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安静時の成人が一息で吸う空気はどれくらい?1回換気量の正体

看護師国家試験 第109回 午前 第11問 / 必修問題 / 人体の構造と機能

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第11問

健康な成人の 1 回換気量はどれか。

  1. 1.約 150 mL
  2. 2.約 350 mL
  3. 3.約 500 mL
  4. 4.約 1,000 mL

対話形式の解説

博士 博士

今日は呼吸生理の基本、1回換気量について学ぶぞ。国試必修でも頻出の重要項目じゃ。

サクラ サクラ

1回換気量って、一呼吸で吸ったり吐いたりする空気の量ですよね。だいたいどれくらいなんですか?

博士 博士

成人の安静時では約450~500 mL、目安として『理想体重×6~8 mL/kg』で計算できるのじゃ。体重60 kgなら360~480 mLくらいになるの。

サクラ サクラ

500 mLのペットボトル1本分とイメージすればいいんですね。

博士 博士

うむ、その通り。ただし吸った空気のすべてが肺胞まで届くわけではないぞ。

サクラ サクラ

え?肺胞に届かない空気もあるんですか?

博士 博士

そうじゃ。鼻腔から終末細気管支までの気道、ここはガス交換をしない通り道で『解剖学的死腔』と呼ばれる。死腔量は約150 mLじゃ。

サクラ サクラ

ということは、500 mL吸っても実際に酸素と二酸化炭素を交換できるのは350 mLくらい?

博士 博士

正解!その350 mLを『肺胞換気量』と呼ぶのじゃ。1回換気量 = 肺胞換気量 + 死腔量、という式でおさえておくのじゃ。

サクラ サクラ

だから浅い呼吸だと効率が悪いんですね。

博士 博士

鋭いの。例えば1回換気量が300 mLまで下がると、死腔150 mLを除いた肺胞換気量はわずか150 mLになってしまう。呼吸数を増やしても、死腔の空気が行き来するだけでガス交換は改善しにくいのじゃ。

サクラ サクラ

だから深呼吸やインセンティブスパイロメトリーが重要なんですね。

博士 博士

その通り。術後の無気肺予防でも、浅く速い呼吸ではなく、ゆっくり深く息を吸う指導をするのはこのためじゃ。

サクラ サクラ

毎分換気量との関係も教えてください。

博士 博士

毎分換気量 = 1回換気量 × 呼吸数、で計算する。成人の呼吸数は12~20回/分なので、500 mL×15回 = 約7,500 mL/分となるのじゃ。人工呼吸器の設定でも基本となる値じゃから、必ず押さえておくのじゃよ。

サクラ サクラ

呼吸の量と質、両方の視点が大切なんですね。

POINT

健康な成人の1回換気量は約500 mL(450~500 mL)で、これは安静時の一呼吸で肺と気道を出入りする空気量を指します。このうち約150 mLはガス交換に関与しない解剖学的死腔にとどまり、実際に肺胞でガス交換を行う肺胞換気量は約350 mLです。浅く速い呼吸では死腔の割合が相対的に増え、効率的な換気が得られないため、臨床では深い呼吸を促す援助が重要になります。人工呼吸器の設定や術後呼吸リハビリテーションの基礎となるデータであり、看護師として必ず押さえておきたい基本値です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:健康な成人の 1 回換気量はどれか。

解説:正解は 3 です。1回換気量(tidal volume:TV)とは、安静時の1回の呼吸運動で肺と気道を出入りする空気の量を指します。健康な成人の場合、約450~500 mLが正常値とされ、目安としては『理想体重×6~8 mL/kg』で推定できます。吸い込んだ空気のうち、鼻腔から終末細気管支までの気道(解剖学的死腔、約150 mL)にとどまる部分はガス交換に関与せず、残りの約300~350 mLが肺胞に到達して実際のガス交換(肺胞換気量)に寄与します。したがって成人の1回換気量としては約500 mLが最も適切で、選択肢3が正解となります。

選択肢考察

  1. × 1.  約 150 mL

    これは解剖学的死腔量にあたる値である。鼻腔から終末細気管支までの気道に残り、ガス交換に関与しない空気量の目安であり、1回換気量そのものではない。

  2. × 2.  約 350 mL

    1回換気量から死腔量を差し引いた肺胞換気量に近い値である。実際に肺胞でガス交換に関わる空気量を示し、1回換気量全体ではない。

  3. 3.  約 500 mL

    安静時の成人における1回換気量として妥当な値である。肺胞換気量約350 mLと死腔量約150 mLを合わせた量に相当する。

  4. × 4.  約 1,000 mL

    安静時の1回換気量としては大きすぎる。深呼吸のように意識的に深く吸気した場合に達する量であり、通常の呼吸量ではない。

呼吸機能の指標としては、1回換気量のほかに予備吸気量(約2,000~2,500 mL)、予備呼気量(約1,000 mL)、残気量(約1,000~1,500 mL)があり、これらを合わせて全肺気量(約5,000~6,000 mL)となる。肺活量は1回換気量+予備吸気量+予備呼気量で求められ、約3,500~4,500 mLが目安である。毎分換気量は1回換気量×呼吸数(成人12~20回/分)で計算でき、呼吸管理の基本指標となる。

安静時成人の1回換気量(約500 mL)の正常値を問う問題。死腔量150 mLと肺胞換気量350 mLの区別ができるかがカギとなる。