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小児骨折の周術期看護

小児看護学 / 小児神経・運動器・発達障害

解説

小児骨折の周術期看護とは、骨折を負った子どもが入院から手術、退院後の生活までを安全に過ごせるよう支援する一連の看護です。今回は小児に多い上腕骨顆上骨折を中心に、周術期の看護のポイントを解説します。

上腕骨顆上骨折の概要

上腕骨顆上骨折は、上腕骨の肘関節に近い部位で起こる骨折で、学童期の小児に多くみられます。多くは転倒した際に肘を伸ばした状態で手を地面についたことで発生します。治療は徒手整復にギプス固定を組み合わせる非観血的整復が基本ですが、転位が大きい場合は経皮的ピンニングなどの手術が選択されます。肘部には上腕動脈や正中神経・橈骨神経が走行しており、骨折に伴う血管・神経損傷から重篤な後遺症をきたすことがあるため、周術期を通した綿密な観察が欠かせません。

周術期看護の流れ

周術期は術前・術中・術後・退院指導の各段階に分けて看護を組み立てます。術前は痛みや不安を緩和し、検査や処置の説明を発達段階に応じて行います。術中・術後は循環・神経障害の早期発見が中心となり、退院に向けてはギプス装着下での生活指導を保護者と本人に行います。

プレパレーション

プレパレーションとは、発達段階に応じた情報提供によって子どもの心理的準備を整える関わりです。学童期はピアジェの発達理論で具体的操作期にあたり、目の前にある具体物を通して論理的に理解する力が育っています。そこで、実際に使用するギプス材料や包帯、整復に使う道具を見せ、平易な言葉で処置の流れを説明します。「ギプスを巻くときは温かく感じる」「少し締めつけられる感じがする」など、子どもが体験する音・熱・感覚をあらかじめ具体的に伝えます。また、「じっとしていてほしい」「痛いときや怖いときは泣いてもよい」など、子ども自身が協力できる行動を示すことで、主体的に処置に向き合えるよう支援します。嘘をつかないことが原則であり、痛みを伴う場合は痛みがあることを正直に伝えます。

術後合併症の観察

ギプス固定後は、腫脹による循環障害や神経障害が起こりやすく、観察は患肢末梢である手指で行います。代表的な指標が5P徴候で、Pain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Pulselessness(脈拍消失)、Paresthesia(感覚異常・しびれ)、Paralysis(麻痺)の頭文字をとったものです。これらはコンパートメント症候群や阻血性拘縮の早期発見につながります。上腕骨顆上骨折では上腕動脈が損傷されると前腕屈筋群が阻血状態となり、フォルクマン拘縮を生じる危険があります。痛みの増強や、指を受動的に伸展させた際の疼痛増強は重要な警告サインで、見逃した場合の機能予後が悪いため、ただちに医師に報告し、ギプスカットや縦割して圧迫を解除するバイバルビングを行えるよう準備します。

ギプス管理と日常生活指導

ギプス固定中は腫脹軽減のため、睡眠時にも枕などを用いて患肢を心臓より高く挙上します。入浴時はビニールで覆って濡らさないようにし、ギプス内が痒くても棒などを差し込むと皮膚を傷つけ感染の原因になるため避けるよう指導します。学校生活では、ギプスに強い衝撃が加わると破損して固定力が失われたり骨片がずれたりするため、ぶつけないよう子どもに分かる言葉で具体的に伝えます。一方で、指先の運動や肩関節の運動は拘縮予防のために継続するよう促します。痛みが強くなる、しびれる、指の色が変わるなどの異常があれば、すぐに保護者や教員に伝えるよう約束しておきます。

まとめ

小児骨折の周術期看護では、発達段階に合わせたプレパレーションで子どもの主体的な参加を引き出しつつ、術後はギプス固定に伴う循環・神経障害を5P徴候で早期に捉えることが要となります。上腕骨顆上骨折ではフォルクマン拘縮の予防が最重要であり、ギプス管理と生活指導を通じて子どもの安全と機能回復を支えます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    学童期に多く、転倒時に肘を伸展位で地面についた際に生じる肘部の骨折をという。

  2. 2.

    発達段階に合わせた情報提供によって子どもの心理的準備を整える関わりをという。

  3. 3.

    学童期はピアジェの発達段階ではにあたり、具体物を用いた説明が有効である。

  4. 4.

    ギプス固定後の循環・神経障害の早期発見指標である5P徴候は、Pain、、Pulselessness、Paresthesia、Paralysisである。

  5. 5.

    上腕骨顆上骨折で上腕動脈が損傷されると、前腕屈筋群の阻血によりを生じる危険がある。

  6. 6.

    ギプス内圧上昇への対応として、ギプスを縦割して圧迫を解除する処置をという。

  7. 7.

    ギプス固定中は腫脹軽減のため、患肢を心臓より挙上する。

  8. 8.

    ギプス固定中の入浴時は、濡らさないようで覆うよう指導する。

小児骨折の周術期看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。