閉経前後のホルモン変動を整理しよう
看護師国家試験 第103回 午前 第7問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
閉経前と比べ閉経後に低下するホルモンはどれか。
- 1.卵胞ホルモン
- 2.黄体形成ホルモン〈LH〉
- 3.卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- 4.副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
対話形式の解説
博士
今日は女性のホルモン変化の問題じゃ。閉経の前後で何が増えて何が減るのか、しっかり区別できるかな?
サクラ
博士、閉経って卵巣の機能が止まることですよね。じゃあ女性ホルモンが全部減るんじゃないですか?
博士
いいところに気づいたな。確かに「卵巣由来のホルモン」は減る。でも「下垂体由来のホルモン」はむしろ増えるんじゃ。これがフィードバック調節の面白いところじゃな。
サクラ
どういうことですか?
博士
通常はエストロゲンが下垂体に「もう十分分泌されているからLHやFSHは出さなくていいよ」とネガティブフィードバックをかけておる。閉経で卵巣機能が止まり、エストロゲンが減ると、その抑制がなくなるんじゃ。
サクラ
すると下垂体が「もっと卵巣を刺激しろ!」と頑張ってLHやFSHをたくさん出すんですね。
博士
そのとおり。だからLH・FSHは閉経後にむしろ増加する。特にFSHは血中40 mIU/mL以上が持続することが閉経の診断指標になるんじゃ。
サクラ
ということは、選択肢で「閉経後に低下する」のは1の卵胞ホルモンだけ、というのが正解ですね!
博士
そのとおり、正解は1じゃ。卵胞ホルモン(エストロゲン)は卵巣の卵胞から分泌されるホルモンで、閉経で卵胞が枯渇すると急激に低下する。これが更年期症状の主因じゃな。
サクラ
更年期症状って具体的にはどんな症状ですか?
博士
血管運動神経症状としてホットフラッシュ(のぼせ)、発汗、動悸など。精神症状としてイライラ、抑うつ、不眠、不安。身体症状として肩こり、腰痛、関節痛、性交痛などじゃ。
サクラ
長期的な影響もあるんですか?
博士
あるんじゃ。エストロゲンには骨吸収を抑える作用、コレステロール代謝を改善する作用、血管を保護する作用などがあるから、これらが失われると骨粗鬆症、脂質異常症、動脈硬化のリスクが高まる。閉経後の女性に骨粗鬆症が多い理由じゃな。
サクラ
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は閉経と関係ないんですよね?
博士
関係ないな。ACTHは副腎皮質を刺激してコルチゾールを分泌させる下垂体前葉ホルモンで、ストレス応答に重要じゃ。女性の月経や閉経とは直接関係せず、閉経前後で大きな変化はない。
サクラ
更年期症状の治療にはどんなものがありますか?
博士
ホルモン補充療法(HRT)が代表的じゃな。エストロゲンを補充して症状を改善する。ただし乳がん家族歴や血栓症リスクのある人には慎重投与が必要じゃ。他に漢方療法(加味逍遙散、当帰芍薬散など)、SSRI/SNRI、生活習慣改善も用いられる。
サクラ
看護師として更年期の女性をどう支援すればいいでしょう?
博士
まず更年期は誰にでも訪れる生理的変化だと共感的に伝えること。症状の記録を勧め、適切な医療受診を支援する。睡眠・運動・栄養指導、リラクセーションの提案も大切じゃ。性的・心理的悩みにも配慮できる関係性を築くんじゃよ。
サクラ
ホルモンの仕組みって看護に直結するんですね!しっかり整理します。
POINT
閉経後は卵巣機能の低下によりエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に低下する一方、ネガティブフィードバックの解除により下垂体前葉からのLH・FSHはむしろ増加します。本問の正解は1の卵胞ホルモンです。ACTHは副腎皮質刺激ホルモンで、月経・閉経とは直接関係なく閉経前後で大きな変化はありません。エストロゲン低下はホットフラッシュなどの更年期症状や、骨粗鬆症・脂質異常症・動脈硬化などの長期的健康リスクの増加をもたらします。看護師はホルモン変動の知識を活かして更年期女性のQOL向上を支援する重要な役割を担います。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:閉経前と比べ閉経後に低下するホルモンはどれか。
解説:正解は 1 です。閉経とは、卵巣機能の低下に伴って月経が永久に停止する現象で、日本人女性では平均約50歳前後に起こります。卵巣からはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の性ステロイドホルモンが分泌されますが、閉経により卵胞が枯渇すると、これらのホルモン分泌は急激に減少します。これに対し、視床下部・下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)と性腺刺激ホルモン(黄体形成ホルモン LH、卵胞刺激ホルモン FSH)は、ネガティブフィードバック機構の解除によりむしろ大きく増加します。すなわち、閉経後は「卵巣由来ホルモンは低下、下垂体由来ホルモンは増加」となるのが特徴で、血中FSHが40 mIU/mL以上で持続するなどが閉経の指標として用いられます。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は副腎皮質を刺激してコルチゾールの分泌を促す下垂体前葉ホルモンで、女性の月経や閉経とは直接関係なく、閉経前後で大きな変化はありません。したがって、閉経後に低下するのは卵胞ホルモン(エストロゲン)であり、正解は1となります。エストロゲン低下は、ホットフラッシュ・発汗・不眠などの更年期症状、骨粗鬆症、脂質異常症(LDLコレステロール上昇)、動脈硬化リスクの増加などをもたらします。
選択肢考察
-
○ 1. 卵胞ホルモン
正しい選択肢です。卵胞ホルモン(エストロゲン)は卵巣の卵胞から分泌されるホルモンで、閉経により卵胞が枯渇すると分泌が急激に低下します。これがほてり・発汗などの更年期症状や骨粗鬆症、脂質異常症のリスクを高める原因となります。
-
× 2. 黄体形成ホルモン〈LH〉
誤りです。LHは下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンです。閉経後はエストロゲンによるネガティブフィードバックがなくなるため、むしろ増加します。
-
× 3. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
誤りです。FSHもLHと同じく下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンで、閉経後にはエストロゲンの抑制が外れ、血中FSH 40 mIU/mL以上が持続するなど大きく増加します。閉経の診断指標としても用いられます。
-
× 4. 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
誤りです。ACTHは副腎皮質を刺激してコルチゾールの分泌を促す下垂体前葉ホルモンで、女性の月経・閉経とは直接関係なく、閉経前後で大きな変化はありません。
更年期は閉経をはさんだ前後約10年間(45〜55歳頃)を指し、エストロゲン低下に伴う多彩な症状が現れます。代表的な症状は血管運動神経症状(ホットフラッシュ、発汗)、精神症状(イライラ、抑うつ、不眠)、身体症状(肩こり、腰痛、関節痛、性交痛)などです。長期的な影響としては、骨粗鬆症(エストロゲンの骨吸収抑制作用が消失)、脂質異常症(LDL上昇、HDL低下)、動脈硬化、認知機能低下リスクの増加などが挙げられます。治療法としてホルモン補充療法(HRT)、漢方療法、SSRI/SNRIなどの薬物療法、生活習慣改善が行われます。看護師は更年期女性のQOL向上を支援する重要な役割を担います。
閉経後はエストロゲン(卵胞ホルモン)が低下し、ネガティブフィードバックの解除でLH・FSHは増加する。
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