StudyNurse

ピロリ菌はどこに住み、どう胃酸から身を守るのか

看護師国家試験 第114回 午後 第28問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第28問

ヘリコバクター・ピロリ感染症(Helicobacter pylori infection)で正しいのはどれか。

  1. 1.尿素呼気検査は診断に有用である。
  2. 2.除菌後の判定は除菌終了後の翌日に行う。
  3. 3.ヘリコバクター・ピロリ<Helicobacter pylori>は胃の粘膜下層に生息する。
  4. 4.ヘリコバクター・ピロリ<Helicobacter pylori>は尿素を作り出して胃酸から身を守る。

対話形式の解説

博士 博士

今日はヘリコバクター・ピロリについて学ぶぞ。胃の中という強酸環境で生き延びる、不思議な細菌じゃ。

アユム アユム

普通の細菌は胃酸で死んでしまうのに、なぜピロリ菌は生きていられるんですか?

博士 博士

鍵は「ウレアーゼ」という酵素じゃ。胃液中の尿素を分解してアンモニアを作り、自分の周りを中和して酸性をしのいでおる。

アユム アユム

アンモニアを盾にしているような感じですね。じゃあ「ピロリ菌は尿素を作る」という説明は?

博士 博士

それは誤り。「分解する」のじゃ。尿素は私たちのタンパク代謝の産物として体内に存在しており、ピロリ菌はそれを利用しているだけじゃ。

アユム アユム

ピロリ菌は胃のどこにいるんですか?

博士 博士

胃粘膜の表面を覆う粘液層の中、あるいは粘液直下の上皮細胞付近じゃ。粘膜下層ではないぞ。

アユム アユム

じゃあ診断はどうやってするんですか?

博士 博士

侵襲的な内視鏡を使う方法と、使わない方法があるのじゃ。代表的なのが尿素呼気試験。13Cで標識した尿素を飲み、ピロリ菌のウレアーゼで生じる13CO2を呼気で測定する。

アユム アユム

ウレアーゼを利用するから、感度も特異度も高いんですね。

博士 博士

その通り。ほかには便中抗原検査、抗体検査、内視鏡で取った組織を使う迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検、培養などがある。

アユム アユム

除菌の薬はどんなものを使うんですか?

博士 博士

一次除菌はPPIまたはボノプラザン+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3剤を1週間内服する。失敗したらクラリスロマイシンをメトロニダゾールに変えて二次除菌じゃ。

アユム アユム

除菌判定はいつ行うんですか?

博士 博士

ここが大事じゃ。治療終了直後は菌が一時的に抑え込まれているだけで偽陰性が出やすい。だから4週間以上、推奨は4〜8週間あけて判定する。

アユム アユム

翌日に判定する選択肢が誤りなのは、それが理由なんですね。

博士 博士

その通り。また判定時にPPIやボノプラザンを内服中だとウレアーゼ活性が低下して偽陰性になる。検査前は休薬する必要がある。

アユム アユム

ピロリ菌は胃癌の原因にもなるんですよね?

博士 博士

胃炎、消化性潰瘍、MALTリンパ腫、そして胃癌のリスク因子じゃ。除菌が一次予防として位置づけられている重要な病原体なのじゃ。

アユム アユム

看護師としては、検査の準備や除菌薬の説明、副作用の観察が大事なんですね。

POINT

ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜表面の粘液層に生息し、ウレアーゼで尿素を分解してアンモニアを生成し胃酸から身を守る、特殊な細菌です。診断には尿素呼気試験が広く用いられ、感染診断・除菌判定の両方で高い精度を発揮します。除菌判定は治療終了後4週間以上あけて行うことが重要で、PPIなどの内服中は偽陰性に注意が必要です。胃炎・消化性潰瘍・胃癌などのリスク因子であるため、感染が確認されれば積極的に除菌することが推奨され、看護師には検査前の指導や除菌薬服用中の副作用観察、生活指導といった役割が求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:ヘリコバクター・ピロリ感染症(Helicobacter pylori infection)で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜表層の粘液中に生息するらせん状のグラム陰性桿菌で、ウレアーゼという酵素によって胃液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、自分の周囲を中和することで強酸環境を生き延びている。診断に用いられる尿素呼気試験は、この性質を利用した非侵襲的検査である。13C標識尿素を内服し、ピロリ菌のウレアーゼに分解されて生じた13CO2を呼気中で測定する方法で、感度・特異度がともに高く、除菌判定にも標準的に用いられる。

選択肢考察

  1. 1.  尿素呼気検査は診断に有用である。

    ピロリ菌のウレアーゼ活性を利用した非侵襲的検査で、感度・特異度とも高く、感染診断と除菌判定の両方で標準的に用いられる。検査前は数時間の絶食とプロトンポンプ阻害薬の中止が必要となる。

  2. × 2.  除菌後の判定は除菌終了後の翌日に行う。

    除菌薬服用直後では菌が一時的に抑制されているだけで偽陰性を示す可能性が高い。判定は治療終了後4週間以上(一般に4〜8週間)経過してから行う。

  3. × 3.  ヘリコバクター・ピロリ<Helicobacter pylori>は胃の粘膜下層に生息する。

    ピロリ菌は粘膜下層ではなく、胃粘膜表面を覆う粘液層やその直下の上皮表面に生息する。粘液層がpH緩衝の役割を果たしている。

  4. × 4.  ヘリコバクター・ピロリ<Helicobacter pylori>は尿素を作り出して胃酸から身を守る。

    ピロリ菌は尿素を「作る」のではなく、ウレアーゼで尿素を分解してアンモニアを生成し、自分の周囲を中和することで強酸性の胃液から身を守っている。

ピロリ菌感染は胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、胃癌などのリスク因子であり、除菌が推奨される。一次除菌はプロトンポンプ阻害薬(あるいはボノプラザン)+アモキシシリン+クラリスロマイシンの3剤を1週間内服し、不成功例ではメトロニダゾールに変更した二次除菌が行われる。除菌判定には尿素呼気試験のほか、便中抗原検査、迅速ウレアーゼ試験、組織鏡検、培養法、抗体検査などがある。

ピロリ菌の生息部位、生存戦略、診断・除菌判定のタイミングを総合的に問う問題。ウレアーゼを起点に各選択肢を理解する。