重症筋無力症について正しいのは?
看護師国家試験 第103回 午後 第35問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
重症筋無力症(myasthenia gravis)について正しいのはどれか。
- 1.筋肉の障害に起因する。
- 2.手術療法は甲状腺摘出である。
- 3.特徴的な症状は眼瞼下垂である。
- 4.クリーゼが発症した時は抗コリンエステラーゼ薬を投与する。
対話形式の解説
博士
今日は重症筋無力症についての問題じゃ。どんな疾患か知っているかな?
サクラ
筋肉が弱くなる病気…ですよね?筋肉自体に問題があるんですか?
博士
いいえ、筋肉自体ではなく神経筋接合部の問題じゃ。アセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生され、神経から筋への信号伝達が障害されるのじゃ。
サクラ
だから1の『筋肉の障害に起因する』は誤りなんですね。
博士
その通り。自己免疫疾患の一つじゃ。特徴的な症状は何だと思う?
サクラ
全身の筋力低下ですか?
博士
全身症状もあるが、特徴的なのは眼瞼下垂や複視といった眼症状じゃ。初発症状の多くを占める。
サクラ
では正解は3ですね!
博士
正解じゃ。日内変動が特徴で、朝は調子がよく夕方に悪化する。易疲労性も伴う。
サクラ
2の手術療法は甲状腺摘出ではないんですか?
博士
胸腺摘出術じゃ。胸腺は自己抗体の産生に関与しており、胸腺腫合併例や全身型では胸腺摘出が有効なのじゃ。
サクラ
クリーゼとは何ですか?
博士
クリーゼは急激な筋力低下で、特に呼吸筋麻痺により呼吸困難をきたす状態じゃ。筋無力性クリーゼとコリン作動性クリーゼがある。
サクラ
4の『抗コリンエステラーゼ薬を投与』は適切ですか?
博士
誤りじゃ。コリン作動性クリーゼは薬の過剰投与が原因なので、クリーゼ時は薬を中止し人工呼吸管理・血漿交換・ステロイドパルスを行うのじゃ。
サクラ
看護のポイントは何ですか?
博士
呼吸状態の観察、誤嚥予防、服薬時間の遵守、感染予防が重要じゃ。感染はクリーゼの誘因にもなる。
サクラ
眼症状から始まることを覚えておきます!
POINT
重症筋無力症は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体による自己免疫疾患で、眼瞼下垂や複視などの眼症状が特徴的です。日内変動と易疲労性を伴い、進行するとクリーゼ(呼吸筋麻痺)をきたします。手術療法は胸腺摘出術で、クリーゼ時は抗コリンエステラーゼ薬を中止し人工呼吸管理を行います。看護では呼吸状態の観察と感染予防が重要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:重症筋無力症(myasthenia gravis)について正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。重症筋無力症は神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体により、神経から筋への信号伝達が障害される自己免疫疾患です。特徴的な症状は眼瞼下垂・複視などの眼症状で、初発症状の多くを占めます。日内変動(朝より夕方に悪化)や易疲労性も特徴で、進行すると全身の筋力低下や呼吸筋麻痺(クリーゼ)をきたします。
選択肢考察
-
× 1. 筋肉の障害に起因する。
重症筋無力症は筋肉自体ではなく、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する自己抗体による疾患です。
-
× 2. 手術療法は甲状腺摘出である。
重症筋無力症の手術療法は胸腺摘出術です。胸腺は自己抗体産生に関与しており、胸腺腫合併例や全身型では胸腺摘出が有効です。
-
○ 3. 特徴的な症状は眼瞼下垂である。
重症筋無力症の初発症状として眼瞼下垂・複視などの眼症状が最も多く、特徴的です。日内変動と易疲労性を伴います。
-
× 4. クリーゼが発症した時は抗コリンエステラーゼ薬を投与する。
クリーゼには筋無力性クリーゼとコリン作動性クリーゼがあり、後者は抗コリンエステラーゼ薬の過剰投与が原因です。クリーゼ時は薬を中止し人工呼吸管理・血漿交換・ステロイドパルスなどを行います。
重症筋無力症の検査ではテンシロンテスト(抗コリンエステラーゼ薬で症状改善)、抗アセチルコリン受容体抗体測定、反復刺激試験などが行われます。治療は抗コリンエステラーゼ薬・ステロイド・免疫抑制薬・胸腺摘出術・血漿交換などです。看護では呼吸状態の観察、誤嚥予防、服薬時間の遵守、感染予防が重要です。
重症筋無力症の病態・症状・治療の基本を問う問題です。神経筋接合部の自己免疫疾患であり、眼症状が特徴的であることを理解しているかがポイントです。
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