狭心症の手術前検査といえば?冠動脈造影でルートマップを描け
看護師国家試験 第112回 午前 第80問 / 成人看護学 / 循環器系
国試問題にチャレンジ
検査の画像を示す。 狭心症(angina pectoris)の手術に最も重要な検査はどれか。
- 1.A
- 2.B
- 3.C
- 4.D
- 5.E
対話形式の解説
博士
今回は画像問題、狭心症の手術に最も重要な検査を5枚の画像から選ぶのじゃ。実際の試験では画像を見て判断する必要があるぞ。
アユム
画像が5枚もあるんですね。それぞれ何の検査か見分けられないと答えられない…。
博士
その通りじゃ。国試では画像を読み解く力も問われるから、各検査の典型像は覚えておきたい。本問の選択肢は頭部MRI、胸部X線、冠動脈造影、心筋シンチグラフィ、腹部CTじゃ。
アユム
狭心症って冠動脈が狭くなる病気ですよね。じゃあ冠動脈が見える検査が大事ってことですか?
博士
その通り!まさに核心を突いておる。狭心症は冠動脈の狭窄で心筋に酸素が届かず、胸痛が起こる疾患じゃ。
アユム
手術というとPCI(カテーテル治療)やCABG(バイパス術)のことですよね?
博士
うむ。PCIはバルーンとステントで狭窄部を広げる経皮的治療、CABGは胸を開けて内胸動脈などを使い迂回路を作る外科手術じゃ。いずれも「どこが、どれくらい詰まっているか」を知らないとできん。
アユム
だから冠動脈の血管走行を画像化する検査が必要になるんですね。
博士
それが冠動脈造影(CAG、Coronary Angiography)じゃ。大腿動脈や橈骨動脈からカテーテルを入れて冠動脈入口部まで進め、造影剤を注入する。すると冠動脈の走行と狭窄部位がリアルタイムで見えるんじゃ。
アユム
画像Cがそれに該当するんですね。
博士
その通り、正解は選択肢3じゃ。CAGでは狭窄の部位、長さ、%狭窄率まで定量的に評価できる。PCIなら同じ手技で続けてステント留置に移行することもある。
アユム
画像Aの頭部MRIや画像Eの腹部CTは狭心症の手術とは関係なさそうですね。
博士
そうじゃ。画像Bの胸部X線は術前評価で必ず撮るが、冠動脈の狭窄は写らんから「最も重要」にはならん。
アユム
画像Dの心筋シンチグラフィは?
博士
これは運動負荷や薬剤負荷をかけて心筋血流を評価する核医学検査じゃ。虚血の有無や範囲が分かるので診断には有用じゃが、狭窄の正確な場所は分からん。手術のルートマップとしては不十分なのじゃ。
アユム
なるほど、検査ごとに「得意分野」が違うんですね。
博士
その通り。狭心症の診断の流れは、まず問診・心電図・心エコー・血液検査でスクリーニング。次に運動負荷試験や心筋シンチで虚血の有無を評価し、確定診断と治療方針決定のためにCAGを行う、という段階じゃ。
アユム
最近は冠動脈CTもあるんですよね?
博士
よく知っておるな。造影剤を経静脈投与して冠動脈を描出する非侵襲的な検査じゃ。スクリーニングに有用じゃが、確定診断と治療にはやはりCAGが必要じゃ。
アユム
CAGって侵襲的な検査ですよね。看護師としてはどんな観察が必要ですか?
博士
重要なのは3点じゃ。1つ目は穿刺部の出血・血腫の観察と圧迫管理、2つ目は造影剤による腎障害(造影剤腎症)の予防として輸液と腎機能チェック、3つ目は造影剤アレルギーの事前確認じゃ。
アユム
不整脈や心筋梗塞発症のリスクもありますよね。
博士
その通り。モニター心電図での監視と胸部症状の観察、バイタル確認は常に行う。検査中の迷走神経反射で徐脈・低血圧になることもあるから、アトロピンや輸液の準備も必要じゃ。
アユム
画像の読影だけでなく、検査前後の看護まで押さえておく必要があるんですね。総合的に学べました!
POINT
狭心症は冠動脈の狭窄により心筋虚血と胸痛が起こる疾患で、手術(PCIやCABG)を行うにはどの冠動脈のどこが、どの程度詰まっているかを正確に把握する必要があります。冠動脈造影検査(CAG)は冠動脈に選択的に造影剤を注入して狭窄部位と走行を画像化する検査で、狭窄部位の特定と術式決定に最も重要です。頭部MRI、胸部X線、心筋シンチグラフィ、腹部CTはそれぞれ有用な検査ですが、狭心症の手術計画に直接役立つ冠動脈の形態情報は得られません。看護師はCAG前後の穿刺部出血、造影剤腎症、造影剤アレルギー、不整脈の観察を徹底することが求められます。検査の目的と限界を理解し、患者の病態に応じて必要な情報を選ぶ判断力は、循環器看護の重要な基礎力となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:検査の画像を示す。 狭心症(angina pectoris)の手術に最も重要な検査はどれか。
解説:正解は 3 です。狭心症は冠動脈の狭窄・閉塞によって心筋に酸素が十分届かず、一過性の心筋虚血と胸痛を起こす疾患です。手術(冠動脈バイパス術=CABG、経皮的冠動脈インターベンション=PCI)を行う際には、どの冠動脈のどこが、どの程度狭窄しているかを精密に把握する必要があります。冠動脈造影検査(CAG)は冠動脈に選択的に造影剤を注入して血管走行と狭窄部位を画像化する検査で、狭心症の手術適応判断と術式決定に最も重要な検査です。本問の画像Cがこれに該当します。
選択肢考察
-
× 1. A
頭部MRIの画像。脳出血・脳梗塞・脳腫瘍などの頭蓋内病変を評価する検査で、狭心症の手術計画とは直接関係しない。
-
× 2. B
胸部X線(レントゲン)画像。心胸郭比や肺野の異常、心陰影の評価には有用だが、冠動脈の狭窄部位は描出できない。手術前の一般的スクリーニングではあるが「最も重要」とはいえない。
-
○ 3. C
冠動脈造影検査(CAG)の画像。カテーテルを冠動脈入口部まで進めて造影剤を注入し、血管走行と狭窄部位をリアルタイムに描出する。狭窄の部位・長さ・重症度(%狭窄率)を評価でき、PCIやCABGの術式決定に不可欠な検査である。
-
× 4. D
心筋シンチグラフィ(核医学検査)。運動負荷や薬剤負荷をかけた際の心筋血流欠損を評価し、虚血の有無を判定する検査。診断や虚血範囲の推定には有用だが、手術部位の特定には冠動脈造影が必要。
-
× 5. E
腹部CT画像。腹部臓器の評価に用いられ、狭心症の手術に直接的な意義はない。
狭心症の診断・治療フローは、問診・心電図(安静時・運動負荷)・心エコー・血液検査(トロポニン等)で虚血性心疾患を疑い、確定診断と治療方針決定のために冠動脈造影を行うのが基本である。近年は冠動脈CT(造影剤を経静脈投与して冠動脈を描出)が非侵襲的スクリーニングとして普及しており、有意狭窄が疑われれば侵襲的なCAGへ進む。治療は薬物療法(硝酸薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、抗血小板薬)、PCI(バルーン拡張とステント留置)、CABG(内胸動脈などを用いた冠動脈バイパス術)のいずれかを病変の性質と患者状態から選択する。看護師はCAG前後の出血・造影剤腎症・不整脈の観察、穿刺部圧迫管理、造影剤アレルギーの事前確認などに注意を払う。
狭心症の病態から逆算して、手術計画に必須な冠動脈描出検査を選択できるかを問う画像問題。各検査の目的と得られる情報の違いを理解していることが鍵。
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