StudyNurse

胸を切り裂く激痛!急性大動脈解離の真実

看護師国家試験 第107回 午前 第28問 / 成人看護学 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第28問

急性大動脈解離( acute aortic dissection )について正しいのはどれか。

  1. 1.大動脈壁の外膜が解離する。
  2. 2.診断には造影剤を用いないCT検査を行う。
  3. 3.Stanford< スタンフォード >分類B型では緊急手術を要する。
  4. 4.若年者ではMarfan< マルファン >症候群( Marfan syndrome )の患者にみられることが多い。

対話形式の解説

博士 博士

今日は救急領域の重要疾患、急性大動脈解離について学ぶのじゃ。まずこの疾患の病態はどこで解離が起こるのか分かるかな?

アユム アユム

大動脈の壁のどこかですよね…外膜でしょうか?

博士 博士

実は「中膜」じゃ。選択肢1は外膜と書いてあるから誤り。正しくは、内膜に亀裂が入り、そこから中膜に血液が流入して真腔と偽腔に分かれるのじゃ。

アユム アユム

中膜が解離するんですね。症状はどんなものですか?

博士 博士

突然発症の激烈な胸背部痛じゃ。「引き裂かれるような痛み」と表現される。移動性の痛みや血圧左右差、ショック、脳梗塞様症状、心タンポナーデなど多彩な症状を示す。

アユム アユム

致死率はどのくらいなんですか?

博士 博士

A型は治療しないと発症後48時間で約50%が死亡するとされる極めて予後不良な疾患じゃ。迅速な診断と治療が命を分ける。

アユム アユム

診断はどうするんですか?造影剤なしのCTでいいんですか?

博士 博士

選択肢2はそこが間違いじゃ。確定診断には造影CTが必須。造影することで真腔・偽腔・解離範囲・分枝血管への影響が明瞭に評価できる。

アユム アユム

造影剤が使えない患者さんもいますよね?

博士 博士

腎機能障害や造影剤アレルギーの場合はMRIや経食道心エコーを用いる。経食道エコーはベッドサイドでも実施可能で、急性期の強力な診断ツールじゃ。

アユム アユム

Stanford分類ってどういう分類ですか?

博士 博士

上行大動脈を含むかどうかで分ける。A型=上行大動脈を含む、B型=含まない(下行大動脈のみ)。覚え方は「Aは上、Bは下」じゃ。

アユム アユム

治療はどちらも緊急手術ですか?

博士 博士

ここが選択肢3のポイントじゃ。A型は緊急手術の適応だが、B型は合併症がなければ降圧療法と安静による内科的治療が原則じゃ。

アユム アユム

なぜA型だけ緊急手術なんですか?

博士 博士

上行大動脈は破裂すると心タンポナーデや大動脈弁閉鎖不全、冠動脈閉塞を来し、即座に死に至るからじゃ。だから人工血管置換術で速やかに修復する必要がある。

アユム アユム

若年者ではマルファン症候群が多いんですね。

博士 博士

そうじゃ、選択肢4が正解。マルファン症候群はフィブリリン-1遺伝子の異常による結合組織疾患で、大動脈基部が脆弱になり解離や大動脈瘤を起こしやすい。

アユム アユム

マルファン症候群の特徴ってどんなものですか?

博士 博士

高身長・クモ状指・水晶体亜脱臼・大動脈基部拡張が有名じゃ。心エコーで大動脈基部拡張を追跡し、予防的手術を行う場合もあるぞ。

アユム アユム

他に若年発症の原因はありますか?

博士 博士

Ehlers-Danlos症候群(血管型)、Loeys-Dietz症候群などの遺伝性結合組織疾患、大動脈二尖弁、妊娠後期なども重要な原因じゃ。妊娠と大動脈解離は、特にマルファン症候群合併妊婦では厳重管理が必要じゃ。

アユム アユム

内科的治療の基本は何ですか?

博士 博士

厳格な降圧と心拍数低下じゃ。収縮期血圧100〜120mmHgを目標に、β遮断薬(ランジオロール、エスモロールなど)を第一選択とする。血圧が下がるだけでは不十分で、心拍数を下げてdP/dt(血圧変化率)を抑えることが重要じゃ。

POINT

急性大動脈解離は大動脈中膜の解離で、造影CTで確定診断し、Stanford A型(上行大動脈含む)は緊急手術、B型は内科的治療(降圧・安静)が原則です。若年発症ではマルファン症候群など遺伝性結合組織疾患が重要な原因で、FBN1遺伝子変異による大動脈壁脆弱性が背景にあります。β遮断薬による厳格な降圧と心拍数管理、家族歴聴取、心エコーによる経過観察が臨床のポイント。突然発症の激烈な胸背部痛、血圧左右差、ショック所見を見逃さないことが救命の鍵です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:急性大動脈解離( acute aortic dissection )について正しいのはどれか。

解説:正解は4の「若年者ではMarfan症候群の患者にみられることが多い」です。急性大動脈解離は、大動脈壁の中膜に血液が流入し、血管壁が内層と外層に裂ける(解離する)疾患で、突然発症の激烈な胸背部痛を呈し致死率が高い救急疾患です。マルファン症候群はフィブリリン-1をコードするFBN1遺伝子の変異による常染色体優性遺伝の結合組織疾患で、高身長・クモ状指・水晶体亜脱臼・大動脈基部拡張などを特徴とし、大動脈解離の若年発症リスクが極めて高い代表的疾患です。高齢者の大動脈解離は動脈硬化・高血圧が主因ですが、40歳未満の若年発症例ではマルファン症候群・Ehlers-Danlos症候群(血管型)・Loeys-Dietz症候群などの遺伝性結合組織疾患や、大動脈二尖弁、妊娠後期などが原因として重要です。

選択肢考察

  1. × 1.  大動脈壁の外膜が解離する。

    大動脈解離は中膜レベルでの解離であり、外膜の解離ではありません。内膜に亀裂(intimal tear)が生じ、血流が中膜に入り込んで偽腔を形成します。

  2. × 2.  診断には造影剤を用いないCT検査を行う。

    確定診断には造影CTが必要です。造影剤により真腔と偽腔、解離の範囲、分枝血管への影響を詳細に評価できます。単純CTだけでは解離の診断は困難です。禁忌がある場合はMRIや経食道心エコーを用います。

  3. × 3.  Stanford< スタンフォード >分類B型では緊急手術を要する。

    Stanford A型(上行大動脈を含む解離)が緊急手術の適応です。B型(上行大動脈を含まない、下行大動脈のみ)は合併症がなければ降圧療法と安静による内科的治療が第一選択となります。

  4. 4.  若年者ではMarfan< マルファン >症候群( Marfan syndrome )の患者にみられることが多い。

    若年発症の大動脈解離では、マルファン症候群などの遺伝性結合組織疾患が重要な原因となります。フィブリリン-1異常による大動脈壁の脆弱性が背景にあります。

Stanford分類:A型=上行大動脈を含む(緊急手術適応、人工血管置換術)、B型=上行大動脈を含まない(内科的治療が原則、合併症があれば血管内治療/TEVARや手術)。DeBakey分類:I型=上行大動脈から下行へ、II型=上行大動脈のみ、III型=下行大動脈のみ。症状は突然発症の激烈な胸背部痛(引き裂かれるような)、血圧左右差、ショック、脳梗塞様症状、心タンポナーデなど多彩。治療の基本は厳格な降圧(収縮期血圧100〜120mmHg目標)と心拍数低下で、β遮断薬が第一選択です。マルファン症候群は身長・指・水晶体脱臼の「3徴」で疑い、心エコーで大動脈基部拡張を確認、家族歴の聴取も重要です。

急性大動脈解離の病態・診断・Stanford分類・若年発症の原因疾患を総合的に問う問題です。