クリティカルシンキングとEBN
基礎看護学 / 看護過程・看護理論
解説
今回はクリティカルシンキングとEBNについて解説します。看護実践において、根拠に基づき安全で質の高いケアを提供するために欠かせない思考と方法論です。
クリティカルシンキングとは
クリティカルシンキングは批判的思考と訳されますが、否定的に物事を捉える意味ではありません。「本当にそうなのか」「他に解釈はないか」と前提や根拠を吟味し、客観的・論理的に結論に至る思考過程を指します。
看護では、得られた情報の妥当性や信頼性を評価し、複数の選択肢を比較したうえで、根拠に基づくケアを選択するために用いられます。EBP(evidence-based practice)や看護過程の判断・評価の段階で不可欠であり、感情・先入観・直感に流されず、客観的データに基づいて意思決定を行うことが求められます。
構成要素と実践ステップ
構成要素には、好奇心、開放性、自己分析、論理的推論、誠実さ、公正性があります。実践のステップは、①情報を吟味する、②前提や思い込みを問い直す、③代替案を検討する、④根拠と倫理性を確認する、という流れで進めます。
関連する思考様式
ロジカル・シンキング(論理的思考)は筋道立てて推論する思考、リフレクティブ・シンキング(内省的思考)は自己の実践を振り返る思考です。クリティカルシンキングは「疑いながら吟味する」点に特徴があります。
EBN(Evidence-Based Nursing)とは
EBNとは、利用可能な最善の研究成果(エビデンス)、看護師の臨床経験、患者の価値観や意向、利用可能な資源を統合して意思決定を行う実践アプローチです。中核的なプロセスは、研究論文の有用性を批判的に吟味(クリティーク)し、目の前の患者に適用できるかを検討することです。
EBNの5ステップ
第1段階は臨床疑問の定式化で、PICO(あるいはPECO)という枠組みを用います。Pは Patient(患者)、Iは Intervention(介入)、Cは Comparison(比較)、Oは Outcome(結果)を表します。第2段階は文献検索、第3段階は批判的吟味(クリティーク)、第4段階は臨床への適用、第5段階は評価です。この一連の流れを循環させることで、ケアの質を高めていきます。
エビデンスレベルの階層
エビデンスには信頼性の階層があります。最上位はシステマティックレビューとメタアナリシスで、続いてランダム化比較試験(RCT)、コホート研究、症例対照研究と続き、症例報告や専門家の意見が最下位に位置づけられます。
看護過程との関係
アセスメント、看護診断、計画、実施、評価のすべての段階でクリティカルシンキングが必要です。「なぜこの症状が出ているのか」「この計画は本当に患者に合っているか」と問い続ける姿勢が、医療安全、インシデント分析、ケアの質向上に直結します。EBNとクリティカルシンキングを車の両輪として活用することが、現代の看護実践に求められています。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
クリティカルシンキングはと訳され、前提や根拠を吟味し客観的・論理的に結論に至る思考過程である。
- 2.
EBNとはの略で、エビデンス・臨床経験・患者の価値観・資源を統合して意思決定する実践アプローチである。
- 3.
EBNの臨床疑問を定式化する枠組みであるPICOのうち、Iは(介入)を意味する。
- 4.
PICOのOは(結果)を表す。
- 5.
エビデンスレベルの階層において最上位に位置するのは、システマティックレビューとである。
- 6.
ランダム化比較試験はと略され、コホート研究より上位のエビデンスとされる。
- 7.
研究論文の有用性を批判的に吟味することをという。
- 8.
自己の実践を振り返る思考は(内省的思考)と呼ばれる。
- 9.
EBNの5ステップは、臨床疑問の定式化、文献検索、批判的吟味、、評価の順で進める。
