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精神保健福祉の法と制度

精神看護学 / 精神科入院・法制度・拘束

解説

精神保健福祉の法と制度とは、精神障害者の医療と福祉、地域生活支援、自殺予防、人権擁護を一体的に保障するための法律および行政の仕組みのことです。今回は精神保健福祉の法と制度について、看護師国家試験で問われる中心的な論点を整理しながら解説します。

精神保健福祉法を基本に据える

精神障害者支援の根幹となる法律は、**精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)**です。この法律は精神障害者の医療と保護、社会復帰と自立、福祉の増進、国民の精神的健康の保持増進を目的としています。後述する精神保健福祉センター、精神保健指定医、精神保健福祉相談員、退院後生活環境相談員、精神障害者保健福祉手帳、入院形態などはすべてこの法律に根拠を置きます。

精神保健福祉センターと相談支援体制

精神保健福祉センターは精神保健福祉法第6条に基づき、各都道府県および政令指定都市に設置される公的機関です。地域における精神保健福祉の中核的機関として、複雑困難な相談への対応、関係機関への技術指導、普及啓発、デイケア、精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療の判定、精神医療審査会の事務などを担います。職員には医師、精神保健福祉士、保健師、臨床心理士、看護師などの専門職が配置されます。

センターや保健所で実際に相談を担当するのが精神保健福祉相談員です。同法第48条に基づき、都道府県知事または市町村長が任命します。任命要件は精神保健福祉士などの資格を有することで、精神障害者や家族の相談、訪問指導、関係機関との連絡調整を行います。

精神保健指定医の指定と権限

精神保健指定医は、精神科医療における強制的措置を判定する権限をもつ医師で、同法第18条に基づき厚生労働大臣が指定します。要件は5年以上の臨床経験のうち精神科3年以上の経験、所定のケースレポート提出、研修修了です。措置入院や医療保護入院の要否判定、12時間を超える隔離や身体的拘束の指示、定期病状報告の判定など、患者の人権に深く関わる業務を担います。指定権者が都道府県知事ではなく厚生労働大臣である点が頻出ポイントです。

退院後生活環境相談員と地域移行

平成25年の精神保健福祉法改正で創設されたのが退院後生活環境相談員です。医療保護入院者について入院後7日以内に1人を選任し、早期退院と地域生活への移行を支援します。退院支援委員会の運営、本人・家族との相談、地域援助事業者との連絡調整、居住の場の確保などを行います。令和4年の改正では措置入院者も対象に加わりました。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は精神疾患により日常生活や社会生活に長期の制約がある人を対象とし、初診から6か月以上経過後に申請でき、等級は1〜3級、2年ごとの更新が必要です。交付により所得税・住民税の障害者控除、相続税や自動車税の軽減、公共料金や交通機関の割引、NHK受信料の減免などの優遇が受けられます。手帳の有無と障害福祉サービス利用は別制度である点に注意が必要です。

障害者総合支援法に基づく支援

障害者総合支援法は精神障害者にも適用される基本法で、自立支援給付として**自立支援医療(精神通院医療)**を提供します。これは精神疾患で通院治療を継続する人を対象に、医療費の自己負担を原則1割に軽減する公費負担医療制度で、手帳の有無に関係なく利用できます。

訓練等給付には就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、共同生活援助などがあります。就労移行支援は一般企業等への就労を希望する65歳未満の障害者を対象に、原則24か月を上限として訓練、職場実習、求職活動、就労後の定着支援を行います。就労継続支援A型は雇用契約を結び最低賃金以上を保障し、B型は雇用契約を結ばず工賃を支払う形態です。

自殺対策とこころのバリアフリー

自殺対策基本法は2006年に制定され、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指しています。同法に基づき、**自殺予防週間(毎年9月10日〜16日)と自殺対策強化月間(3月)**が定められ、国民への啓発が集中的に行われます。

こころのバリアフリー宣言は平成16年に厚生労働省が示した指針で、精神疾患への正しい理解、偏見・差別の解消、早期受診の促進、共に生きる社会づくりを目的とした8つの柱から構成されます。

日本の精神医療の現状

日本の精神病床数は人口当たりでみるとOECD加盟国のなかで最多であり、平均の数倍にのぼります。長期入院の歴史を背景に、諸外国で進む脱施設化(地域移行)が課題とされており、現在は『入院医療中心から地域生活中心へ』の方針のもと、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が進められています。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    精神保健福祉センターは、精神保健福祉法第条に基づき、各都道府県およびに設置される。

  2. 2.

    精神保健指定医は、精神保健福祉法第18条に基づきが指定する。

  3. 3.

    精神保健福祉相談員は、または市町村長が任命し、精神保健福祉センターや保健所で相談業務を担う。

  4. 4.

    退院後生活環境相談員は、医療保護入院者について入院後日以内に選任され、早期退院と地域移行を支援する。

  5. 5.

    精神障害者保健福祉手帳の等級は級で、所得税・住民税のなどの優遇が受けられる。

  6. 6.

    障害者総合支援法に基づく(精神通院医療)により、精神疾患の通院治療費は原則1割負担に軽減される。

  7. 7.

    一般企業等への就労を希望する障害者に対し、原則か月を上限として訓練や求職活動を支援するサービスをという。

  8. 8.

    自殺対策基本法により、毎年9月10日から16日は、3月は自殺対策強化月間とされている。

  9. 9.

    日本の人口当たり精神病床数はOECD加盟国のなかでであり、地域移行が課題となっている。

精神保健福祉の法と制度」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。