前頭葉障害の症状を整理
看護師国家試験 第104回 午後 第87問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
前頭葉の障害に伴う症状で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.人格の変化
- 2.感覚性失語
- 3.自発性の欠乏
- 4.平衡機能障害
- 5.左右識別障害
対話形式の解説
博士
今日は前頭葉障害の症状を学ぶぞ。前頭葉は何の中枢じゃ
サクラ
人格、思考、判断、運動、運動性言語などの中枢です
博士
その通り。では選択肢1の人格の変化はどうじゃ
サクラ
前頭前野が障害されると衝動制御や社会性が失われ、人格変化が出ますね
博士
正解じゃ。次の感覚性失語はどこの障害じゃ
サクラ
側頭葉のウェルニッケ野です
博士
前頭葉障害なら運動性失語、つまりブローカ失語が出るんじゃ
サクラ
自発性の欠乏は前頭葉ですか
博士
そうじゃ。補足運動野や前頭前野の障害でアパシー症状が出る
サクラ
前頭側頭型認知症でも見られますね
博士
核症状の一つじゃな。平衡機能障害はどこの問題じゃ
サクラ
小脳や前庭神経系の障害です
博士
左右識別障害は
サクラ
頭頂葉の角回でゲルストマン症候群の一症状ですね
博士
見事じゃ。すると正解は1と3となる
サクラ
脳葉ごとの症状を整理しておけば迷いませんね
博士
その通り。リハビリ計画にも直結する大事な知識じゃ
POINT
前頭葉障害では人格変化と自発性の欠乏が代表的な症状です。誤答選択肢の感覚性失語は側頭葉、平衡機能障害は小脳、左右識別障害は頭頂葉と、それぞれ対応する脳部位が異なります。脳葉と機能・症状の対応を整理しておくと国試でも実習でも役立ちます。看護師は症状から障害部位を推測し、適切なリハビリ・支援につなげる視点が求められます。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:前頭葉の障害に伴う症状で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は1と3です。前頭葉は人格や思考、判断、自発性、運動性言語など高次精神機能を担う領域で、障害されると人格変化や脱抑制、自発性の欠乏(無気力、無動)などが現れます。
選択肢考察
-
○ 1. 人格の変化
前頭前野は判断、計画、社会性、衝動制御を司ります。障害されると怒りっぽくなる、無関心になる、社会的に不適切な言動が増えるなど、本人の性格が変わったように見える人格変化が出現します。
-
× 2. 感覚性失語
感覚性失語(ウェルニッケ失語)は側頭葉のウェルニッケ野の障害で生じ、流暢に話すが言葉の意味理解が困難になります。前頭葉のブローカ野の障害では運動性失語が出現します。
-
○ 3. 自発性の欠乏
前頭葉、特に前頭前野や補足運動野が障害されると、意欲や行動を起こす力が乏しくなり無気力・無動・発話減少などのアパシー症状が出ます。前頭側頭型認知症の中核症状でもあります。
-
× 4. 平衡機能障害
平衡機能の調節は小脳や前庭神経系が担います。前頭葉障害では起こらず、酩酊歩行や体幹失調をみたら小脳系を疑います。
-
× 5. 左右識別障害
左右識別障害は頭頂葉、特に角回付近の障害で生じるゲルストマン症候群の一症状です。失算、失書、手指失認とともに出現し、前頭葉障害ではありません。
脳葉と症状の対応をまとめると、前頭葉:人格変化・自発性低下・運動性失語・運動麻痺、側頭葉:感覚性失語・記憶障害・聴覚異常、頭頂葉:感覚障害・左右識別障害・失行、後頭葉:視覚障害・視覚失認、小脳:失調・平衡障害となります。リハビリでは障害部位に応じた介入計画が必要です。
脳の各葉の機能局在と障害症状の対応を整理し、前頭葉症状を識別できるかを問います。
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