想像するんですね。具体的にはどんな音が聴こえるんですか?
博士博士
大きく分けて「鼓音」と「濁音」じゃ。鼓音はガスが入った腸の上をたたいたときに響く、太鼓みたいに高く澄んだ音。濁音は肝臓や脾臓のような中身が詰まった実質臓器、あるいは腹水のような液体がある部位で聴かれる、鈍く詰まった音じゃな。
サクラサクラ
じゃあ、腹部全体をたたいて鼓音と濁音の分布を確認するのが打診の目的なんですね。
博士博士
その通り!そこで本問じゃ。「腹部の打診で観察するのはどれか」と聞かれているぞ。選択肢には鼓音、反跳痛、筋性防御、腫瘤の硬さの4つがある。さて、どれが打診で評価するものかな?
サクラサクラ
えーっと…反跳痛って、押して急に離すと痛いやつですよね?あれは触診な気がします。筋性防御も腹筋が緊張するから、触ってみないとわからない気が…。
博士博士
鋭い!その通りじゃ。反跳痛も筋性防御も腹膜刺激症状で、いずれも「触ってみて」初めてわかる所見じゃ。腫瘤の硬さも当然、手で触れて評価するもの。打診で音を聴いて評価するのは「鼓音」だけ。だから正解は1番じゃ。
サクラサクラ
わかりました!打診は音、触診は痛みや硬さや抵抗。きっぱり分けて覚えるといいんですね。
博士博士
うむ、その整理が一番じゃ。ところで、腹部のフィジカルアセスメントには順番のルールがあるのを知っておるか?
サクラサクラ
視診→触診→打診→聴診…でしたっけ?
博士博士
惜しい!腹部だけは特別で「視診→聴診→打診→触診」の順番じゃ。なぜか分かるかの?
サクラサクラ
あっ、もしかして触ったり打ったりすると、腸の動きが刺激されて腸蠕動音が変わっちゃうから、先に聴診するんですか?
博士博士
大正解じゃ!腸蠕動音を正確に評価するためには、刺激を加える前に聴診を済ませる必要がある。これは国試でも頻出のポイントじゃから絶対に覚えておくのじゃ。
サクラサクラ
腹水があるときの打診って、何か特徴的な所見があるんですか?
博士博士
良い質問じゃ。腹水がたまっていると、患者さんを仰向けにしたとき下側に水が移動するから、濁音の領域も体位変換に伴って動く。これを「移動性濁音」や「シフティング・ダルネス」と呼んで、腹水診断の有名な所見じゃ。
サクラサクラ
打診って、ただトントンするだけかと思っていましたが、奥が深いですね!
博士博士
じゃろう?単純な手技に見えて、得られる情報はとても豊かなのじゃ。日々のケアでもしっかり活用していくのじゃぞ。

POINT

腹部のフィジカルアセスメントにおける「打診」と「触診」の役割分担を問う問題。打診は音(鼓音・濁音)の聴き分け、触診は痛み・硬さ・抵抗の確認、という基本的な対応関係が問われている。

解答・解説

正解は1です

問題文:腹部の打診で観察するのはどれか。

解説:正解は 1 です。打診(パーカッション)は身体の表面を指でたたき、その振動によって生じる音や反響を聴き取って、体内の臓器やガス・液体の分布状態を推測するフィジカルアセスメント手技です。腹部打診では主に「鼓音(こおん)」と「濁音(だくおん)」の2種類を聴き分けます。鼓音は腸管内などに空気(ガス)が多く存在する部位で響く、太鼓のような高く澄んだ音で、胃や腸の上を打診したときに典型的に聴かれます。一方、肝臓や脾臓のような実質臓器、あるいは腹水などの液体貯留がある部位では、振動が伝わりにくいため鈍く詰まったような「濁音」となります。打診はガスや液体の存在、肝臓・脾臓の大きさの推定、腹水の有無の評価などに用いられる、視診・聴診・打診・触診というアセスメントの一連の手順の中に位置づけられる重要な手技です。

選択肢考察

  1. 1.  鼓音

    打診で生じる音のひとつで、ガスを含む腸管などをたたいたときに聴かれる高く響く音。鼓音と濁音の分布を聴き取ることが腹部打診の主目的であり、本問の正解となる。

  2. ×2.  反跳痛

    反跳痛(ブルンベルグ徴候)は腹壁を指でゆっくり押し込み、急に手を離した瞬間に生じる痛みで、腹膜刺激症状の代表的所見。これは触診で確認するものであり、打診では評価できない。

  3. ×3.  筋性防御

    筋性防御(デファンス)は腹膜炎などで腹壁を触れた際に腹筋が反射的に緊張し、板のように硬くなる所見。触診によって把握する徴候であり、打診の観察項目ではない。

  4. ×4.  腫瘤の硬さ

    腫瘤の有無・大きさ・可動性・硬さ・圧痛などの性状は、手のひらや指で直接触れる触診によって評価する。打診の音だけで腫瘤の硬さを判定することはできない。

腹部のフィジカルアセスメントは「視診→聴診→打診→触診」の順で行うのが原則。腸蠕動音を打診や触診の刺激で変えてしまわないように、聴診を先に行う点が他部位と異なる重要なポイントです。打診音は大きく分けて、共鳴音(清音:含気量の多い肺野で聴かれる)、鼓音(ガスが充満した管腔臓器で聴かれる高く響く音)、濁音(肝・脾・心臓など実質臓器や腹水・腫瘤上で聴かれる鈍い音)、過共鳴音(気胸や肺気腫など空気が増えすぎた状態で聴かれる)に分類されます。腹水が貯留している場合には、体位変換に伴って濁音域が移動する「移動性濁音」やshifting dullnessといった所見が有名で、これも打診のテクニックを応用したものです。

腹部のフィジカルアセスメントにおける「打診」と「触診」の役割分担を問う問題。打診は音(鼓音・濁音)の聴き分け、触診は痛み・硬さ・抵抗の確認、という基本的な対応関係が問われている。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。