気管内吸引、なぜ時間制限があるのか
看護師国家試験 第103回 午後 第23問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
- 1.血圧
- 2.体温
- 3.血糖
- 4.動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
対話形式の解説
博士
気管内吸引はなぜ短時間で済ませる必要があると思うかね?
サクラ
患者さんが苦しいからですか?
博士
それも一因じゃが、最も重要なのは低酸素血症を防ぐためじゃよ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
正解は4の動脈血酸素飽和度〈SaO2〉じゃ。吸引中は換気ができないうえ、肺胞内の酸素まで陰圧で吸い出されてしまうんじゃ。
サクラ
1の血圧はどうしてダメなんですか?
博士
吸引は苦痛刺激じゃから、交感神経が刺激されて血圧はむしろ一過性に上昇する傾向があるんじゃよ。
サクラ
2の体温は変動しないんですね。
博士
そうじゃ、短時間の吸引手技で体温が変わることはまずないのう。
サクラ
3の血糖も関係ないですか?
博士
血糖は食事や代謝、内分泌の影響を受ける指標じゃから、吸引時間との直接的な関連はないんじゃ。
サクラ
ガイドラインではどのくらいの時間が目安ですか?
博士
気管吸引ガイドライン2013では、陰圧をかける時間は10秒以内、挿入から終了まで15秒以内が推奨されておるんじゃ。
サクラ
吸引前に酸素化しておくのも大事ですね。
博士
その通りじゃ、プレオキシジェネーションとSpO2モニタリング下での実施が低酸素血症予防の鍵じゃよ。
サクラ
時間管理が患者の命を守るんですね。
POINT
気管内吸引は分泌物除去のため必要な処置ですが、吸引中は換気が制限され肺胞内酸素も吸引されるため動脈血酸素飽和度が低下します。陰圧10秒以内、挿入から終了まで15秒以内という時間制限を守り、SpO2モニタリング下で実施することが低酸素血症予防につながります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
解説:正解は4です。気管内吸引は気道分泌物を除去する重要な看護技術ですが、吸引中は患者の呼吸が制限されるうえ、肺胞内の酸素も陰圧によって吸引されるため、酸素化が急速に低下します。そのため吸引時間が長引くほど動脈血酸素飽和度は速やかに低下し、低酸素血症を招く危険があります。気管吸引ガイドライン2013では1回の陰圧をかける時間は10秒以内、挿入から終了まで15秒以内とすることが推奨されています。
選択肢考察
-
× 1. 血圧
気管内吸引は患者にとって苦痛刺激となり、交感神経刺激により血圧はむしろ一過性に上昇する傾向があります。低下する前に酸素飽和度の低下が顕著に現れます。
-
× 2. 体温
体温は気管内吸引の時間と直接的な関連はなく、短時間の吸引手技で変動するものではありません。
-
× 3. 血糖
血糖値は内分泌系や食事・代謝の影響を受ける指標であり、気管内吸引の時間によって変動するものではありません。
-
○ 4. 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
吸引中は患者は十分な換気ができず、肺胞内酸素も陰圧で吸引されるため、SaO2は急速に低下します。低酸素状態を防ぐため吸引時間の制限が必要です。
気管吸引ガイドライン2013では、1回の陰圧をかける時間は10秒以内、挿入から終了まで15秒以内が推奨されています。吸引前の十分な酸素化(プレオキシジェネーション)と、SpO2モニタリング下での実施が低酸素血症予防の鍵となります。
気管内吸引における合併症としての低酸素血症を理解し、吸引時間制限の根拠を問う問題です。
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