経管栄養は『半坐位』が鉄則!逆流を防ぐ体位の工夫
看護師国家試験 第109回 午前 第20問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。
- 1.砕石位
- 2.半坐位
- 3.腹臥位
- 4.Sims〈シムス〉位
対話形式の解説
博士
今日は経鼻経管栄養の体位について学ぶぞ。看護の日常業務で頻繁に行う処置じゃ。
アユム
経鼻経管栄養って、鼻から胃にチューブを入れて栄養を流す方法ですよね。
博士
その通りじゃ。嚥下障害や意識障害などで経口摂取できない患者さんに対して行う。チューブは鼻孔から食道を通って胃まで約45~55 cm挿入される。
アユム
栄養剤を入れるとき、患者さんはどんな体位にするんですか?
博士
正解は半坐位じゃ。ベッドのヘッドアップを30~45度にする、いわゆるファウラー位じゃな。
アユム
なぜ半坐位がいいんですか?
博士
重力を使うのじゃ。上半身を起こすことで、胃から食道への逆流を防ぎ、胃から十二指腸への排出も促進される。仰臥位や腹臥位だと胃内容が逆流しやすくなる。
アユム
逆流すると何が起きるんですか?
博士
最も怖いのは誤嚥性肺炎じゃ。胃内容には胃酸や消化酵素も含まれており、気管に入ると化学性肺炎を起こす。高齢者では致命的になることもあるぞ。
アユム
他の選択肢の体位はどんな場面で使うんですか?
博士
砕石位は泌尿器科や婦人科、分娩時。腹臥位は背部の処置や無気肺の改善。シムス位は浣腸や経膣処置、舌根沈下予防、などに使うのじゃ。
アユム
注入中だけでなく、注入後も半坐位を続けるんですか?
博士
そうじゃ。注入後30分~1時間は半坐位を維持するのが原則。その間に胃排出が進み、逆流リスクが下がるのじゃ。
アユム
チューブが胃の中にちゃんと入っているかはどう確認するんですか?
博士
毎回の注入前に確認が必要じゃ。①pH試験紙で吸引液のpHが5.5以下なら胃内、②胃内容液の性状(黄褐色の胃液)、③聴診器で心窩部の気泡音、④必要に応じてレントゲン。誤って気管に注入すると致命的な事故になる。
アユム
チューブのケアはどうすればいいんですか?
博士
毎日の鼻翼の皮膚観察、チューブの固定位置確認、注入前後の白湯フラッシュによる閉塞予防、口腔ケアの徹底、などが重要じゃ。
アユム
最近は胃瘻も選ばれますよね。
博士
そうじゃ。長期栄養管理では経鼻より胃瘻(PEG)のほうが患者さんの負担が少ない。しかしどの方法でも半坐位の原則は変わらん。栄養注入時の体位管理は看護の基本じゃ。
アユム
体位一つに誤嚥性肺炎予防という大きな目的があることがよくわかりました。
POINT
経鼻経管栄養法では、胃内容の逆流による誤嚥性肺炎を防ぐため、注入中および注入後30分~1時間は上半身を30~45度挙上した半坐位(ファウラー位)を保つことが原則です。砕石位・腹臥位・シムス位はいずれも用途が異なり、経管栄養の体位としては不適切です。実施にあたっては、毎回のチューブ留置確認(pH・気泡音・レントゲン)、白湯によるフラッシュ、注入速度の調整、口腔ケアなど多角的な管理が必要です。経管栄養は看護師が日常的に関わる援助であり、誤嚥性肺炎という重大な合併症を予防するため、体位・手技・観察を丁寧に積み重ねる看護実践が患者の安全と栄養状態を支えます。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。経鼻経管栄養法では、胃内容の食道逆流による誤嚥性肺炎を防ぐため、注入中および注入後30分~1時間は上半身を30~45度挙上した半坐位(ファウラー位)を保つのが適切です。半坐位は重力により胃内容の逆流を抑制し、胃から十二指腸への排出を促進する効果があります。また、栄養チューブ留置中は、チューブの胃内留置をpH確認(pH 5.5以下)や気泡音確認、レントゲン確認などで必ず毎回確認し、誤って気管や気管支に注入する事故を防ぐ必要があります。
選択肢考察
-
× 1. 砕石位
仰臥位で両膝を曲げて開脚し、下肢を支持台に乗せる体位。泌尿器科・婦人科の診察や分娩時などに用いられ、経鼻経管栄養には不適切である。
-
○ 2. 半坐位
上半身を30~45度挙上したファウラー位で、胃内容の食道逆流と誤嚥を防ぎ、胃排出を促進するため経管栄養の基本体位である。
-
× 3. 腹臥位
うつ伏せの体位で、腹部が圧迫されて胃内容の逆流を促進しやすく、呼吸も制限されるため経管栄養には適さない。
-
× 4. Sims〈シムス〉位
左側臥位に近い半腹臥位で、浣腸や経膣・直腸診の際に用いる体位。意識障害患者の舌根沈下予防にも使われるが、経管栄養の体位としては逆流リスクが残り不適切。
経鼻経管栄養の実施手順:①体位を半坐位(30~45度)に整える、②チューブの胃内留置を確認(pH試験紙でpH 5.5以下、胃内容液の吸引、必要時はレントゲン)、③白湯20~30 mLを流して開通を確認、④栄養剤を体温程度に温めて指示量・指示速度で注入(重力滴下または注入ポンプ使用)、⑤注入後は白湯でフラッシュしてチューブを清潔に保つ、⑥注入後30分~1時間は半坐位を維持、⑦口腔ケアを行う。下痢・嘔吐・腹部膨満・逆流・チューブ閉塞・皮膚トラブルなどの合併症に注意する。近年は胃瘻(PEG)や空腸瘻の選択肢もあり、長期栄養管理では使い分けられる。
経鼻経管栄養時の適切な体位(半坐位)を問う必修問題。誤嚥性肺炎予防の観点から、逆流防止のための体位を理解することが重要。
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