ストーマ周囲のスキンケア基本 ―装具を外して泡で洗うが正解
看護師国家試験 第114回 午後 第36問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
人工肛門周囲の皮膚を清潔にする方法で適切なのはどれか。
- 1.装具を外して洗浄する。
- 2.石けんは使用しない。
- 3.洗浄後に消毒をする。
- 4.洗浄後はドライヤーで乾燥させる。
対話形式の解説
博士
今回はストーマ、つまり人工肛門周囲のスキンケアじゃ。どのような手順が正しいか分かるかな?
アユム
装具をつけたまま外側から拭くだけでいいんですか?
博士
それでは便残渣や粘着剤がきれいに落ちんし、皮膚を観察できぬ。装具交換時には完全に外して洗浄するのが大原則じゃ。
アユム
外したあとはどうやって洗うんですか?
博士
弱酸性の泡状石けんとぬるま湯で、こすらず泡で包み込むように洗う。指の腹や柔らかいガーゼを使うと良いぞ。
アユム
石けんは皮膚を刺激しそうで心配です。使わない方がいいんじゃないですか?
博士
それは誤解じゃ。便や粘着剤は油分やタンパクを含むから、水だけでは落ちぬ。低刺激の石けんを正しく使えばトラブル予防になる。
アユム
洗浄のあとに消毒をするんですか?
博士
いいや、消毒はせぬ。ストーマ周囲は感染創ではなく健常皮膚として扱う。消毒薬は刺激や乾燥、装具の粘着低下を招くだけじゃ。
アユム
水分を早く乾かすためにドライヤーを使うのは?
博士
それも不可。熱風で熱傷や乾燥を起こし、粘着剤も劣化する。柔らかいタオルや不織布で押さえ拭きするのが正解じゃ。
アユム
装具を貼るときに気をつけることは?
博士
ストーマ径より2〜3mm大きく皮膚保護剤を切り抜く、皮膚のしわを伸ばして密着させる、剥離剤を使って皮膚を守る、などじゃ。
アユム
交換頻度はどのくらいですか?
博士
皮膚保護剤の溶解度や排泄量によるが、週2〜3回が目安。漏れや痛みがあれば早めに交換じゃ。
アユム
皮膚障害の評価ツールはありますか?
博士
ABCD-Stoma分類が代表的じゃ。発赤・糜爛・潰瘍などを部位別に点数化して、客観的に評価できる。
アユム
退院支援ではどんなことを指導しますか?
博士
装具交換手技、漏れ時の対応、入浴方法、外出時の交換セット携帯、緊急受診の目安などじゃ。WOCナースと連携してフォローするのが理想じゃな。
アユム
生活全体を見すえた看護なんですね。
POINT
人工肛門周囲皮膚の清潔ケアは「装具を外して弱酸性の泡石けんとぬるま湯で愛護的に洗浄し、押さえ拭きで水分を取る」が基本です。装具を外さずに洗う、石けんを使わない、消毒する、ドライヤーで乾かす、といった行為はいずれも皮膚障害の原因となります。装具交換時にはABCD-Stoma分類などで皮膚状態を観察し、ストーマ径より2〜3mm大きく皮膚保護剤を切り抜き、剥離剤の使用、しわ伸ばしを丁寧に行うことで漏れと皮膚障害を予防できます。患者教育では装具交換手技、入浴・衣服の工夫、外出時の備え、緊急受診の目安を伝え、WOCナースと連携した継続的支援が退院後の生活の質を支えます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:人工肛門周囲の皮膚を清潔にする方法で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。人工肛門(ストーマ)周囲皮膚は、排泄物・粘着剤・汗などで皮膚障害を起こしやすいため、装具交換時には装具を完全に外したうえで弱酸性の泡状石けんとぬるま湯で愛護的に洗浄し、押さえ拭きで水分を除去してから新しい装具を装着するのが基本である。装具を着けたままでは便や粘着剤が残り、皮膚トラブル(接触皮膚炎、糜爛、毛包炎など)の温床となる。装具の交換頻度は皮膚保護剤の溶解度に応じて週2〜3回が目安となる。
選択肢考察
-
○ 1. 装具を外して洗浄する。
装具を外してこそ便残渣・粘着剤・古い角質を除去でき、皮膚観察と適切な洗浄が可能になる。皮膚障害予防のための基本手技である。
-
× 2. 石けんは使用しない。
弱酸性で低刺激の泡状石けんを用いて洗浄する。石けんを使わないと皮膚保護剤や排泄物の油分・タンパクが落ちず、かえって皮膚トラブルを招く。
-
× 3. 洗浄後に消毒をする。
ストーマ周囲は感染創ではなく、健常皮膚と同様に扱う。消毒薬は皮膚刺激や乾燥、装具の粘着低下を起こすため使用しない。
-
× 4. 洗浄後はドライヤーで乾燥させる。
ドライヤーの熱は皮膚熱傷や乾燥、装具粘着剤の劣化を招くため不適切。柔らかいタオルや不織布で優しく押さえ拭きして水分を除去する。
ストーマケアの基本は「観察・洗浄・装具装着」のサイクルで、皮膚障害の早期発見にはABCD-Stoma分類などの評価ツールが用いられる。装具交換時は剥離剤を用いて皮膚への負担を減らし、ストーマ径より2〜3mm大きく皮膚保護剤を切り抜くことで皮膚露出による糜爛を防ぐ。粉状皮膚保護剤やリング型保護剤を併用するとしわや凹凸への密着性が高まる。患者教育では、装具からの便・尿の漏れ、皮膚の発赤・痛み・出血があればすぐに相談すること、入浴は装具を着けたままでも外してもよいこと、外出時の交換セットの携帯などを指導する。皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)と連携し、退院後の生活に即した支援を行うことが重要である。
ストーマ周囲皮膚の清潔ケアの原則を問う基本問題。「装具を外して泡石けんで洗い、消毒や熱風乾燥はしない」という手順を理解しているかがカギ。
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