StudyNurse

後天性大動脈弁狭窄症の病態整理

看護師国家試験 第110回 午前 第76問 / 成人看護学 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

110回 午前 第76問

後天性の大動脈弁狭窄症( aortic stenosis )について正しいのはどれか。

  1. 1.二尖弁が多い。
  2. 2.弁尖の石灰化による。
  3. 3.左室壁は徐々に薄くなる。
  4. 4.拡張期に心雑音を聴取する。
  5. 5.心筋の酸素需要は減少する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は後天性の大動脈弁狭窄症について整理するぞ

アユム アユム

お願いします。まず原因から教えてください

博士 博士

後天性の最多原因は加齢に伴う弁尖の石灰化じゃ。高齢社会で増えておる

アユム アユム

動脈硬化と似た機序なのですね。二尖弁が原因というのは

博士 博士

二尖弁は先天性の形態異常で、若年〜中年で狭窄を来すタイプじゃ。後天性では通常3尖弁じゃ

アユム アユム

弁が狭くなると左室にはどんな負荷がかかりますか

博士 博士

左室は狭い弁口に血液を押し出すため圧負荷を受け、求心性に肥大する

アユム アユム

左室壁は薄くなるのではなく厚くなるのですね

博士 博士

そうじゃ。壁が厚くなれば心筋の酸素需要も増える

アユム アユム

一方で冠動脈への供給は追いつかず、狭心症症状も出ますよね

博士 博士

その通り。狭心症・失神・心不全が古典的3徴で、出現すれば手術適応じゃ

アユム アユム

雑音はどこでいつ聴こえますか

博士 博士

収縮期駆出性雑音が第2肢間胸骨右縁で聴取される。拡張期ではないぞ

アユム アユム

拡張期雑音は大動脈弁閉鎖不全症や僧帽弁狭窄症でしたね

博士 博士

よく覚えておる。選択肢では「弁尖の石灰化による」が正解じゃ

アユム アユム

最近はTAVIという経カテーテル的治療もありますよね

博士 博士

うむ。高齢で開胸手術が難しい患者にも対応できる重要な治療法じゃ

POINT

後天性大動脈弁狭窄症の主因は加齢に伴う弁尖の石灰化です。左室は圧負荷で求心性肥大を生じ壁は厚くなり、心筋の酸素需要は増加します。雑音は収縮期駆出性雑音で、第2肢間胸骨右縁で最強となります。古典的3徴の狭心症・失神・心不全が出現すれば手術適応となり、近年はTAVIによる治療も普及しています。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:後天性の大動脈弁狭窄症( aortic stenosis )について正しいのはどれか。

解説:正解は2です。後天性大動脈弁狭窄症のもっとも多い原因は、加齢に伴う動脈硬化性変化で弁尖が石灰化することです。これにより弁の可動性が失われ、左室から大動脈への駆出が障害されます。

選択肢考察

  1. × 1.  二尖弁が多い。

    正常な大動脈弁は半月状の3尖弁です。二尖弁は先天性大動脈弁狭窄症の代表的な形態であり、後天性では通常3尖弁が加齢性変化で硬化・石灰化して狭窄に至ります。

  2. 2.  弁尖の石灰化による。

    高齢者では動脈硬化と類似した機序で弁尖にカルシウムが沈着して硬化し、弁口面積が減少します。これが後天性大動脈弁狭窄症の主病態であり、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の対象疾患として近年注目されています。

  3. × 3.  左室壁は徐々に薄くなる。

    狭窄した弁を通して血液を送り出すため左室には慢性的な圧負荷がかかり、代償的に求心性肥大を生じて左室壁は厚くなります。壁が薄くなるのは拡張型心筋症など容量負荷や心筋障害の病態です。

  4. × 4.  拡張期に心雑音を聴取する。

    大動脈弁狭窄症では左室収縮時に狭い弁口を血液が通過するため、収縮期駆出性雑音が第2肢間胸骨右縁を中心に聴取されます。拡張期雑音は大動脈弁閉鎖不全症や僧帽弁狭窄症に特徴的です。

  5. × 5.  心筋の酸素需要は減少する。

    左室肥大により心筋量が増えるため酸素需要は増加します。一方で冠動脈拡張末期圧の上昇や心拍出量低下により酸素供給は不足しやすく、労作時の胸痛(労作性狭心症様症状)を呈することがあります。

大動脈弁狭窄症の古典的3徴は狭心症・失神・心不全で、これらが出現すると予後が急速に悪化するため手術適応となります。聴診では収縮期駆出性雑音、心電図では左室肥大所見、心エコーで弁口面積と圧較差を評価します。高齢化に伴い患者数は増加傾向にあります。

後天性大動脈弁狭窄症の原因・血行動態・聴診所見を総合的に理解しているかを問う設問です。