ベンチュリーマスクで酸素濃度を決めるパーツはどれか
看護師国家試験 第105回 午前 第23問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
ベンチュリーマスクの写真を以下に示す。 酸素流量の設定と併せて吸入酸素濃度を調節するのはどれか。
- 1.①
- 2.②
- 3.③
- 4.④
対話形式の解説
博士
今日はベンチュリーマスクの仕組みを写真から読み解いてみよう。
サクラ
よく病棟で見かけますが、どうして一定濃度の酸素を出せるのか不思議でした。
博士
キーワードはベンチュリー効果だ。細く絞った管に酸素を高速で流すと、周囲の圧が下がって空気を引き込む。その現象を利用して酸素と空気を一定比率で混ぜるんだ。
サクラ
その絞りの部分がダイリューターですね。
博士
そうだ。写真の③がダイリューター。色分けされていて、青は24%、緑は35%、ピンクは40%というようにFiO2が決まっている。
サクラ
流量計も合わせて設定するのですか?
博士
ダイリューターごとに必要酸素流量が指定されていて、例えば青24%なら酸素4L/分といった具合。この組み合わせで初めて表示通りのFiO2が得られる。
サクラ
マスクや蛇管では濃度調節はできないのですね。
博士
①のマスクはガスを吸入させるためのもの、②の蛇管は体動に追従する柔らかい管、④の酸素チューブは供給源とつなぐ導管。いずれも濃度調節機能はない。
サクラ
ベンチュリーマスクはどんな患者さんに使うのですか?
博士
代表的な適応はCOPD急性増悪などのII型呼吸不全。CO2ナルコーシスを防ぐため低濃度から厳密に酸素濃度を管理したいときだ。
サクラ
CO2ナルコーシスとは何でしょう?
博士
慢性的に高CO2血症のある患者に高濃度酸素を与えると、呼吸刺激が低下して意識障害や呼吸停止を起こす病態だよ。だから厳密な濃度管理が命を守る。
サクラ
高流量システムという言葉も聞きます。
博士
患者の吸気流量を超える総流量を供給する装置を高流量システムという。ベンチュリーマスクはこれに該当し、患者の呼吸パターンに左右されず安定したFiO2を提供できる。
サクラ
指定流量を守らないとどうなりますか?
博士
流量が少ないと空気を取り込みすぎてFiO2が低下し、多すぎるとガス圧だけが上がってしまう。必ず色ごとの指定流量に設定するのがポイントだ。
サクラ
色と流量のセットで覚えるのが大事なのですね。
博士
その通り。機種で多少違いはあるが、青24・黄28・白31・緑35・ピンク40・橙50%という目安を押さえておけば臨床で応用が効くよ。
POINT
ベンチュリーマスクはベンチュリー効果を利用して酸素と空気を一定比率で混合し、安定したFiO2を供給する高流量システムです。酸素濃度を決定する部品は色分けされたダイリューターで、対応する酸素流量と組み合わせて初めて表示通りの濃度が得られます。CO2ナルコーシスのリスクがあるII型呼吸不全で低濃度から厳密に管理したいときに適応となり、看護師は色と流量の対応表を踏まえた確実な設定が求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:ベンチュリーマスクの写真を以下に示す。 酸素流量の設定と併せて吸入酸素濃度を調節するのはどれか。
解説:正解は3です。ベンチュリーマスクで吸入酸素濃度(FiO2)を決定する部品は③のダイリューター(ベンチュリー管/酸素濃度調節部)です。ダイリューターは絞り構造の内腔を持ち、酸素がここを高速で通過する際に生じる陰圧(ベンチュリー効果)で周囲の空気を一定比率で引き込みます。色分けされたダイリューターごとに必要酸素流量と得られるFiO2(24〜50%程度)が定められており、これを差し替えることでFiO2を調節します。
選択肢考察
-
× 1. ①
①はマスク本体で、患者の口鼻を覆い混合ガスを吸入させる部分です。酸素濃度の調節機能はありません。
-
× 2. ②
②は蛇管(コルゲートチューブ)で、マスクとダイリューターをつなぐ柔軟なチューブです。体位変換に追従するための部品であり、酸素濃度は調節できません。
-
○ 3. ③
③はダイリューターで、ベンチュリー効果を利用して酸素と空気を一定比率で混合します。色分けされたダイリューターと指定流量の組合せでFiO2が決まります。
-
× 4. ④
④は酸素供給源と装置をつなぐ酸素チューブで、単にガスを流す導管です。酸素濃度調節の機能はありません。
ベンチュリーマスクは高流量システムに分類され、患者の換気量に左右されず安定したFiO2を供給できる点が最大の利点です。そのため、CO2ナルコーシスのリスクが高いII型呼吸不全(COPD急性増悪など)で低濃度酸素から慎重に漸増する際に適応となります。ダイリューターの色と指定流量は機種で異なりますが、一般に青24%、黄28%、白31%、緑35%、ピンク40%、橙50%などが目安です。指定流量を守らないと所期のFiO2が得られないため、流量計の設定確認が重要です。
ベンチュリーマスクの構造と、FiO2を決定する部品(ダイリューター)の役割を理解しているかを問う問題です。
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