脈拍測定は指の使い方がカギ!橈骨動脈の正しい触診法
看護師国家試験 第109回 午前 第15問 / 必修問題 / 看護の基本技術
国試問題にチャレンジ
成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法で正しいのはどれか。
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対話形式の解説
博士
今回は基本中の基本、脈拍測定の手技について学ぶぞ。誰でもやっていそうじゃが、意外と誤った方法が広まっておるのじゃ。
サクラ
脈拍ってどうして橈骨動脈で測るんですか?
博士
理由は3つある。①皮膚の直下を走り触知しやすい、②解剖学的位置に個人差が少ない、③衣服の上からでも露出が容易、という点じゃ。
サクラ
正しい測定方法を教えてください。
博士
示指・中指・薬指の3本をそろえて、患者の手首の親指側(橈側)にある橈骨動脈の真上に軽く当てるのじゃ。指腹を動脈の走行に沿って平行に並べるのがコツじゃな。
サクラ
なぜ3本の指なんですか?
博士
1本だと拍動を見失いやすく、正確な回数が測れぬ。3本並べることで動脈の走行を捉えやすく、リズムの乱れも察知しやすくなるのじゃ。
サクラ
母指は使わないんですね。
博士
その通り。母指には太い母指動脈が走っており、自分の脈と患者の脈を取り違える恐れがある。だから母指は必ず避けるのじゃ。
サクラ
小指側(尺側)でも測れますか?
博士
尺側には尺骨動脈が走っているが、深部にあって触知しにくい。通常の脈拍測定では橈側(親指側)の橈骨動脈で行うのが鉄則じゃ。
サクラ
測定時間はどれくらいですか?
博士
規則正しい場合は15秒測って4倍する方法もあるが、不整脈が疑われるときは1分間しっかり測るのが原則じゃ。
サクラ
回数以外に何を観察すればいいんですか?
博士
リズム(整・不整)、脈の大きさ、緊張度(硬い・柔らかい)、左右差じゃ。左右差があれば大動脈解離や動脈閉塞を疑う所見になるぞ。
サクラ
成人の基準値を教えてください。
博士
成人安静時で60~80回/分が正常、100回/分以上を頻脈、60回/分未満を徐脈と呼ぶ。乳児は110~130回/分、幼児で90~110回/分と年齢によって異なるから注意じゃ。
サクラ
橈骨動脈以外の脈拍触知部位も大切ですよね。
博士
総頸動脈、上腕動脈、大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈、足背動脈などがある。心停止の確認は総頸動脈、血圧測定は上腕動脈、下肢循環評価は足背動脈と、臨床シーンに応じた使い分けが必要じゃ。
サクラ
指の置き方ひとつにも根拠があるんですね。
POINT
橈骨動脈での脈拍測定では、示指・中指・薬指の3指をそろえて、手関節の橈側(親指側)に走る橈骨動脈上に指腹を平行に置くのが正しい手技です。母指を使わない理由は測定者自身の母指動脈拍動との混同を避けるため、尺側を避ける理由は尺骨動脈が深部にあり触知しにくいためです。脈拍測定では回数のほかにリズム・大きさ・緊張度・左右差も合わせて観察し、不整脈が疑われる場合は1分間測定することが原則です。基本技術だからこそ正しい手順を身につけ、患者の全身状態を素早く把握する看護の入口として活用することが重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法で正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。橈骨動脈での脈拍測定は、示指・中指・薬指(第2~第4指)の3指をそろえて、患者の手関節より少し中枢側(手首の親指側)にある橈骨動脈の走行上に軽く当てて行います。示指の先のほうで拍動を最初に探し、3指で均等に触知できるよう指腹を動脈の走行に沿って平行に置きます。母指を使わないのは、測定者自身の母指動脈拍動が強く、患者の脈と混同する可能性があるためです。また、尺側(小指側)には尺骨動脈が走行していますが、橈骨動脈より深部にあり触知しにくいため脈拍測定部位としては不適です。
選択肢考察
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× 1.
画像情報から判断する問題であり、選択肢1は尺側(小指側)で触診している、または母指を用いるなど誤った手技を示していると考えられる。橈骨動脈ではなく尺骨動脈側での触診は不適切。
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○ 2.
示指・中指・薬指の3指をそろえて手関節の橈側(親指側)に走る橈骨動脈上に置く、正しい手技を示す図である。
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× 3.
触知部位が尺側(尺骨動脈)になっているなど、橈骨動脈ではない位置での測定を示すため不正解である。
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× 4.
母指を用いている、または指の本数や置き方が不適切な手技を示していると考えられ、正確な脈拍測定ができないため不正解。
脈拍測定では回数のほかに、リズム(整・不整)、大きさ(大・小)、緊張度(硬・軟)、左右差の有無も観察する。成人の正常値は60~80回/分、100回/分以上を頻脈、60回/分未満を徐脈と呼ぶ。橈骨動脈以外の脈拍触知部位としては、総頸動脈(心停止確認時)、上腕動脈(血圧測定時)、大腿動脈、膝窩動脈、後脛骨動脈、足背動脈(下肢循環評価)などがあり、部位ごとに臨床的意味が異なる。救急時は総頸動脈で脈拍確認を行うのが基本である。
橈骨動脈脈拍測定の正しい手技(示指・中指・薬指の3指を橈骨動脈上に置く)を画像から選ぶ問題。母指を用いない、尺側ではなく橈側で触知する、という2点がポイント。
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