注射の刺入角度を組織解剖で理解しよう
看護師国家試験 第105回 午前 第20問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
注射針を皮膚に対して45〜90度の角度で刺入するのはどれか。
- 1.皮内注射
- 2.皮下注射
- 3.筋肉内注射
- 4.静脈内注射
対話形式の解説
博士
今日は注射の刺入角度じゃ。皮内・皮下・筋肉内・静脈内の4種類を区別して覚えてほしい。
アユム
角度は暗記するしかないんですか?
博士
いや、組織解剖を理解すれば必然的に覚えられるぞ。皮膚は外側から表皮(0.1〜0.2mm)→真皮(1〜3mm)→皮下組織(数mm〜数cm)→筋層、という4層構造じゃ。
アユム
層の深さで角度が決まるんですね。
博士
その通り。皮内注射は表皮と真皮の間というごく浅いところに薬液を入れたい。だから針をほぼ寝かせて0〜10度で刺入する。ツベルクリン反応やアレルギー検査で使うな。
アユム
皮下注射はもう少し深いですよね。
博士
皮下組織に注入するので10〜30度じゃ。皮膚をつまみ上げて針を刺すのがコツ。インスリン、ワクチン、ヘパリンなどで使用する。吸収が緩徐でゆっくり効かせたい薬に向いておる。
アユム
筋肉内注射は深く刺すから90度ですね。
博士
そう、45〜90度で深く刺入する。筋層まで届ける必要があるからじゃ。標準体格以上は90度、痩せ型は45度が目安じゃな。薬液量は一般に1〜5mLまで投与可能。
アユム
静脈注射はどうしてますか?
博士
静脈は皮下組織の浅い層を走っておるから15〜20度の浅めの角度で刺入する。血管内に確実に入れるため、駆血・血管確認・逆血確認が必須じゃ。
アユム
筋注の部位選択で注意することは?
博士
神経や大血管を避けることが最重要じゃ。三角筋は肩峰から三横指下、中殿筋は『クラークの点』(上前腸骨棘と大転子を結ぶ線の外側1/3)、大腿外側部(特に乳児)などを使う。昔は臀部中央に打つこともあったが坐骨神経損傷リスクがあり現在は推奨されん。
アユム
刺入後の確認も大事ですね。
博士
必ず逆血確認じゃ。シリンジを軽く引いて血液が戻ってこなければ血管内ではないと判断できる。戻ってきたら針先を移動するか刺し直す。そして薬液はゆっくり注入、抜針後は軽く圧迫する。
アユム
注射後の観察ポイントは?
博士
刺入部の腫脹・発赤・疼痛・出血、アナフィラキシーの観察(じんましん・喘鳴・血圧低下)、神経損傷の有無(しびれ・運動障害)じゃ。特にワクチンや抗菌薬では接種後30分はアナフィラキシーに備える必要がある。
アユム
皮内注射で陽性反応が出たときは?
博士
皮膚テストでは陽性=過敏あり、なので本来の注射や薬剤投与を回避する判断材料になる。ツベルクリン反応では結核感染やBCG既往の評価に使うが、現在はQFTやT-SPOTといった血液検査が主流になっておる。
アユム
ありがとうございます。組織解剖から角度を理解すれば忘れませんね。
POINT
注射の刺入角度は目標とする組織層の深さによって決まり、皮内注射0〜10度、皮下注射10〜30度、筋肉内注射45〜90度、静脈内注射15〜20度が標準です。本問のような45〜90度で刺入するのは筋肉内注射で、皮下組織より深い筋層に薬液を届ける必要があるためです。皮膚の解剖構造(表皮→真皮→皮下組織→筋層)と対応させて覚えれば応用がききます。部位選択での神経・血管損傷の回避、逆血確認、アナフィラキシーや神経損傷の観察までをセットで押さえることが臨床安全の基本です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:注射針を皮膚に対して45〜90度の角度で刺入するのはどれか。
解説:正解は 3 です。注射の刺入角度は薬液を投与する組織層の深さによって決まります。皮膚は外側から表皮(0.1〜0.2mm)、真皮(1〜3mm)、皮下組織(数mm〜数cm)、その下に筋層が位置します。筋肉内注射は皮下組織よりさらに深い筋層に到達する必要があるため、45〜90度の角度で深く刺入します。一般に痩せた人は45度、標準体格以上では90度が用いられ、薬液量は一般に1〜5mLまで、吸収は皮下注射より速く静脈注射より遅いのが特徴です。
選択肢考察
-
× 1. 皮内注射
皮内注射は表皮と真皮の間に薬液を入れるため、皮膚に対してほぼ平行(0〜10度、実務的には約0〜5度)で刺入します。ツベルクリン反応やアレルギー検査で用いられ、注入量はごく少量(0.1mL前後)です。
-
× 2. 皮下注射
皮下注射は皮下組織に薬液を注入するため、10〜30度の角度で刺入します。インスリン、ワクチン、ヘパリンなどで用いられ、吸収はやや緩徐です。皮膚をつまみ上げて針を刺すのがコツです。
-
○ 3. 筋肉内注射
筋肉内注射は皮下組織よりさらに深い筋層に薬液を注入するため、45〜90度の角度で深く刺入します。三角筋や中殿筋(クラークの点)、大腿外側部などが穿刺部位で、神経損傷を避ける解剖学的知識が必要です。
-
× 4. 静脈内注射
静脈内注射は皮下を走る静脈内に穿刺するため、15〜20度程度の浅い角度で刺入します。薬液は直接血管内に入るため作用発現が最も速く、採血や輸液、緊急薬剤投与で用いられます。
各注射法の比較:(1)皮内注射=0〜10度、0.1mL、ツ反・アレルギー検査、(2)皮下注射=10〜30度、1mL以下、インスリン・ワクチン、(3)筋肉内注射=45〜90度、1〜5mL、ワクチン・抗菌薬・鎮痛薬、(4)静脈内注射=15〜20度、制限なし、緊急薬剤・輸液。筋注の部位選択では、三角筋は肩峰から三横指下、中殿筋はクラークの点(上前腸骨棘と大転子を結ぶ線の外側1/3)、大腿外側部(乳児にも安全)などを使い、坐骨神経や大血管を避けることが重要です。刺入後は必ず逆血確認(血管内に入っていないか)を行い、薬液をゆっくり注入します。
注射の種類ごとの刺入角度と解剖学的な組織層の対応を理解しているかを問う必修問題です。
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