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狭心症に効く薬はどれ?―冠動脈を守る二枚看板

看護師国家試験 第106回 午後 第75問 / 成人看護学 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第75問

狭心症( angina pectoris )の治療に用いる薬はどれか。2つ選べ。

  1. 1.アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
  2. 2.スルホニル尿素薬
  3. 3.ジギタリス製剤
  4. 4.抗血小板薬
  5. 5.硝酸薬

対話形式の解説

博士 博士

今回は狭心症の治療薬の問題じゃ。まず狭心症ってどんな病気か説明できるかの?

サクラ サクラ

胸が痛くなる…心筋梗塞の手前、みたいなイメージです。

博士 博士

良いスタートじゃ。狭心症は冠動脈が動脈硬化で狭くなったり、攣縮したりして心筋への血液が一時的に不足し、可逆的な虚血と胸痛を起こす病態じゃ。

サクラ サクラ

『可逆的』ってところがポイントですね。壊死したら心筋梗塞。

博士 博士

その通り。治療の考え方は『心筋の酸素需要を減らす』『冠動脈の血流を増やす』『血栓を防ぐ』の3本柱じゃ。

サクラ サクラ

硝酸薬、つまりニトログリセリンは血管を広げるんですよね。

博士 博士

よく知っておるな。硝酸薬は一酸化窒素(NO)を介して血管平滑筋を弛緩させ、冠動脈拡張+静脈拡張による前負荷軽減で虚血を改善する。発作時の舌下投与が第一選択じゃ。

サクラ サクラ

抗血小板薬は?

博士 博士

アスピリンなどじゃな。冠動脈のプラーク上で血小板が凝集すると血栓ができて心筋梗塞に進展する。これを防ぐのが抗血小板薬じゃ。ステント留置後は特に重要。

サクラ サクラ

じゃあアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は違うんですか?

博士 博士

ARBは高血圧や心不全の薬。二次予防では併用されることもあるが、狭心症の発作治療薬ではない。選択肢として出題されたらまず除外。

サクラ サクラ

スルホニル尿素薬は糖尿病、ジギタリスは心不全と頻脈性心房細動…それぞれ守備範囲が違うんですね。

博士 博士

その通り。ちなみにジギタリスは心筋収縮力を上げるから、心筋酸素需要が増えて狭心症には逆効果なのじゃ。

サクラ サクラ

絶対覚えておきます!ところで硝酸薬には重要な禁忌があるんですよね?

博士 博士

おお、よく知っておる。PDE5阻害薬(バイアグラ等)との併用は急激な血圧低下で危険。必ず問診で確認するのじゃ。

サクラ サクラ

舌下錠は5分以内に効かなければどうしたらいいですか?

博士 博士

追加投与もしくは救急要請を検討。20〜30分続く強い胸痛は心筋梗塞を疑い、病院へ。

サクラ サクラ

看護師の役割として、服薬指導と症状観察が本当に大事ですね。

博士 博士

うむ。薬の作用機序と病態を結び付ければ、選択肢の整理は怖くないのじゃ。

POINT

狭心症は冠動脈の狭窄や攣縮による一過性の心筋虚血で、治療は硝酸薬・β遮断薬・カルシウム拮抗薬の『抗狭心症三剤』と抗血小板薬、スタチンが中心です。硝酸薬は血管平滑筋を弛緩させ冠動脈拡張と前負荷軽減で虚血を改善し、抗血小板薬は血栓形成を抑え心筋梗塞への進展を防ぎます。ARBや降圧薬は背景の高血圧治療に、SU薬は糖尿病治療に用いられる薬で、ジギタリスは強心作用から狭心症には不適です。硝酸薬とPDE5阻害薬の併用禁忌、ニトログリセリン舌下錠の使い方、胸痛が20〜30分続く場合の心筋梗塞への移行など、看護師として知っておくべき実践的ポイントも多く、病態と薬理を結び付けて学習することが重要です。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:狭心症( angina pectoris )の治療に用いる薬はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4 と 5 です。狭心症は冠動脈の動脈硬化による狭窄や攣縮により心筋への血流が一過性に不足し、可逆的な心筋虚血と胸部絞扼感を生じる疾患です。治療の基本は『心筋酸素需要の軽減』と『冠動脈血流の改善、血栓予防』。硝酸薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなど)は血管平滑筋を弛緩させて冠動脈を拡張するとともに静脈系を拡張して前負荷を軽減し、発作時と予防に広く用いられます。抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)は血小板凝集を抑えて冠動脈内での血栓形成を防ぎ、心筋梗塞への進展予防・ステント留置後の血栓予防に欠かせない薬剤です。

選択肢考察

  1. × 1.  アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬

    アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は高血圧や心不全、糖尿病性腎症の治療薬。血圧を介して虚血性心疾患の二次予防に使われることはあるが、狭心症そのものの発作治療薬ではない。

  2. × 2.  スルホニル尿素薬

    スルホニル尿素薬(SU薬)は膵β細胞からのインスリン分泌を促進する経口血糖降下薬で、2型糖尿病の治療薬。狭心症の治療薬ではない。

  3. × 3.  ジギタリス製剤

    ジギタリス(ジゴキシンなど)は心筋収縮力を増強する強心薬で、心不全や頻脈性心房細動に用いる。むしろ心筋酸素需要を高めるため狭心症治療薬ではない。

  4. 4.  抗血小板薬

    アスピリン、クロピドグレルなどが代表。冠動脈プラーク上の血小板凝集を抑制し、血栓形成と心筋梗塞への進展を予防する。ステント留置後にも必須。

  5. 5.  硝酸薬

    ニトログリセリンなどは一酸化窒素を介して血管平滑筋を弛緩させ、冠動脈拡張と静脈拡張による前負荷軽減で心筋虚血を改善する。舌下錠は発作時の第一選択。

狭心症治療の柱は『硝酸薬・β遮断薬・カルシウム拮抗薬(いわゆる抗狭心症三剤)+抗血小板薬+スタチン(脂質異常症治療薬)』。労作性狭心症にはβ遮断薬、冠攣縮性(異型)狭心症にはカルシウム拮抗薬が有効。硝酸薬は勃起不全治療薬(PDE5阻害薬:シルデナフィル等)との併用で急激な血圧低下を起こすため禁忌。ニトログリセリン舌下錠は5分以内に効果が出ない場合は再投与・救急要請を検討し、20〜30分持続する強い胸痛は心筋梗塞を疑う。

狭心症の病態(冠動脈狭窄による心筋虚血)から、治療薬のカテゴリを選ぶ問題。降圧薬・糖尿病薬・強心薬との区別がポイント。