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精神科入院形態

精神看護学 / 精神科入院・法制度・拘束

解説

今回は精神科入院形態について解説します。 精神科では、患者本人の同意がなくても治療のために入院させる仕組みが法律で定められています。これは身体疾患とは大きく異なる特徴であり、患者の人権と医療上の必要性のバランスをとるために、入院の要件・手続き・期間・退院の権利などが厳密に定められています。看護師国家試験では、5つの入院形態と精神医療審査会の役割が繰り返し問われる頻出領域です。

精神保健福祉法と精神保健指定医

精神科入院の根拠となる法律は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)です。この法律は、精神障害者の医療と保護を行うこと、社会復帰の促進と自立支援、発生予防などを目的としています。 入院の判定に欠かせない専門職が精神保健指定医です。精神保健指定医は厚生労働大臣が指定する医師で、本人の同意によらない入院(非自発的入院)の必要性や、隔離・身体的拘束といった行動制限の要否を判断する権限をもちます。入院形態によって必要な指定医の人数が異なる点は、国試で頻繁に問われます。

5つの入院形態

精神保健福祉法に基づく入院形態には、任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・緊急措置入院の5種類があります。それぞれ、本人同意の有無、必要な指定医の数、同意者、入院期間の制限が異なります。

任意入院

任意入院とは、患者本人の同意(書面による意思表示)に基づいて行われる入院です。精神保健福祉法では、入院が必要な場合はまず任意入院を検討することが原則とされ、5つの形態のなかで第一選択となります。本人が入院に同意していれば、たとえ服薬を拒否していたり病識が乏しかったりしても任意入院として扱います。 任意入院では開放処遇が原則で、本人からの退院申し出には応じる必要があります。ただし精神保健指定医が必要と判断した場合に限り、72時間以内の退院制限をかけることができます。

医療保護入院

医療保護入院とは、精神保健指定医1名が入院の必要を認め、かつ家族等の同意が得られた場合に、本人の同意がなくても行うことができる入院です。法改正により、従来の「保護者の同意」から「家族等の同意」へと変更されました。家族等がいない場合や家族等の意思が明らかでない場合は、市町村長の同意で入院させることができます。自傷他害のおそれは要件ではない点に注意が必要です。

応急入院

応急入院とは、ただちに入院が必要であるにもかかわらず家族等の同意が得られない場合に、精神保健指定医1名の診察により72時間以内に限って行われる入院です。応急入院指定病院でのみ実施できます。

措置入院

措置入院とは、精神保健指定医2名以上の診察結果が一致し、医療および保護のために入院させなければ自身を傷つけまたは他人に害を及ぼすおそれ(自傷他害のおそれ)があると認められた場合に、都道府県知事(政令指定都市では市長)の権限で行われる入院です。本人や家族の同意は不要で、費用は公費で負担されます。指定医2名の一致を要する形態は措置入院のみであり、国試で頻出します。

緊急措置入院

緊急措置入院とは、措置入院の要件に該当する自傷他害のおそれが著明であるものの、急速を要し正規の措置入院手続をとる時間的余裕がない場合に、精神保健指定医1名の診察により72時間以内に限って都道府県知事の権限で行う入院です。

患者の権利と精神医療審査会

非自発的入院は本人の意思によらないため、人権擁護の仕組みが法律で整えられています。入院患者および家族等は、都道府県知事に対して退院請求および処遇改善請求を行うことができます。退院請求の権利は患者本人にも認められている点が重要です。 この請求の妥当性や入院継続の適否を判定する第三者機関が、各都道府県・指定都市に設置される精神医療審査会です。精神医療審査会は医療委員(精神保健指定医)・法律家委員・有識者委員で構成され、合議体で審査を行います。主な業務は、医療保護入院の入院届の審査、定期病状報告書の審査、退院請求および処遇改善請求の審査です。審査結果は都道府県知事に通知されます。

行動制限と処遇

精神科病院の管理者は、医療または保護に欠くことができない限度で患者の行動を制限できますが、基本的人権に関わる事項は制限してはならないとされています。具体的には、信書(手紙)の発受、弁護士や行政機関職員との面会・電話などは制限が禁じられています。ただし信書中に異物(刃物等)が含まれる場合の取り扱いなど、安全保護のための例外はあります。 隔離や身体的拘束といった行動制限のうち、12時間を超える隔離および身体的拘束は精神保健指定医の判断が必要です。12時間以内の隔離は指定医以外の医師でも指示できます。

まとめ

精神科入院形態は精神保健福祉法に基づき、任意入院・医療保護入院・応急入院・措置入院・緊急措置入院の5種類があります。任意入院は本人同意、医療保護入院は指定医1名と家族等同意、応急入院は指定医1名で72時間以内、措置入院は指定医2名一致で知事権限、緊急措置入院は指定医1名で72時間以内かつ知事権限という違いを、要件・同意者・期間でセットにして整理しましょう。退院請求は患者本人にも認められ、その判定は精神医療審査会が行います。信書の発受や弁護士との面会は制限できないこと、12時間を超える隔離や身体的拘束には精神保健指定医の判断が必要であることも、あわせて押さえておきたい頻出事項です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    精神科の入院形態を規定している法律はである。

  2. 2.

    本人の同意によらない入院や行動制限の要否を判断する権限をもつ、厚生労働大臣が指定する医師をという。

  3. 3.

    精神保健指定医2名以上の診察結果が一致し、自傷他害のおそれがあると認められた場合に、都道府県知事の権限で行われる入院形態をという。

  4. 4.

    精神保健指定医1名の診察と家族等の同意に基づき、本人の同意がなくても行われる入院形態をという。

  5. 5.

    ただちに入院が必要であるが家族等の同意が得られない場合に、精神保健指定医1名の診察により72時間以内に限って行われる入院形態をという。

  6. 6.

    患者本人の同意(書面)に基づいて行われ、精神保健福祉法上、入院の第一選択とされる入院形態をという。

  7. 7.

    医療保護入院中の患者が都道府県知事に対して退院請求を行った際、その入院継続の適否を審査する第三者機関をという。

  8. 8.

    精神科病院に入院中の患者であっても制限してはならない、基本的人権に関わる通信手段として、手紙の発受すなわちがある。

  9. 9.

    医療保護入院において、家族等がいない場合や家族等の意思が明らかでない場合に、家族等に代わって同意することができるのはである。

  10. 10.

    措置入院の要件に該当する自傷他害のおそれが著明であるが急を要する場合に、精神保健指定医1名の診察により72時間以内に限り都道府県知事の権限で行う入院形態をという。

精神科入院形態」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。