直流除細動器は何のための機械?
看護師国家試験 第104回 午後 第25問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
直流除細動器の使用目的はどれか。
- 1.呼吸の促進
- 2.血圧の降下
- 3.不整脈(arrhythmia)の治療
- 4.意識レベルの評価
対話形式の解説
博士
今日は直流除細動器の役割をしっかり押さえるぞい。
サクラ
心臓に電気を流す機械、というのはなんとなく知っています。
博士
そうじゃ。心臓の電気活動が乱れて、心室がぴくぴくと無秩序に動く状態を心室細動というんじゃ。
サクラ
それは血液が送り出せない状態ですよね。
博士
その通り。心拍出ゼロになるから、放っておけば数分で命に関わる致死的不整脈じゃ。
サクラ
そこで電気ショックの出番ですね。
博士
強い直流電流を一瞬流して心筋全体を同時に脱分極させ、本来のリーダーである洞結節からのリズムを復活させるんじゃよ。
サクラ
どんな波形のときに使うのですか?
博士
心室細動と無脈性心室頻拍が代表的な適応じゃ。心静止やPEAでは効かないから注意じゃぞ。
サクラ
血圧を下げる目的ではないんですよね?
博士
全く違うのう。血圧降下薬や呼吸促進、意識評価とは無関係で、あくまで不整脈の治療機器じゃ。
サクラ
同期通電というのも聞いたことがあります。
博士
それはR波に同期させて通電する方法で、脈のある心房細動や心室頻拍に使うカルディオバージョンじゃな。
サクラ
看護師としては何を準備しますか?
博士
ジェルパッドの装着、感電防止のため周囲の人の安全確認、ショック後の胸骨圧迫再開を素早く行うことじゃ。
POINT
直流除細動器は致死的不整脈である心室細動や無脈性心室頻拍に対し、心臓へ直流電流を与えて正常リズムを取り戻すための機器です。心静止やPEAには適応外であり、ショック後は速やかに胸骨圧迫を再開することがチーム蘇生の要点になります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:直流除細動器の使用目的はどれか。
解説:正解は 3 です。直流除細動器は心室細動や無脈性心室頻拍など致死的不整脈に対し、心臓に直流電流を瞬間的に流して心筋全体を一度脱分極させ、洞結節由来の正常リズムへ復帰させることを目的とした医療機器です。
選択肢考察
-
× 1. 呼吸の促進
呼吸を促進するのは人工呼吸器やバッグバルブマスクであり、直流除細動器は心臓に作用する機器なので呼吸の促進は目的ではありません。
-
× 2. 血圧の降下
血圧を下げる目的では使われません。むしろ心拍出を回復させる結果として血圧維持に寄与する機器です。
-
○ 3. 不整脈(arrhythmia)の治療
直流通電によって致死的不整脈を止め、洞調律へ戻すことが本来の目的で、心室細動・無脈性心室頻拍などが主な適応となります。
-
× 4. 意識レベルの評価
意識レベルはJCSやGCSなどのスケールで評価するもので、除細動器は評価機器ではありません。
除細動の対象はVF・無脈性VTで、心静止(asystole)やPEAは適応外です。VFが疑われたらまず胸骨圧迫を中断せずに準備し、ショック後はただちに胸骨圧迫を再開します。同期通電は心房細動や心室頻拍のうち脈ありの場合に行われるカルディオバージョンと呼ばれる手技です。
直流除細動器が致死的不整脈の治療機器であり、呼吸や意識評価とは無関係であることを区別できるかを問う必修問題です。
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