避難所での健康管理
看護の統合と実践 / 災害看護
解説
避難所での健康管理とは、災害発生後に避難所で生活する被災者の心身の健康を維持し、二次的な健康被害を防ぐための支援活動です。看護師は要配慮者への支援、生活環境の整備、疾病予防に取り組みます。
災害時要配慮者と合理的配慮
災害時要配慮者とは、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、外国人など、災害時に特別な配慮を必要とする人々を指します。これらの対象者には、その特性に応じた合理的配慮が求められます。
高齢者や障害者は、移動や情報取得に困難を抱えるため、トイレに近い場所を確保することが基本的な配慮となります。トイレが遠いと飲水を控えてしまい、脱水や深部静脈血栓症を招き、夜間のトイレ移動で転倒する危険も高まります。視覚障害者にはトイレ・通路・出入口の位置を具体的に伝え、段差や障害物を除去し、音声情報や拡大文字を用いた情報提供を行います。視覚障害者を誘導する際は、まず声をかけ、肘の少し上を握ってもらい、半歩前を歩き、段差や曲がり角で具体的に状況を伝えるのが基本です。
特に支援が必要な人には、医療や介護スタッフが配置された福祉避難所への移送を検討します。
生活不活発病(廃用症候群)
避難所では、狭い空間や慣れない環境、することがない状況、周囲への遠慮などから、身体活動が著しく低下しやすくなります。その結果として起こりやすいのが生活不活発病(廃用症候群)です。これは「生活が不活発なことが原因で起こる、心身の機能の全般的低下」と定義され、新潟県中越地震や東日本大震災で顕在化した問題です。
予防の基本は「動かないことから動くことへ」の転換です。毎日の散歩、避難所内での体操、炊き出しの手伝いなど役割をもつこと、家族や地域とのつながりを維持することが重要です。
静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
発災直後に自家用車で寝泊まりする避難者には、静脈血栓塞栓症が起こりやすくなります。狭い座位姿勢が続き、水分摂取が不足することで下肢の深部静脈に血栓が形成され、肺血栓塞栓症を引き起こす危険があります。新潟県中越地震では車中泊由来の発症が多発しました。
予防として、2時間ごとの下肢運動、弾性ストッキングの着用、十分な水分摂取、可能な限り横になれる環境の確保、禁煙を指導します。
その他の健康リスクと環境整備
避難所では感染症の集団発生、低体温、誤嚥性肺炎、不眠による認知機能低下なども起こりやすくなります。床に直接寝ることを避けるための段ボールベッド、プライバシーを確保するためのつい立ての設置など、環境整備が健康維持につながります。
医療支援にはDMAT(災害派遣医療チーム)、DPAT(災害派遣精神医療チーム)、日本赤十字社救護班などが活動します。
まとめ
避難所での健康管理は、要配慮者への合理的配慮を基盤に、生活不活発病や静脈血栓塞栓症などの二次的健康被害を予防することが中心となります。看護師はトイレに近い場所の確保、身体活動の促進、水分摂取の励行、環境整備を通じて被災者の心身の健康を守る役割を担います。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
避難所において、災害時に特別な配慮を必要とする高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、外国人などをといい、その特性に応じたが求められる。
- 2.
避難所で高齢者や視覚障害者には、夜間移動による転倒や脱水を防ぐため、に近い場所を確保することが基本的な配慮である。
- 3.
避難所で身体活動が低下することにより、高齢者に最も起こりやすい心身の機能の全般的低下を(廃用症候群)という。
- 4.
発災直後に自家用車で寝泊まりする避難者では、座位姿勢の継続と水分摂取不足により(エコノミークラス症候群)が起こりやすい。
- 5.
静脈血栓塞栓症の予防として、時間ごとの下肢運動、弾性ストッキングの着用、十分な摂取が指導される。
- 6.
視覚障害者を誘導する際は、声をかけたうえでの少し上を握ってもらい、を歩くのが基本である。
- 7.
特に支援が必要な要配慮者は、医療や介護スタッフが配置されたへの移送を検討する。
- 8.
避難所に派遣される災害医療チームには、災害派遣医療チームである、災害派遣精神医療チームである、日本赤十字社救護班などがある。
- 9.
避難所での環境整備として、床に直接寝ることを避けるためにを導入し、プライバシー確保のためについ立てを設置する。
