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インスリンでおなじみ 皮下注射の正しい作法

看護師国家試験 第109回 午前 第23問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第23問

皮下注射で適切なのはどれか。

  1. 1.注射部位を伸展する。
  2. 2.注射針は 18 ~ 20 Gを使用する。
  3. 3.針の刺入角度は 45 ~ 90 度にする。
  4. 4.皮下脂肪が 5 mm 以上の部位を選択する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は皮下注射について学ぶぞ。看護師が最もよく施行する注射手技の一つじゃ。

サクラ サクラ

インスリン注射ですよね。糖尿病の患者さんが自分で打っているのを見たことがあります。

博士 博士

その通り。皮下注射は真皮の下、筋層よりも浅い皮下組織に薬液を注入する方法じゃ。吸収がゆっくりで、血中濃度が長く続くのが特徴じゃな。

サクラ サクラ

なぜ皮下だと吸収がゆっくりなんですか?

博士 博士

皮下組織は毛細血管が比較的少なく、薬液がじわじわと血中に取り込まれるからじゃ。急激な効果ではなく持続的な効果を狙う薬剤に向いておる。

サクラ サクラ

針の太さってどれくらいですか?

博士 博士

23から27Gの細い針を使う。Gはゲージの略で、数字が大きいほど細くなるのじゃ。インスリンでは32Gくらいの極細のものも使われておる。

サクラ サクラ

刺入する角度は?

博士 博士

10から30度の浅い角度じゃ。深く刺すと筋肉に達してしまうからな。皮膚を軽くつまんで皮下組織を持ち上げ、斜めに刺すのがコツじゃ。

サクラ サクラ

つまむんですね。筋肉注射では伸ばすと習いましたが…。

博士 博士

良い指摘じゃ。筋肉注射は針をまっすぐ深く入れたいから皮膚を伸ばす。皮下注射は皮膚を持ち上げて浅い空間を作る。目的が正反対なのじゃ。

サクラ サクラ

刺入する部位はどこがいいんですか?

博士 博士

皮下脂肪が5mm以上ある部位じゃな。上腕伸側、大腿前外側、腹部、殿部などじゃ。脂肪の厚みが足りないと薬液が筋層や真皮内に流れてしまうぞ。

サクラ サクラ

インスリンを毎日打つ患者さんは同じ場所ばかり使ってしまいそうですが、大丈夫なんですか?

博士 博士

そこが重要じゃ。同じ場所ばかり打つと皮下脂肪が硬く腫れる「リポハイパートロフィー」が起こり、薬の吸収がばらつく。だからローテーションが指導の要なのじゃ。

サクラ サクラ

吸収速度って部位で違うんですか?

博士 博士

腹部が最も速く、大腿・殿部は遅い。だから低血糖のリスクを避けたい就寝前は大腿、食前の速効型は腹部、というように使い分けることもあるぞ。

サクラ サクラ

単に刺す技術だけじゃなく、薬の動態や患者さんの生活まで考える必要があるんですね。

博士 博士

その通りじゃ。注射は薬物療法の入口であり、看護師の観察力と教育力が治療成績を左右する大事な技術じゃよ。

POINT

皮下注射は真皮の下、筋層より浅い皮下組織に薬液を注入する手技で、インスリンやワクチン、一部のホルモン製剤に用いられます。適切な条件は、皮下脂肪が5mm以上ある部位を選び、皮膚を軽くつまんで持ち上げ、23〜27Gの細い針を10〜30度の浅い角度で刺入することです。筋肉注射と対比すると、針の太さ・角度・皮膚操作のすべてが逆の関係にあるため、二者を混同しないよう整理が必要です。実臨床ではインスリン療法における部位ローテーションや吸収速度の差異も患者教育の重要ポイントとなり、看護師の継続的なサポートが治療効果を大きく左右します。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:皮下注射で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。皮下注射は真皮の下、筋層よりも浅い皮下組織内に薬液を注入する手技で、インスリン、ワクチン、一部のホルモン製剤などで用いられる。薬液が滞留する空間を確保し、かつ筋層まで針が達しないように、皮下脂肪が5mm以上ある部位を選ぶ必要がある。皮膚をつまみ上げて皮下組織の厚みを作り、10〜30度の浅い角度で23〜27Gの細い針を刺入する。

選択肢考察

  1. × 1.  注射部位を伸展する。

    皮下注射では部位を伸展させるのではなく、皮膚を軽くつまんで皮下組織を持ち上げることで、針が筋層まで到達しないようにする。伸展させるのは筋肉注射の手技である。

  2. × 2.  注射針は 18 ~ 20 Gを使用する。

    18〜20Gは太い針で、主に輸血や急速輸液に用いる。皮下注射では疼痛と組織損傷を避けるため、23〜27Gの細い針を選択する。

  3. × 3.  針の刺入角度は 45 ~ 90 度にする。

    45〜90度は筋肉注射の刺入角度。皮下注射では筋層を穿かないよう、10〜30度の浅い角度で刺入する。

  4. 4.  皮下脂肪が 5 mm 以上の部位を選択する。

    皮下組織に十分な厚みがある部位でなければ、薬液が筋層や真皮内に誤注入されてしまう。皮下脂肪が5mm以上ある上腕後側や大腿前外側、腹部などが推奨される。

皮下注射の代表例はインスリン自己注射で、腹部・大腿・上腕外側・殿部などをローテーションして脂肪組織の肥大(リポハイパートロフィー)を防ぐ。吸収速度は腹部が最も速く、大腿・殿部の順に遅くなる。筋肉注射との違いを整理すると、針の太さは皮下23〜27G/筋肉21〜23G、角度は皮下10〜30度/筋肉45〜90度、部位の扱いは皮下つまむ/筋肉伸ばす、となる。ワクチン接種では生ワクチン・不活化ワクチンの多くが皮下注射で行われるが、近年は国際標準に合わせて筋肉注射を選択するワクチン(HPV、一部の新型コロナワクチンなど)も増えている。

皮下注射の刺入部位選択・針の太さ・刺入角度・皮膚の扱いを、筋肉注射と対比して正確に区別できるかを問う基本技術問題。