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急性大動脈解離とスタンフォード分類

看護師国家試験 第111回 午前 第82問 / 成人看護学 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第82問

急性大動脈解離(acute aortic dissection)において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。

  1. 1.NYHA分類
  2. 2.スタンフォード分類
  3. 3.Killip〈キリップ〉分類
  4. 4.DeBakey〈ドベーキー〉分類
  5. 5.Forrester〈フォレスター〉分類

対話形式の解説

博士 博士

急性大動脈解離は死亡率の高い救急疾患だ。治療方針を決める分類を整理しておこう。

アユム アユム

博士、分類名がたくさんあって混乱します。

博士 博士

まず覚えるべきはStanford分類とDeBakey分類の2つ。Stanford分類は上行大動脈に解離が及ぶかどうかで A型と B型に二分する、非常にシンプルな分類だよ。

アユム アユム

なぜ上行に及ぶかどうかがそんなに重要なんですか?

博士 博士

上行大動脈が裂けると心タンポナーデ、大動脈弁閉鎖不全、冠動脈閉塞、脳虚血といった致死的合併症を起こしやすい。だからA型は原則として緊急手術、B型は合併症がなければ降圧療法が第一選択となるんだ。

アユム アユム

なるほど、まさに手術するかどうかを判定するための分類ですね。

博士 博士

その通り。だから選択肢2のスタンフォード分類が正解だ。

アユム アユム

他の選択肢はどうなんでしょう?

博士 博士

選択肢1のNYHA分類は心不全の自覚症状をI〜IVで評価するもの、選択肢3のKillip分類は急性心筋梗塞後の心不全を肺のラ音やショックで分類するもの、選択肢5のForrester分類は肺動脈楔入圧と心係数で心筋梗塞後の血行動態を4群に分ける分類だ。

アユム アユム

選択肢4のDeBakey分類は大動脈解離のものですよね?

博士 博士

鋭いね。DeBakey分類も大動脈解離の分類だが、I型(上行から下行まで進展)、II型(上行のみ)、III型(下行のみ)と解剖学的範囲で3つに分ける。緊急手術の判定にはStanford分類の方がシンプルで実用的なんだ。

アユム アユム

看護で注意すべきポイントは何ですか?

博士 博士

突然の胸背部の裂けるような痛み、血圧や脈の左右差を見逃さないこと。そして降圧と安静が極めて重要で、収縮期血圧100〜120mmHg、心拍数60/分前後を目標に管理するよ。

アユム アユム

よくわかりました、ありがとうございます。

POINT

急性大動脈解離の治療方針決定にはStanford分類が用いられ、上行大動脈に解離が及ぶA型は緊急手術、及ばないB型は合併症がなければ保存的治療となります。DeBakey分類は解剖学的進展範囲を示す分類で、NYHA・Killip・Forresterはそれぞれ心不全や心筋梗塞に用いる分類のため本問では誤りです。看護では急激な胸背部痛、血圧左右差、ショック徴候を迅速に捉え、厳密な降圧管理を行うことが重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:急性大動脈解離(acute aortic dissection)において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。

解説:正解は 2 です。急性大動脈解離はマルファン症候群や高血圧などを背景に大動脈中膜が裂けて偽腔が形成される致死的疾患です。治療方針の決定には上行大動脈への解離の有無が最も重要で、上行大動脈に解離を伴うStanford A型は破裂や心タンポナーデ、冠動脈閉塞などの致死的合併症リスクが高いため原則として緊急手術、上行大動脈を含まないStanford B型は合併症がなければ降圧療法を中心とする保存的治療が第一選択となります。

選択肢考察

  1. × 1.  NYHA分類

    NYHA分類は心不全患者の自覚症状に基づく重症度分類(I〜IV度)で、大動脈解離の手術適応判断には用いません。

  2. 2.  スタンフォード分類

    上行大動脈に解離が及ぶA型と、及ばないB型に二分する分類で、緊急手術の要否判断に直結するため正解です。

  3. × 3.  Killip〈キリップ〉分類

    急性心筋梗塞に伴う心不全の重症度分類で、ラ音聴取の有無や心原性ショックで I〜IV度に分類します。大動脈解離とは無関係です。

  4. × 4.  DeBakey〈ドベーキー〉分類

    解離の亀裂部位と進展範囲で I〜III型に分ける解剖学的分類で、手術適応そのものの判定よりも術式選択や予後評価に用います。

  5. × 5.  Forrester〈フォレスター〉分類

    肺動脈楔入圧と心係数から急性心筋梗塞後の血行動態を4群に分類するもので、大動脈解離には用いません。

Stanford A型の院内死亡率は手術でも10〜25%程度、未手術では1時間ごとに1〜2%ずつ上昇するとされ、迅速な手術搬送が予後を左右します。DeBakey分類ではI型(上行から下行まで)、II型(上行のみ)、III型(下行のみ)に分けます。看護では血圧の左右差、拍動の左右差、突然の胸背部裂けるような痛みを見逃さず、厳密な降圧(収縮期100〜120mmHg目標)と安静保持が重要です。

急性大動脈解離における緊急手術適応の判定に用いるStanford分類を他の循環器分類と区別できるかを問う問題です。