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くも膜下出血クリッピング術後3時間の頭痛—鎮痛は治療の一部

看護師国家試験 第114回 午前 第98問 / 成人看護学 / 脳・神経系

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第98問

<問97〜問99は同一の症例設定に基づきます。各問は前問までの状況を引き継いで解答してください。> 問97はこちら 次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。 Aさんは、CT検査の結果、脳動脈瘤(cerebral aneurysm)の破裂によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)と診断され、クリッピング術を受けてICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、脈拍78/分、血圧126/60mmHg、フェイスマスクによる酸素投与下(5L/分)で経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%であった。3時間後、Aさんは開眼して「頭が痛い」と訴えた。バイタルサインに変化はなく、脳槽ドレーンからは淡血性の排液がみられている。 このときの看護師の判断で正しいのはどれか。

  1. 1.端座位にする。
  2. 2.枕を高くする。
  3. 3.鎮痛薬の適応である。
  4. 4.ドレーンをクランプする。

対話形式の解説

博士 博士

さて、Aさんはクリッピング術後3時間で「頭が痛い」と訴えてきた。看護師としてどう判断する?

アユム アユム

術後の頭痛って、再出血を疑った方がいいんじゃないでしょうか。怖いです。

博士 博士

気持ちは分かる。じゃが、判断材料を整理しよう。バイタルは血圧126/60、脈拍78、SpO₂98%で安定、意識も開眼している、ドレーン排液は淡血性。

アユム アユム

あ、淡血性って術直後はむしろ普通でしたよね。

博士 博士

その通り。血性→淡血性→淡黄色→無色透明と時間経過で薄くなっていく。3時間後に淡血性なら想定内じゃ。

アユム アユム

ということは、頭痛は再出血ではなくて術後の痛みということですね。

博士 博士

うむ、創部痛と髄膜刺激症状による頭痛が中心と判断できる。ここで重要なのは、痛みは血圧を上げて再出血や脳血管攣縮を誘発する引き金になるという点じゃ。

アユム アユム

じゃあ放置せず、鎮痛薬でしっかり痛みを抑えるのが正解…

博士 博士

その通り。鎮痛は治療の一部であり、再出血予防の意味も大きい。

アユム アユム

端座位にするはどうですか。気分転換になりそうですが…。

博士 博士

術後3時間は安静が必要で、急な体位変化は脳圧と血圧の変動を招く。再出血リスクが上がるからNGじゃ。

アユム アユム

枕を高くするは?頭部挙上は基本ですよね。

博士 博士

それはすでに15〜30度の挙上で行われている前提じゃ。これ以上高くしても頭痛は和らがず、急な変更は危険じゃ。

アユム アユム

ドレーンをクランプするのは…。

博士 博士

クランプは医師の指示で限定的に行うもの。看護師の独断で行うと頭蓋内圧上昇から再出血を招くこともある。絶対NGじゃ。

アユム アユム

脳血管攣縮はいつごろ起きるんでしたっけ。

博士 博士

発症後4〜14日が多い。クリッピングしても起きる可能性があるから、術後経過に応じて警戒する。

アユム アユム

正常圧水頭症は…。

博士 博士

数週〜数か月後の遅発合併症じゃ。歩行障害・認知障害・尿失禁が三徴候だぞ。

アユム アユム

頭痛だけでも、時期と所見の組み合わせで判断が変わるんですね。

博士 博士

その通り。意識・瞳孔・麻痺・血圧・ドレーン排液を経時的に観察し、変化があれば医師に報告する。これが術後看護の基本じゃ。

アユム アユム

鎮痛が単なる「痛み止め」ではなく、二次合併症を防ぐ重要な治療だと分かりました。

POINT

くも膜下出血クリッピング術後の頭痛では、バイタルサイン・意識レベル・ドレーン排液の所見を組み合わせて、再出血や頭蓋内圧亢進と通常の術後痛を見分ける判断力が求められます。Aさんはバイタル安定・意識清明・淡血性排液と術後想定内の所見であり、頭痛は創部痛と髄膜刺激による疼痛と判断できます。痛みは血圧上昇を介して再出血や脳血管攣縮を誘発するため、鎮痛薬による疼痛コントロールは予防的にも重要です。看護師は端座位や枕の急な変更、独断でのドレーンクランプといったリスクのある対応を避け、合併症の発症時期(再出血・脳血管攣縮・正常圧水頭症)を意識した経時観察を行いましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:<問97〜問99は同一の症例設定に基づきます。各問は前問までの状況を引き継いで解答してください。> 問97はこちら 次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。 Aさんは、CT検査の結果、脳動脈瘤(cerebral aneurysm)の破裂によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)と診断され、クリッピング術を受けてICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、脈拍78/分、血圧126/60mmHg、フェイスマスクによる酸素投与下(5L/分)で経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%であった。3時間後、Aさんは開眼して「頭が痛い」と訴えた。バイタルサインに変化はなく、脳槽ドレーンからは淡血性の排液がみられている。 このときの看護師の判断で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 です。クリッピング術後3時間で、バイタルサインは安定しており、脳槽ドレーンからの淡血性排液は術直後として正常範囲です。意識レベルも開眼しているため、頭痛は再出血や頭蓋内圧亢進ではなく、術後創部痛・髄膜刺激症状による疼痛と判断できます。痛みは血圧上昇を介して再出血や脳血管攣縮を誘発するリスクがあるため、適切な鎮痛薬投与で疼痛コントロールを図ることが必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  端座位にする。

    術後3時間は安静が必要で、急な体位変化は脳圧変動や血圧変動を招き再出血のリスクがある。端座位は適応外。

  2. × 2.  枕を高くする。

    頭部挙上15〜30度は脳浮腫予防のための標準的体位ですでに行われている可能性が高く、これ以上枕を高くしても頭痛緩和にはつながらず、急な体位変化はリスクを伴う。

  3. 3.  鎮痛薬の適応である。

    バイタル安定、意識清明、ドレーン排液も術後想定内であることから、頭痛は術後創部痛や髄膜刺激症状と判断できる。痛みは血圧上昇による再出血や血管攣縮のトリガーとなるため、鎮痛薬で疼痛コントロールを図るのが正しい判断。

  4. × 4.  ドレーンをクランプする。

    ドレーンのクランプは医師の指示で限定的に行うもので、看護師の独断では実施しない。安易なクランプは頭蓋内圧上昇を招き再出血リスクを高める。

くも膜下出血クリッピング術後の主な合併症と発症時期を覚えておくと判断がぶれない。①再出血:術後早期、②脳血管攣縮:発症後4〜14日、③正常圧水頭症:数週〜数か月後。術後の脳槽ドレーン(脳室ドレーン)排液は淡血性→淡黄色→無色透明と推移し、急な濃赤色化は再出血、混濁は感染を疑う。鎮痛薬は血圧上昇による再出血予防の意味も大きく、十分な鎮痛は治療の一環。アセトアミノフェンや非ステロイド系鎮痛薬、必要時はオピオイドが用いられる。看護師は意識・瞳孔・麻痺・血圧・ドレーン排液を経時観察し、わずかな変化も医師に共有する。

くも膜下出血術後早期の頭痛に対し、バイタルとドレーン所見から鎮痛薬投与の適応と判断できるかを問う問題。