創傷管理の基本『洗って湿らせる』
看護師国家試験 第103回 午前 第22問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
創傷部位の創面の管理について正しいのはどれか。
- 1.洗浄する。
- 2.加圧する。
- 3.乾燥させる。
- 4.マッサージする。
対話形式の解説
博士
今日は創傷ケアの基礎じゃ。
アユム
創面の管理で正しいのはどれですか。
博士
正解は1の洗浄するじゃ。
アユム
どうして洗うことが大切なんですか。
博士
異物や壊死組織、細菌を取り除かんと感染が起きて治癒が遅れるからじゃ。
アユム
2の加圧はだめなんですね。
博士
圧迫すると血流が止まり、せっかくの肉芽も傷つけてしまう。
アユム
3の乾燥は昔は良いと言われていませんでしたか。
博士
昔の話じゃ。今は湿潤環境療法が標準で、適度な湿り気が細胞の動きを助けるのじゃ。
アユム
4のマッサージは。
博士
もちろん禁忌じゃ。新しい上皮を壊してしまうからの。
アユム
湿潤環境はどう作るんですか。
博士
ハイドロコロイドなどのドレッシング材を使い、滲出液で創面を潤すのじゃ。
アユム
感染兆候の観察も大事ですね。
博士
発赤、腫脹、熱感、疼痛、滲出液の性状をしっかり見るのじゃぞ。
POINT
創傷管理の基本は洗浄により異物と壊死組織を除去し、その後ドレッシング材で湿潤環境を保つことです。乾燥や加圧、マッサージはいずれも治癒を妨げるため避けます。湿潤環境では線維芽細胞や表皮基底細胞が活性化し、良好な肉芽形成と上皮化が進みます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:創傷部位の創面の管理について正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。現代の創傷管理は『湿潤環境下療法(moist wound healing)』が標準で、まず創面を生理食塩水や微温湯で洗浄し、異物・壊死組織・細菌を物理的に除去することが治癒の出発点です。乾燥した痂皮の下では細胞遊走が阻害されますが、適切な湿潤環境では線維芽細胞や表皮基底細胞が活性化し、肉芽形成と上皮化が促進されます。
選択肢考察
-
○ 1. 洗浄する。
創面の洗浄は異物や細菌、壊死組織を除去して感染や炎症を抑え、その後のドレッシング材で湿潤環境を整える土台となります。これは創傷管理の基本です。
-
× 2. 加圧する。
創面を圧迫すると局所の血流が阻害され、酸素や栄養の供給が低下します。新生組織を物理的に損傷する恐れもあり治癒を遅延させます。
-
× 3. 乾燥させる。
従来の乾燥療法は否定されており、過度な乾燥は細胞の遊走や分裂を妨げ治癒を遅らせます。現在は適度な湿潤環境を保つのが原則です。
-
× 4. マッサージする。
創面のマッサージは新生肉芽や上皮を機械的に破壊し、出血や感染、瘢痕化のリスクを高めるため禁忌です。
湿潤環境を維持するためにハイドロコロイドやハイドロジェルなどのドレッシング材が用いられます。感染創では洗浄頻度を上げ、滲出液量や臭気、発赤、疼痛などを観察してドレッシング材を選択します。
現代の創傷管理の基本原則『洗浄して湿潤環境を保つ』を問う問題です。
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