包帯はただ巻けばいい?臨床で差がつく3つの原則
看護師国家試験 第106回 午前 第24問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
包帯法の原則として適切なのはどれか。
- 1.患部を強く圧迫する。
- 2.屈伸可能な関節は固定する。
- 3.中枢から末梢に向けて巻く。
- 4.使用部位によって包帯を使い分ける。
対話形式の解説
博士
今日は包帯法の基本を整理するぞ。看護技術の中でも毎日使う、地味だが大事な手技じゃ。
アユム
包帯って、ぐるぐる巻けばそれでOKじゃないんですか?
博士
甘いのぅ。包帯法には明確な原則があってな、大きく3つじゃ。①末梢から中枢に向かって巻く、②均一な圧で巻く、③部位や目的に合わせた包帯を選ぶ。
アユム
なぜ末梢から中枢なんですか?
博士
静脈血は末梢から心臓に戻るじゃろ?末梢側をしっかり、中枢側を少しゆるめに巻くと、静脈還流を助けて浮腫を防げる。逆向きに巻くと末梢に血が溜まってうっ血するのじゃ。
アユム
なるほど、弾性ストッキングと同じ考え方ですね。
博士
その通り。DVT予防の弾性包帯もまさにこの原則じゃ。段階的圧迫、gradient compressionと呼ぶ。
アユム
強く巻くほどしっかり止まって良いかと思ってました。
博士
それは大きな誤解じゃ。強すぎる圧迫は動脈血流を遮断して末梢壊死や神経麻痺を招く。常に皮膚色、冷感、しびれ、疼痛を観察しないといかん。
アユム
関節は固定したほうがいいんですか?
博士
医学的に必要な場合だけ、良肢位で固定する。健常な関節を安易に固定すると廃用性萎縮や拘縮になってしまう。動かせる関節は動かせるように巻くのが原則じゃ。
アユム
包帯の種類っていろいろあるんですよね?
博士
伸縮包帯、弾性包帯、ネット(網)包帯、三角巾、巻軸包帯、弾力包帯、粘着包帯…。例えば頭部には伸縮性があって網状のネット包帯が便利、関節部位には伸縮包帯、創部保護には普通の伸縮包帯、下肢DVT予防には弾性包帯、という具合に使い分けるのじゃ。
アユム
巻き方にも名前がありましたよね?麦穂帯とか亀甲帯とか…。
博士
部位ごとに適した巻き方があるのじゃ。環行帯は同じ場所の重ね巻き、らせん帯は斜めに重ねる標準的な巻き方、麦穂帯(スパイカ)は関節や股関節など太さが変わる部位、亀甲帯は膝や肘の屈曲部、折転帯は太さが変わる前腕などに使う。
アユム
覚えることが多いですね…。
博士
すべての巻き方を丸暗記する必要はないが、国試では「末梢から中枢」「均一な圧」「部位で使い分け」の3原則が繰り返し問われるので、ここを押さえれば十分じゃ。
アユム
患者さんから「きつい」「しびれる」と言われたら、すぐ巻き直すべきなんですね。
博士
その通りじゃ。包帯は巻いて終わりではなく、巻いた後の観察まで含めて看護技術。良かれと思って強く巻いた結果、壊死させてしまったら本末転倒じゃからな。
POINT
包帯法の基本原則は、末梢から中枢に向かって巻くこと、均一な圧で血流を妨げないこと、部位や目的に応じて適切な種類の包帯を使い分けることです。本問の正解である選択肢4「使用部位によって包帯を使い分ける」は、伸縮包帯・弾性包帯・ネット包帯などを目的に応じて選ぶという包帯法の根幹を示しています。強すぎる圧迫や不要な関節固定、中枢から末梢への巻き方は、血流障害や廃用症候群、浮腫の原因となるため避けるべきです。実臨床では巻いた後の皮膚色・疼痛・しびれなどの観察まで含めて包帯法という技術が完成します。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:包帯法の原則として適切なのはどれか。
解説:正解は 4 の「使用部位によって包帯を使い分ける」です。包帯には伸縮包帯・弾性包帯・ネット包帯・三角巾・巻軸包帯などさまざまな種類があり、目的(保護・支持・圧迫・固定・整復)や部位(頭部・四肢・関節・体幹)によって最適なものを選ぶ必要があります。包帯法の基本原則は、①適切な種類・幅の包帯を選択する、②末梢から中枢に向かって巻く、③均一な圧で巻く、④血流を妨げない、⑤可能なら関節の可動性を確保する、⑥皮膚トラブルを観察する、の6点です。
選択肢考察
-
× 1. 患部を強く圧迫する。
強い圧迫は血流障害や神経障害を起こし、治癒を妨げ壊死や神経麻痺の原因にもなる。圧迫止血など明確な目的がない限り、均一で適度な圧で巻くのが原則。
-
× 2. 屈伸可能な関節は固定する。
長期的な関節固定は廃用性萎縮や拘縮を生じるため、固定が必要な医学的理由がない関節は可動域を残して巻く。骨折などで固定が必要な場合は良肢位で固定する。
-
× 3. 中枢から末梢に向けて巻く。
逆である。四肢では静脈血が末梢にうっ滞するのを防ぐため、末梢から中枢に向けて巻くのが原則。
-
○ 4. 使用部位によって包帯を使い分ける。
部位や目的に合った種類・幅の包帯を選ぶのは包帯法の基本原則。頭部には網状包帯、関節には伸縮包帯、下肢DVT予防には弾性包帯、というように使い分ける。
代表的な巻き方には、環行帯(同じ場所を重ねる)、らせん帯(斜めに重ねる)、麦穂帯(スパイカ、関節部に用いる)、亀甲帯(膝・肘の屈曲部位)、折転帯(太さが変わる部位で折り返す)などがある。弾性包帯は深部静脈血栓症(DVT)予防に用いられ、末梢から中枢へ段階的圧迫(gradient compression)をかけるのが原則。皮膚色・末梢冷感・しびれ・疼痛・循環障害のサインを定期的に観察することも重要である。
包帯法の基本原則を問う問題。「末梢から中枢」「均一な圧」「部位に応じた使い分け」の3原則が頻出ポイント。
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