粥腫形成のメカニズム
看護師国家試験 第111回 午後 第87問 / 成人看護学 / 循環器系
国試問題にチャレンジ
動脈硬化症(arteriosclerosis)の粥腫形成に関与するのはどれか。2つ選べ。
- 1.Langerhans〈ランゲルハンス〉細胞
- 2.メサンギウム細胞
- 3.血管内皮細胞
- 4.肥満細胞
- 5.泡沫細胞
対話形式の解説
博士
今日は動脈硬化の粥腫形成について学ぶぞ。どの細胞が関与するか考えてみよう。
サクラ
先生、粥腫形成ってどういうステップで進むんですか?
博士
まず高血圧や糖尿病、喫煙などで血管内皮細胞が傷害される。これが最初のステップじゃ。
サクラ
内皮細胞が傷つくとどうなるんですか?
博士
内皮のバリア機能が破綻してLDLコレステロールが内膜下に侵入する。そこで活性酸素により酸化LDLに変性する。
サクラ
その後は?
博士
内皮細胞が接着分子を発現して単球が内膜に遊走し、マクロファージに分化する。マクロファージが酸化LDLをスカベンジャー受容体で貪食して、脂質を溜め込んだ泡沫細胞になる。
サクラ
泡沫細胞がプラークの正体なんですね。
博士
そうじゃ。泡沫細胞が集積し、さらに死滅して脂質コアを形成する。平滑筋細胞が増殖して線維性被膜を作ると、アテロームプラークが完成する。
サクラ
すると正解は3の血管内皮細胞と5の泡沫細胞ですね。
博士
正解じゃ。内皮障害が引き金で、泡沫細胞が主役の構成細胞になる。
サクラ
選択肢1のランゲルハンス細胞は?
博士
ランゲルハンス細胞は皮膚表皮の樹状細胞じゃから関係ない。膵臓のランゲルハンス島とは別物じゃから注意せよ。
サクラ
選択肢2のメサンギウム細胞は?
博士
腎臓の糸球体を構成する細胞で、糸球体腎炎には関与するが動脈硬化には関係ない。
サクラ
選択肢4の肥満細胞は?
博士
マスト細胞とも呼ばれ、ヒスタミンを放出してI型アレルギーを媒介する。肥満とは無関係の名称じゃから注意じゃ。
サクラ
プラークが破綻するとどうなりますか?
博士
プラーク破綻により血栓が形成され、冠動脈なら急性冠症候群、脳動脈なら脳梗塞を起こす。これが動脈硬化性疾患の急性病態じゃ。
サクラ
予防のポイントは?
博士
生活習慣改善とスタチンによるLDL管理が中心じゃ。メタボリックシンドロームの管理が重要になる。
POINT
粥状動脈硬化は血管内皮細胞の障害から始まり、LDLの内膜下侵入・酸化LDL生成・マクロファージ遊走と分化・酸化LDLの貪食による泡沫細胞形成という過程を経てアテロームプラークが形成される。血管内皮細胞と泡沫細胞が粥腫形成の中心細胞であり、ランゲルハンス細胞・メサンギウム細胞・肥満細胞は別機能の細胞である。本問は動脈硬化の病態生理の理解を問うている。
解答・解説
正解は 3 ・ 5 です
問題文:動脈硬化症(arteriosclerosis)の粥腫形成に関与するのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 5 です。粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)の形成は、高血圧・糖尿病・喫煙・脂質異常症などの危険因子により血管内皮細胞が障害されることから始まります。傷害された内皮を通ってLDLコレステロールが内膜下に侵入し酸化LDLに変性、単球が内膜に遊走してマクロファージに分化し、酸化LDLを貪食して泡沫細胞となります。泡沫細胞の集積がアテロームプラーク(粥腫)の本体を形成します。
選択肢考察
-
× 1. Langerhans〈ランゲルハンス〉細胞
ランゲルハンス細胞は表皮に存在する樹状細胞で、皮膚免疫を担う抗原提示細胞である。動脈硬化の粥腫形成とは関連がない。
-
× 2. メサンギウム細胞
メサンギウム細胞は腎糸球体に存在し、糸球体構造の維持と糸球体濾過の調節に関わる細胞で、粥腫形成には関与しない。
-
○ 3. 血管内皮細胞
血管内皮細胞は血管の最内層を覆い、高血圧や酸化ストレスなどで障害されると粥腫形成の起点となる。内皮機能不全が動脈硬化の初発病変である。
-
× 4. 肥満細胞
肥満細胞(マスト細胞)はヒスタミンやロイコトリエンを放出してI型アレルギーを媒介する細胞で、粥腫形成の主役ではない。
-
○ 5. 泡沫細胞
マクロファージが酸化LDLを貪食して脂質を蓄積した細胞で、アテロームプラークの主要構成細胞である。泡沫細胞の集積と死滅が脂質コアを形成する。
動脈硬化の危険因子は高血圧・脂質異常症・糖尿病・喫煙・肥満・加齢・家族歴・男性などで、複数が重なるほどリスクが高まる(メタボリックシンドローム)。プラーク破綻により血栓が形成されると急性冠症候群や脳梗塞を引き起こす。予防には生活習慣改善とスタチン系薬剤によるLDLコレステロール管理が中心となる。
粥状動脈硬化の病態生理、特に内皮障害と泡沫細胞形成のメカニズムを理解しているかを問う問題である。
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