開心術後の心タンポナーデを理解しよう
看護師国家試験 第108回 午後 第28問 / 成人看護学 / 循環器系
国試問題にチャレンジ
開心術後の心タンポナーデ(cardiac tamponade)で正しいのはどれか。
- 1.徐脈
- 2.心音増強
- 3.心拍出量の増加
- 4.中心静脈圧の上昇
対話形式の解説
博士
今日は開心術後の重篤な合併症、心タンポナーデについて勉強するぞ。心嚢に液体が溜まって心臓が圧迫される病態じゃ。
アユム
博士、正解はどれですか?
博士
正解は4の『中心静脈圧の上昇』じゃ。心臓が外から圧迫されて拡張できないから、血液が心臓に戻れず静脈側に溜まって圧が上がるんじゃ。
アユム
開心術後はなぜ起こりやすいんですか?
博士
心臓や大血管に縫合した部分から出血が起こり、血液が心嚢内に溜まって心臓を圧迫するんじゃ。心嚢ドレーンが詰まると急速に進行して命に関わる。
アユム
典型的な所見はありますか?
博士
Beckの三徴じゃ。血圧低下、頸静脈怒張(=中心静脈圧上昇)、心音減弱の三つ。これに奇脈が加わることも多い。
アユム
選択肢1の徐脈はどうですか?
博士
逆じゃな。心拍出量が減るので交感神経が亢進して頻脈となる。徐脈は末期のサインで、出たら非常に危険じゃ。
アユム
選択肢2の心音増強は?
博士
心嚢の液体が音を遮るから心音は減弱する。聴診で『遠い音』に聞こえるのが特徴じゃ。
アユム
選択肢3の心拍出量増加は?
博士
これも逆。心室が十分に拡張できないから一回拍出量が減り、心拍出量は低下する。重症ではショックに陥る。
アユム
なぜ中心静脈圧が上がるんですか?
博士
右心房への血液還流が妨げられるからじゃ。静脈側に血液がうっ滞し、頸静脈が怒張する。CVPモニターでも上昇が確認できる。
アユム
看護師として何を観察すべきですか?
博士
心嚢ドレーンの排液量と性状、バイタルサイン、CVP、頸静脈怒張、心音の強さ、奇脈の有無じゃ。ドレーン排液が急に減ってCVPが上がったら要注意じゃ。
アユム
治療はどうなりますか?
博士
緊急で心嚢穿刺やドレナージを行う。それでも止まらなければ再開胸して止血する。時間との勝負で、早期発見が予後を左右する。
アユム
奇脈とは何ですか?
博士
吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下する現象じゃ。胸腔内圧変動で心タンポナーデの病態が強調されて現れる。
アユム
Beckの三徴と奇脈、しっかり覚えます。
POINT
心タンポナーデは心嚢液貯留により心臓の拡張が妨げられる病態で、開心術後の重篤な合併症です。Beckの三徴(血圧低下・頸静脈怒張=中心静脈圧上昇・心音減弱)に加え奇脈・頻脈・心拍出量低下がみられます。看護では心嚢ドレーンの観察とバイタルサインのモニタリングが重要で、異常時は速やかに医師に報告し心嚢穿刺などの緊急処置につなげます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:開心術後の心タンポナーデ(cardiac tamponade)で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。心タンポナーデは心嚢内に液体(血液・滲出液など)が貯留し、心臓が外側から圧迫されて拡張期に十分血液を取り込めなくなる病態です。開心術後は縫合部からの出血や術後出血により血液が心嚢に貯留して発症することがあります。心臓が拡張できないため静脈還流が妨げられ、中心静脈圧や頸静脈圧が上昇します。Beckの三徴(血圧低下・頸静脈怒張=中心静脈圧上昇・心音減弱)が典型的で、心拍出量は低下し、反射的に頻脈となります。緊急時は心嚢穿刺やドレナージが必要です。
選択肢考察
-
× 1. 徐脈
心拍出量低下を代償するため交感神経が亢進し頻脈となります。徐脈は一般的にはみられず、末期や高度の低酸素状態で出現することはあっても典型所見ではありません。
-
× 2. 心音増強
心嚢液により心音が伝わりにくくなり、心音は減弱(微弱)します。Beckの三徴の一つで、増強するのは誤りです。
-
× 3. 心拍出量の増加
心室が十分に拡張できないため一回拍出量は低下し、結果として心拍出量は減少します。重症例ではショックに至ります。
-
○ 4. 中心静脈圧の上昇
心臓が拡張できず右房への静脈還流が妨げられるため、中心静脈圧(CVP)が上昇します。頸静脈怒張として視診でも確認でき、Beckの三徴の一つです。
心タンポナーデの典型所見はBeckの三徴(血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱)に加え、奇脈(吸気時に収縮期血圧が10mmHg以上低下)がみられます。開心術後は心嚢ドレーンからの排液量・性状の観察が極めて重要で、急激な排液停止や血圧低下・頻脈・CVP上昇を認めたら心タンポナーデを強く疑い、速やかに医師へ報告します。治療は心嚢穿刺・ドレナージが基本で、再開胸が必要なこともあります。
開心術後の重篤な合併症である心タンポナーデの血行動態(心拍出量低下・静脈圧上昇・心音減弱・頻脈)を理解しているかを問うている。
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