StudyNurse

最速はどれ?投与経路と吸収スピードの関係

看護師国家試験 第112回 午前 第22問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第22問

薬物の吸収速度が最も速いのはどれか。

  1. 1.経口投与
  2. 2.筋肉内注射
  3. 3.静脈内注射
  4. 4.直腸内投与

対話形式の解説

博士 博士

今回のテーマは薬物の吸収速度じゃ。同じ薬でも、どこから入れるかで効き方が全く違うのじゃよ。

アユム アユム

静脈内注射が速そうなのは何となくわかりますが、理由まではうまく説明できません…。

博士 博士

ポイントは『吸収過程があるかないか』じゃ。静脈内注射は血管に直接入るから吸収という段階がない。投与=即全身循環、じゃな。

アユム アユム

ほかの経路だと、どこかを通ってから血管に入るんですね。

博士 博士

その通り。経口なら消化管→門脈→肝臓→全身と、いちばん長い旅路じゃ。途中で肝臓での代謝(初回通過効果)を受けるから、効くまでも遅いし、量も目減りしがちなのじゃ。

アユム アユム

直腸内投与の坐薬はけっこう速いイメージがあります。

博士 博士

直腸は血流豊富で粘膜も薄い。下半分の静脈叢から吸収されれば肝臓をある程度バイパスできるから経口より速い。ただし血管へ直接入れる静注にはかなわん。

アユム アユム

筋肉内注射と皮下注射はどちらが速いんですか?

博士 博士

筋組織の方が血流が豊富なので、一般に筋注>皮下注の順じゃ。吸収速度を整理すると静注>直腸>筋注>皮下>経口となるのう。

アユム アユム

救急でアドレナリンを筋注することがあるのはなぜですか?

博士 博士

アナフィラキシーでは血圧が下がって静脈確保に手間取るため、大腿前外側への筋注が第一選択なのじゃ。血流豊富で吸収が速く、誰でも実施しやすいからな。

アユム アユム

なるほど。吸収の速さと『すぐできるか』は別問題なんですね。

博士 博士

うむ。臨床では即効性・確実性・安全性のバランスで経路を選ぶ。抗菌薬の点滴、インスリンの皮下注、モルヒネの経口徐放…それぞれに理由があるのじゃ。

アユム アユム

作用時間はどう違うんですか?

博士 博士

速く効くものは短く終わる傾向にあり、ゆっくり吸収されるほど長く効きやすい。経皮吸収型(貼付剤)や持続皮下注は安定した血中濃度を保てるのが強みじゃ。

アユム アユム

静注の注意点は何でしょう?

博士 博士

効果が速い分、副作用も一気に出る。投与速度を守り、希釈ミスを避け、投与直後のバイタル観察を怠らないこと。これが看護の基本じゃな。

POINT

薬物の吸収速度は投与経路によって大きく異なり、血管内に直接入る静脈内注射が最速です。以降は直腸内投与、筋肉内注射、皮下注射、経口投与の順で遅くなり、経口は消化管吸収と肝初回通過効果を経るため作用発現まで時間がかかります。臨床では『どれだけ速く効かせたいか』『持続させたいか』『患者が自己管理できるか』といった条件で経路を選択し、例えばアナフィラキシーでのアドレナリン筋注や糖尿病のインスリン皮下注のように、薬剤ごとに最適解が異なります。看護師は投与経路ごとの吸収特性を理解し、速効性のある経路では副作用の早期発見、緩徐な経路では服薬継続支援といった視点を持つことが求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:薬物の吸収速度が最も速いのはどれか。

解説:正解は 3 です。静脈内注射は薬液を直接血管内に投与するため、消化管や組織を介した吸収過程を省略でき、投与と同時に全身循環へ移行する。このため血中濃度の立ち上がりが最も速く、救急時のアドレナリン投与や抗菌薬のボーラス投与など即効性が求められる場面で選択される。一般に吸収速度は静脈内注射>直腸内投与>筋肉内注射>皮下注射>経口投与の順である。

選択肢考察

  1. × 1.  経口投与

    消化管から吸収されたのち門脈を経由して肝臓で代謝(初回通過効果)を受けてから全身循環に入るため、吸収速度は最も遅い。食事や胃内pHの影響も受けやすい。

  2. × 2.  筋肉内注射

    筋組織は血流が豊富で皮下注射より吸収は速いが、組織間質を経由する分、血管内直接投与の静脈内注射より立ち上がりは遅い。

  3. 3.  静脈内注射

    薬物が血管内へ直接入り、ただちに全身循環へ分布する。吸収過程がないため血中濃度到達が最も速く、確実である。

  4. × 4.  直腸内投与

    直腸粘膜は薄く血流も豊富で経口より速く、下半分から吸収された薬物は肝臓の初回通過効果を一部回避できる。ただし血管内に直接入る静脈内注射には及ばない。

作用発現の速さだけでなく作用持続時間も投与経路で異なる。持続の長い順はおおむね皮下<筋肉内<経口<経皮(貼付剤)で、持続点滴は一定の血中濃度を維持できる特徴がある。静脈内注射は効果が速い反面、投与量を誤ると副作用が急激に出現するため、希釈・投与速度・観察の3点が看護上の安全管理ポイントとなる。

投与経路による薬物動態(特に吸収速度)の違いを問う必修問題。静脈内注射は吸収過程を省略するため最速、という原則を押さえる。