尿量で読み解く腎機能と体液バランス
看護師国家試験 第103回 午前 第10問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
成人の1日の平均尿量はどれか。
- 1.100ml以下
- 2.200ml~400ml
- 3.1,000ml~1,500ml
- 4.3,000ml以上
対話形式の解説
博士
今日は基本中の基本、成人の1日尿量の問題じゃ。数字を正確に押さえて、無尿・乏尿・多尿の境界もセットで覚えるのが鉄則じゃぞ。
アユム
博士、健康な大人の1日の尿量ってどれくらいなんですか?
博士
概ね1,000〜1,500mLじゃ。1日およそ1〜1.5リットルじゃな。だから正解は3じゃ。
アユム
摂る水分量や季節で変わりそうですが…
博士
もちろん変動する。摂取水分量、不感蒸泄、発汗量、食事内容、活動量、気温で大きく変わるな。でも健康な状態なら腎臓が調整してこの範囲に収まるんじゃ。
アユム
病的な尿量の分類はどうなっていますか?
博士
整理しよう。①無尿は100mL/日以下、②乏尿は400mL/日以下、③正常は1,000〜1,500mL/日、④多尿は3,000mL/日以上じゃ。それぞれ原因疾患も覚えるとよい。
アユム
無尿・乏尿の原因は何ですか?
博士
急性腎不全(腎前性・腎性・腎後性)、急性尿細管壊死、ショック、重度脱水、両側尿路閉塞などじゃ。腎前性は循環血液量低下、腎性は腎実質の障害、腎後性は尿路の閉塞によるものじゃな。
アユム
多尿の原因は?
博士
糖尿病、尿崩症、慢性腎不全多尿期、利尿薬使用、心因性多飲などじゃ。糖尿病は血糖値が高いと尿に糖が出て浸透圧利尿が起こる。尿崩症はADH(抗利尿ホルモン)の作用が低下して水を再吸収できなくなる病態じゃ。
アユム
尿閉と乏尿は違うんですよね?
博士
違うんじゃ。尿閉は「尿が膀胱に貯留しているのに排出できない状態」で、尿の生成自体は問題ない。前立腺肥大や神経因性膀胱などで起こる。一方、乏尿は尿の生成自体が減っている状態じゃな。
アユム
水分出納の管理はどう考えればいいですか?
博士
IN/OUTバランスで見るんじゃ。INは経口摂取・点滴・食事中の水分、OUTは尿・便・不感蒸泄・発汗・ドレーン排液じゃ。不感蒸泄は成人で約900mL/日(皮膚600mL+呼気300mL)と覚えておくとよい。
アユム
不感蒸泄って意外と多いんですね。
博士
そう。発熱があると約15%/℃増加するから、高熱の患者ではさらに増える。心不全や腎不全患者では水分制限の管理が重要じゃ。
アユム
看護師として尿量観察するときのポイントは?
博士
時間尿(術後などは1時間ごと)、24時間尿、性状(色調、混濁、血尿の有無、混入物)を観察する。BUN、クレアチニン、電解質などの検査値とあわせて総合評価することが大事じゃ。
アユム
術後の尿量基準ってありますか?
博士
一般的に成人で0.5〜1.0mL/kg/時を維持することが目標じゃ。例えば体重60kgなら1時間あたり30〜60mL以上が目安。これを下回ると循環不全や腎機能低下を疑うんじゃ。
アユム
頻尿との違いも整理しておきたいです。
博士
頻尿は「排尿回数が多い」状態じゃ。1日8回以上、夜間2回以上が目安じゃな。多尿(尿量が多い)とは別概念だから区別しよう。膀胱炎や前立腺肥大、過活動膀胱などで頻尿になることがある。
アユム
尿量1つで腎機能から循環状態まで読み取れるんですね!しっかり覚えます。
POINT
健康な成人の1日の尿量は1,000〜1,500mLが正常範囲で、本問の正解は3です。100mL以下は無尿、400mL以下は乏尿、3,000mL以上は多尿と分類され、それぞれ急性腎不全・脱水・尿路閉塞、糖尿病・尿崩症などの病的状態を示唆します。尿閉は膀胱貯留尿が排出できない状態で、尿量低下とは異なる概念です。看護師は尿量測定に加えて性状観察やBUN・クレアチニンなどの検査値、IN/OUTバランス(不感蒸泄約900mL/日含む)を総合して腎機能と体液バランスを評価します。術後管理では0.5〜1.0mL/kg/時が目安となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:成人の1日の平均尿量はどれか。
解説:正解は 3 です。成人の1日の尿量は、健康な状態で概ね1,000〜1,500mL(約1〜1.5L)が正常範囲とされています。尿量は摂取した水分量、不感蒸泄、発汗量、食事内容、活動量、気温などによって変動しますが、腎機能・体液量の指標として極めて重要です。臨床的には1日の尿量に基づき以下のように分類されます。①無尿:100mL/日以下、②乏尿:400mL/日以下、③正常:1,000〜1,500mL/日、④多尿:3,000mL/日以上。無尿・乏尿は急性腎不全(腎前性・腎性・腎後性)、急性尿細管壊死、ショック、重度脱水、尿路閉塞などで生じます。一方、多尿は糖尿病(浸透圧利尿)、尿崩症(中枢性または腎性、ADH作用低下)、慢性腎不全多尿期、利尿薬使用、心因性多飲などで生じます。なお、尿閉は「尿が膀胱に貯留しているのに排出できない状態」で、尿量が減少しているわけではない点に注意が必要です。看護師は尿量測定(時間尿、24時間尿)、性状観察(色調、混濁、血尿の有無)、関連する検査値(BUN、クレアチニン、電解質)と合わせて、患者の腎機能と体液バランスを総合的に評価する必要があります。
選択肢考察
-
× 1. 100ml以下
誤りです。100mL/日以下は「無尿」と呼ばれる病的状態で、急性腎不全やショック、両側尿路閉塞などで生じます。健康成人の平均尿量ではありません。
-
× 2. 200ml~400ml
誤りです。400mL/日以下は「乏尿」と呼ばれ、腎機能低下、脱水、ショックなどの病的状態で生じます。健康成人の平均尿量ではありません。
-
○ 3. 1,000ml~1,500ml
正しい選択肢です。健康な成人の1日の平均尿量は1,000〜1,500mLが正常範囲とされます。摂取水分量や気温、発汗量等で変動しますが、腎機能と体液バランスの目安となります。
-
× 4. 3,000ml以上
誤りです。3,000mL/日以上は「多尿」と呼ばれ、糖尿病(浸透圧利尿)、尿崩症(ADH作用低下)、利尿薬使用、心因性多飲などで生じます。健康成人の平均尿量ではありません。
尿量に関連する重要用語を整理します。①無尿(anuria):100mL/日以下、②乏尿(oliguria):400mL/日以下、③正常尿量:1,000〜1,500mL/日、④多尿(polyuria):3,000mL/日以上、⑤頻尿:1日の排尿回数が8回以上(夜間頻尿は2回以上)、⑥尿閉(urinary retention):膀胱に尿が貯留しているのに排出できない状態。これに加え水分出納(IN/OUTバランス)の管理として、IN(経口摂取・点滴・食事中の水分)とOUT(尿・便・不感蒸泄・発汗・ドレーン排液)を比較します。不感蒸泄は成人で約900mL/日(皮膚600mL+呼気300mL)、発汗は環境により変動します。腎不全患者や重症患者では特に厳密な水分管理が求められます。
成人の1日の平均尿量は1,000〜1,500mLで、無尿100mL以下・乏尿400mL以下・多尿3,000mL以上と区別する。
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