電気ショックで心臓を正常に!直流除細動器のしくみ
看護師国家試験 第109回 午前 第19問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
直流除細動器の使用目的はどれか。
- 1.血圧の上昇
- 2.呼吸の促進
- 3.洞調律の回復
- 4.意識レベルの回復
対話形式の解説
博士
今日は直流除細動器について学ぶぞ。命を救う重要な医療機器じゃ。
サクラ
除細動器って、ドラマでよく見る『クリア!』のアレですよね。
博士
その通り。心室細動などの致死的不整脈に対して、強い直流電流を瞬間的に心筋に流して不整脈を止めるのじゃ。
サクラ
なぜ電気を流すと治るんですか?
博士
心臓の異常興奮を一度リセットするのじゃ。電気ショックで心筋全体を一斉に脱分極させると、異常なリエントリー回路が途切れる。その後、自然のペースメーカーである洞結節が主導権を取り戻し、正常な洞調律へ戻るのじゃ。
サクラ
なるほど、パソコンの再起動みたいなイメージですね。
博士
まさにそんな感じじゃ。だから除細動器の使用目的は『洞調律の回復』になるのじゃ。
サクラ
どんな不整脈に使うんですか?
博士
緊急除細動の適応は『心室細動(Vf)』と『無脈性心室頻拍(pulseless VT)』じゃ。一方、心房細動や心房粗動に対しては同期モード(カルディオバージョン)を使うのじゃ。
サクラ
心静止(アシストリー)では使えないんですか?
博士
使えぬ。心静止や無脈性電気活動(PEA)は電気ショックでは改善せん。これらはCPRと薬剤(アドレナリン)で治療するのが原則じゃ。
サクラ
AEDと直流除細動器は違うんですか?
博士
AEDは一般市民も使える自動体外式除細動器で、自動で心電図を解析し、ショック適応のときのみショックを推奨する。直流除細動器は医療者が心電図を読んで手動で操作するのじゃ。
サクラ
同期モードと非同期モードの違いは?
博士
非同期(除細動)は心室細動などR波のない不整脈に使う。同期(カルディオバージョン)はR波に合わせて通電し、T波(心室再分極期)を避ける。これは心室細動への誘発を防ぐためじゃ。
サクラ
使用時の注意点はありますか?
博士
通電時はスタッフ全員が患者から離れる、酸素マスクは外す、パドルに十分なジェルを塗る、など安全対策が重要じゃ。最近はパッド型が主流で、より安全に使えるようになっておる。
サクラ
看護師として現場でできることは何ですか?
博士
BLS(一次救命処置)とACLS(二次救命処置)をしっかり身につけ、医師到着前からCPRと除細動を実施できる体制を整えること。心停止の5分以内にAEDが作動すると救命率が大きく上がるから、初動が命じゃぞ。
サクラ
早期除細動の重要性がよくわかりました。
POINT
直流除細動器は、心室細動・無脈性心室頻拍などの致死的不整脈や心房細動・粗動に対し、瞬間的に強い直流電流を心筋に流して異常興奮をリセットし、洞調律への回復を図る医療機器です。血圧上昇や呼吸促進、意識回復を直接の目的とするのではなく、循環の根幹である心リズムの正常化がその目的です。除細動の適応はVfと無脈性VTに限られ、心静止やPEAには使えないため、心電図の正確な判読が必要です。看護師はBLS・ACLSの知識と技術を身につけ、早期除細動による救命率向上に貢献する役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:直流除細動器の使用目的はどれか。
解説:正解は 3 です。直流除細動器(DC defibrillator)は、心室細動や無脈性心室頻拍などの致死的不整脈、あるいは心房細動・心房粗動に対して、瞬間的に強い直流電流を心筋全体に流すことで心筋細胞を一斉に脱分極・再分極させ、洞結節が再び正常な電気刺激を発生できる状態(洞調律)へ戻すために使用します。心室細動に対する除細動は心肺停止傷病者の救命率を大きく左右するため、BLS(一次救命処置)の重要な要素とされます。使用時は同期モード(カルディオバージョン)と非同期モード(除細動)を不整脈の種類に応じて使い分けます。
選択肢考察
-
× 1. 血圧の上昇
血圧を直接上昇させる機器ではない。血圧上昇を目的とする治療には昇圧薬や輸液、IABP(大動脈内バルーンパンピング)などが用いられる。
-
× 2. 呼吸の促進
呼吸の補助や促進には人工呼吸器、バッグバルブマスク、気管挿管などが用いられる。除細動器には呼吸補助機能はない。
-
○ 3. 洞調律の回復
致死的不整脈や心房細動・粗動に対して電気ショックを与え、心筋の異常興奮を一旦リセットして正常な洞調律への復帰を図るのが除細動器の目的である。
-
× 4. 意識レベルの回復
意識レベル回復は循環・呼吸の改善による結果として得られるもので、除細動器の直接的な目的ではない。
除細動器には、医療者が使用する直流除細動器(DC)と、一般市民も使えるAED(自動体外式除細動器)がある。AEDは自動で心電図解析を行い、除細動が必要な波形(心室細動・無脈性心室頻拍)を検出した場合のみショックを推奨するため、誤作動のリスクが低い。除細動の適応は心室細動(Vf)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)であり、心静止(asystole)や無脈性電気活動(PEA)は適応外。同期モード(カルディオバージョン)は心房細動・心房粗動・血行動態の不安定な心室頻拍に用い、R波に同期して通電することで心室細動への誘発を防ぐ。
直流除細動器(DC)の使用目的(洞調律の回復)を問う必修問題。致死的不整脈に対する電気的治療の原理を理解することが重要。
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