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労作時の胸痛、心電図に何が映る?

看護師国家試験 第107回 午前 第90問 / 成人看護学 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第90問

Aさん( 56歳、男性 )は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、 狭心症( angina pectoris )が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症( dyslipidemia )の既往がある。 Aさんの運動負荷心電図検査( トレッドミル運動負荷試験 )の結果を下に示す。 このときの心電図の所見で適切なのはどれか。

Aさん( 56歳、男性 )は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、 狭心症( angina pectoris )が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症( dyslipidemia )の既往がある。 Aさんの運動負荷心電図検査( トレッドミル運動負荷試験 )の結果を下に示す。 このときの心電図の所見で適切なのはどれか。
  1. 1.発作時はST低下がある。
  2. 2.発作時はP波が低下している。
  3. 3.安静時は異常Q波がある。
  4. 4.安静時は冠性T波がある。
  5. 5.安静時と発作時ともにQRS幅が拡大している。

対話形式の解説

博士 博士

Aさん、56歳男性、脂質異常症もちで、荷物を運ぶと胸部圧迫感か……どんな疾患を疑う?

アユム アユム

労作時の胸痛、しかも繰り返し出現……労作性狭心症ですね。

博士 博士

その通り。労作性狭心症の発作時の心電図、何が特徴じゃ?

アユム アユム

ST部分の低下です。1mm以上の水平型か下降型のST低下が典型ですよね。

博士 博士

正解。心負荷が増えて心筋の酸素需要が増すと、心内膜下が虚血に陥るのじゃ。

アユム アユム

だから選択肢1が正解ですね。

博士 博士

選択肢3の異常Q波はどういう意味じゃ?

アユム アユム

陳旧性心筋梗塞を示唆する所見ですよね。狭心症では通常みられません。

博士 博士

うむ。選択肢4の冠性T波は?

アユム アユム

左右対称の陰性T波で、心筋虚血、特に心筋梗塞の所見です。

博士 博士

そうじゃ、労作性狭心症の安静時心電図は通常正常じゃ。

アユム アユム

発作が起きていないときは、狭窄はあっても虚血が表面化していないんですね。

博士 博士

その通り。QRS幅の拡大は?

アユム アユム

脚ブロックや心室内伝導障害で、狭心症の所見ではありません。

博士 博士

うむ。狭心症の分類も覚えておるか?

アユム アユム

労作性はST低下、安静時(冠攣縮性)はST上昇、不安定狭心症は急性冠症候群に含まれます。

博士 博士

よく覚えておるな。治療は?

アユム アユム

硝酸薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗血小板薬を組み合わせ、必要ならPCIやCABGですね。

博士 博士

生活指導では脂質管理・禁煙・ストレス対処・適度な運動じゃ。Aさんの生活も見直しが必要じゃな。

POINT

労作性狭心症の発作時心電図では水平型または下降型のST低下(1mm以上)が典型所見です。安静時は正常なことが多く、異常Q波や冠性T波は心筋梗塞を示唆する別の所見として区別します。運動負荷試験は虚血を誘発して診断する重要な検査で、発作前後の心電図を比較することが鍵となります。治療は薬物療法に加え、危険因子管理と生活指導が再発予防の要です。看護師は症状発現のパターンを丁寧に聞き取り、医師と情報を共有します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん( 56歳、男性 )は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、 狭心症( angina pectoris )が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症( dyslipidemia )の既往がある。 Aさんの運動負荷心電図検査( トレッドミル運動負荷試験 )の結果を下に示す。 このときの心電図の所見で適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。Aさんは荷物を運ぶという身体労作時に胸部圧迫感が繰り返し出現しており、典型的な労作性狭心症が疑われます。労作性狭心症では、心負荷増大により酸素需要が供給を上回ると心内膜下心筋が虚血に陥り、心電図上は運動時(発作時)にST部分の水平型または下降型低下が0.1mV(1mm)以上みられます。安静時の心電図は正常であることが多く、陰性T波(冠性T波)や異常Q波は通常出現しません。異常Q波や冠性T波は心筋梗塞を示唆する所見であり、狭心症とは区別されます。QRS幅の拡大は脚ブロックなどの伝導障害を示し、本設問では認められません。

選択肢考察

  1. 1.  発作時はST低下がある。

    労作性狭心症では運動負荷で心内膜下虚血が生じ、水平型または下降型のST低下(1mm以上)がみられます。

  2. × 2.  発作時はP波が低下している。

    P波の低下は心房興奮の異常を示し、狭心症の典型所見ではありません。

  3. × 3.  安静時は異常Q波がある。

    異常Q波は陳旧性心筋梗塞を示唆する所見で、本設問の狭心症患者にはみられません。

  4. × 4.  安静時は冠性T波がある。

    左右対称の陰性T波(冠性T波)は心筋梗塞の心筋虚血所見で、労作性狭心症の安静時には通常みられません。

  5. × 5.  安静時と発作時ともにQRS幅が拡大している。

    QRS幅拡大は脚ブロックなど心室内伝導障害の所見で、狭心症の典型所見ではありません。

狭心症は発作状況で分類されます。労作性(労作で発作、ST低下が特徴)、安静時(冠動脈攣縮性で夜間〜早朝に発作、ST上昇が特徴)、不安定狭心症(発作頻度増加や安静時出現、急性冠症候群に含まれる)の3類型です。検査は運動負荷心電図・冠動脈CT・心筋シンチグラフィ・冠動脈造影を組み合わせ、治療は硝酸薬・β遮断薬・Ca拮抗薬・抗血小板薬に加え、PCIや冠動脈バイパス術が選択されます。

労作性狭心症発作時の心電図所見(ST低下)を正しく識別できるかを問う設問です。