超音波ガイド下肝生検——「息止め」がなぜ重要か
看護師国家試験 第114回 午後 第49問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系
国試問題にチャレンジ
超音波ガイド下で肝生検を受ける成人への説明で正しいのはどれか。
- 1.「検査前の絶食は不要です」
- 2.「検査はうつぶせで実施します」
- 3.「検査中は指示に合わせて息を止めてください」
- 4.「検査後すぐに歩行できます」
対話形式の解説
博士
今日は超音波ガイド下肝生検(経皮的肝生検)の患者説明について学ぶぞ。
サクラ
肝生検って肝臓に針を刺すんですよね、ちょっと怖いです。
博士
気持ちはわかる。だが慢性肝炎の活動性評価、肝硬変への進展度、腫瘍の良悪性鑑別など、確定診断には欠かせない検査じゃ。エコーで肝臓を見ながら正確に穿刺するから、安全性は高くなっている。
サクラ
選択肢を見ていきましょう。「絶食は不要」は?
博士
これは誤り。検査の数時間前から絶食する。理由は2つで、①万一の嘔吐・誤嚥を防ぐ、②胆嚢を収縮させずに描出をクリアに保つ。施設によるが6〜8時間絶食が一般的じゃ。
サクラ
「うつ伏せで実施」は?
博士
これも誤り。肝生検は仰臥位または左側臥位で行う。右肋間からアプローチするから仰臥位が便利なのじゃ。「腎生検=腹臥位」と混同せぬよう注意。
サクラ
「指示に合わせて息を止める」は?
博士
これが正解。呼吸で横隔膜が動くと肝臓も上下に動く。針を刺すその一瞬に動かれては困るから、呼気位で息を止めてもらうのじゃ。事前に「吸って…吐いて…そのまま止めて」の練習をしておくと検査がスムーズに進む。
サクラ
じっと止められるか不安です…。
博士
だいたい5〜10秒の息止めじゃ。検者が「息を止めてください」「楽にしてください」と声をかけるから、それに従えばよい。
サクラ
「検査後すぐ歩行できる」は?
博士
これは誤り。肝臓は血流豊富で出血のリスクが高い。検査後は穿刺部を圧迫止血し、3〜6時間のベッド上安静(多くは右側臥位)が必要じゃ。
サクラ
右側臥位で安静にする理由は?
博士
右側臥位にすると体の重みで穿刺部が圧迫され、止血効果が高まるからじゃ。さらにバイタルサイン・腹痛・血圧低下・呼吸状態を継続観察し、出血や胆汁漏、気胸の兆候を見逃さないようにする。
サクラ
合併症って何がありますか?
博士
主には①出血(被膜下血腫、腹腔内出血)、②胆汁性腹膜炎、③気胸、④穿刺部痛、⑤血管迷走神経反射じゃ。事前にPT-INRや血小板数を確認し、抗凝固薬・抗血小板薬は事前休薬するのも重要なポイントじゃ。
サクラ
看護師は患者の不安にも対応しますよね。
博士
うむ。検査の流れを丁寧に説明し、息止め練習を一緒に行い、検査後は安静を守れるよう排泄介助やナースコールの使い方を指導する。退院後も穿刺部の出血や腹痛があればすぐ受診するよう伝える。
サクラ
息止めひとつでも、その意味を理解すると患者にしっかり説明できますね。
POINT
超音波ガイド下肝生検における正しい説明は「検査中は指示に合わせて息を止めてください」です。呼吸により肝臓が上下に動くため、針を刺す瞬間は呼気位で息止めをしてもらい、正確な穿刺と合併症回避を図ります。検査前は6〜8時間の絶食、体位は仰臥位または左側臥位、検査後は3〜6時間のベッド上安静と継続観察が必要で、肝臓は血流豊富なため出血リスクが最大の懸念です。看護師は息止め練習を含む事前指導、合併症(出血・胆汁性腹膜炎・気胸)の早期発見、不安への精神的ケアまで含めて、患者が安全に検査を完遂できるよう包括的に支援します。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:超音波ガイド下で肝生検を受ける成人への説明で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 「検査中は指示に合わせて息を止めてください」です。超音波ガイド下肝生検は、エコー画像で肝臓の位置を確認しながら経皮的に針を刺し肝組織を採取する検査です。呼吸により横隔膜と一緒に肝臓が上下に動くため、針を刺す瞬間は呼気位で息止めをしてもらい、目標部位を正確に穿刺し血管・胆管などの損傷を回避します。
選択肢考察
-
× 1. 「検査前の絶食は不要です」
通常検査の数時間前から絶食する。胃内容物による嘔吐・誤嚥の予防、胆嚢の収縮を避けて視野を確保する目的があり、施設によって6〜8時間の絶食指示が一般的。
-
× 2. 「検査はうつぶせで実施します」
肝生検は仰臥位または左側臥位で行う。腎生検が腹臥位(うつ伏せ)であるのと混同しないこと。肝臓は右上腹部にあるため、右肋間からアプローチしやすい仰臥位が基本となる。
-
○ 3. 「検査中は指示に合わせて息を止めてください」
呼吸により肝臓が動くため、穿刺時には呼気位で息を止めてもらうことで、針の進入経路を正確にコントロールできる。事前に呼吸練習をしておくと検査がスムーズに進む。
-
× 4. 「検査後すぐに歩行できます」
肝臓は血流豊富な臓器で出血リスクが高い。検査後は穿刺部に圧迫止血を行い、3〜6時間程度のベッド上安静(多くは右側臥位)が必要。バイタル・腹痛・出血徴候の観察を継続する。
肝生検の主な合併症は①出血(被膜下血腫、腹腔内出血)、②胆汁性腹膜炎(胆管損傷時)、③気胸(横隔膜上方への誤穿刺)、④疼痛、⑤血管迷走神経反射などである。前処置として凝固機能(PT-INR、血小板数)を確認し、抗凝固薬・抗血小板薬は事前休薬する。検査後は2時間ごとのバイタル測定、呼吸困難・腹痛・血圧低下があれば医師へ報告。施設により穿刺後3〜6時間の床上安静、6〜24時間の入院観察が標準。
超音波ガイド下肝生検における前処置・体位・検査中の協力・検査後安静の4点を統合的に問う問題。出血合併症のリスクから安静が必須となる点が鍵。
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