腹膜透析(CAPD)の管理
成人看護学 / 腎・泌尿器
解説
今回は腹膜透析(CAPD)の管理について解説します。
腹膜透析の原理と種類
腹膜透析は、患者自身の腹膜を半透膜として利用する在宅透析法です。腹腔内に透析液を注入し、血液中の老廃物や余剰水分を腹膜を介して透析液へ移行させ、一定時間後に排液することで体外へ排出します。
代表的な方式は二つあります。**CAPD(持続携行式腹膜透析)**は1日4回程度の手動バッグ交換で行う方法、**APD(自動腹膜透析)**は夜間就寝中に自動装置で透析液を交換する方法です。
血液透析(HD)との比較
CAPDはHDと比較して除水・除去がゆるやかであり、循環動態が安定しやすいという利点があります。残腎機能も保たれやすく、通院頻度が少ないため生活の自由度が高いことも特徴です。
ただし食事管理は不要になるわけではなく、塩分・水分・カリウム・リン・たんぱく質の調整は引き続き重要です。
主な合併症
腹膜炎
CAPD最大の合併症が腹膜炎です。早期サインは排液の混濁(白濁や浮遊物)と腹痛で、特に腹痛は最も特異的な症状です。発熱・悪心・嘔吐を伴うこともあります。
診断は、(1)腹痛や排液混濁などの症状、(2)排液中白血球数100/μL以上かつ好中球50%以上、(3)排液培養陽性、のうち2つ以上を満たす場合になされます。原因菌はブドウ球菌などのグラム陽性球菌が多く、バッグ交換手技の清潔不徹底が原因となります。予防には手指衛生、マスク着用、清潔な作業環境の維持が不可欠で、接続部の汚染時はすぐに医療機関へ連絡するよう指導します。
その他の合併症
長期合併症として被嚢性腹膜硬化症(EPS)、カテーテル出口部感染、カテーテル位置異常や閉塞などの機械的合併症があります。CAPDの継続可能期間は一般に5〜8年とされ、その後は血液透析への移行や腎移植が検討されます。
職場でのバッグ交換環境
社会復帰や就労を支援するには、職場でのバッグ交換環境を整える必要があります。プライバシーが保てる個室、透析液・消毒液・マスクなどを専用棚に保管できる清潔な作業環境、手洗い設備が必要です。交換中は窓を閉め、エアコンの直風を避け、人の出入りを制限します。
自己効力感への支援
在宅透析を継続するには、患者の自己効力感を高める支援が重要です。バンデューラの理論では、(1)達成体験、(2)代理体験(同年代のPD患者の体験を聞く)、(3)言語的説得、(4)生理的情動的喚起の4要素が挙げられます。高齢者では家族や訪問看護師の支援を組み合わせたAssisted PDが国際的にも推奨されています。
看護のポイント
1日4回程度のバッグ交換手技の習熟を支援し、食事管理(塩分・水分・K・P・たんぱく質)を指導します。排液の色・混濁・浮遊物の観察、体重管理による除水量の把握も日常的に行います。さらに心理的支援、家族や職場との調整、患者会やピアサポートの紹介など、生活全体を支える包括的なかかわりが求められます。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
腹膜透析は患者自身のを半透膜として利用する在宅透析法である。
- 2.
1日4回程度の手動バッグ交換を行う方式をといい、夜間に自動装置で交換する方式をという。
- 3.
CAPDは血液透析と比較して除水がゆるやかでが安定しやすく、も保たれやすい。
- 4.
CAPD最大の合併症はであり、早期サインは排液のと腹痛である。
- 5.
腹膜炎の診断基準のひとつとして、排液中白血球数/μL以上かつ好中球%以上が用いられる。
- 6.
腹膜炎の原因菌はブドウ球菌などのが多く、バッグ交換手技の清潔不徹底が原因となる。
- 7.
CAPDの長期合併症として、腹膜が肥厚し腸閉塞をきたす(EPS)がある。
- 8.
CAPDの継続可能期間は一般に年とされ、その後は血液透析への移行や腎移植が検討される。
- 9.
自己効力感を高めるバンデューラの理論には、達成体験・・言語的説得・生理的情動的喚起の4要素がある。
- 10.
高齢者では家族や訪問看護師の支援を組み合わせたが国際的に推奨されている。
