大腿骨頸部を図から見分ける
看護師国家試験 第111回 午前 第11問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
右大腿骨前面を図に示す。 大腿骨頸部はどれか。
- 1.①
- 2.②
- 3.③
- 4.④
対話形式の解説
博士
今日は大腿骨の近位部の解剖についてじゃ。高齢者でよく聞く『大腿骨頸部骨折』、この『頸部』がどこを指すか分かるかの?
サクラ
なんとなく股関節のあたり、というイメージです。具体的にはどこでしょう?
博士
大腿骨は上から、骨頭・頸部・大転子・小転子・骨幹部と続く構造じゃ。問題では①②③④のうちどれが頸部かを問うておる。正解は③じゃよ。
サクラ
③はくびれて細くなっている部分ですね。どうしてそこが頸部と呼ばれるのですか?
博士
人間の首(頸)のように球状の頭を支えるくびれだからじゃ。①は外側に突出した大転子で、中殿筋や小殿筋が付着する部位じゃ。
サクラ
大転子は体の横から触れるあのゴリっとした骨ですね。②は何ですか?
博士
②は大腿骨頭、寛骨臼にはまり込む球の部分じゃ。股関節そのものを形づくる関節面じゃよ。
サクラ
④の小転子はどういう役割ですか?
博士
小転子には腸腰筋が停止して、股関節の屈曲を担っておる。つまり歩行時に脚を前に振り出す筋肉の付着部じゃ。
サクラ
なるほど。頸部骨折が高齢者に多いのはなぜでしょう?
博士
頸部は関節包の中にあって血流が乏しく、骨梁も薄いのじゃ。骨粗鬆症が進んだ高齢者が転倒すると、ここに応力が集中して折れやすい。しかも血流が乏しいため骨癒合しにくく、骨頭壊死も起こしうるのじゃ。
サクラ
だから人工骨頭置換術が選ばれるのですね。頸部の位置と臨床的意義がつながりました。
POINT
大腿骨頸部は骨頭と骨幹部をつなぐくびれた部分で、問題では③が該当します。①は大転子、②は大腿骨頭、④は小転子と区別します。頸部は関節包内で血流に乏しく、高齢者の転倒で骨折しやすい部位です。Garden分類による評価と、転位型での人工骨頭置換術が臨床のポイントとなります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:右大腿骨前面を図に示す。 大腿骨頸部はどれか。
解説:正解は 3 です。大腿骨頸部とは、球状の大腿骨頭を体幹側で支える、くびれて細くなった部分を指します。頸部は骨頭と骨幹部をつなぎ、体重を股関節に伝える重要な部位で、骨梁構造が薄く血流が乏しいため、高齢者の転倒などで骨折しやすい部位として知られています。
選択肢考察
-
× 1. ①
①は大転子で、大腿骨頸部の外側上方に突出する大きな骨隆起です。中殿筋・小殿筋などの外転筋群が付着する部位であり、体表から触知できます。頸部ではありません。
-
× 2. ②
②は大腿骨頭で、寛骨臼にはまり込む球状の関節面です。頸部に続く最上端の丸い部分であり、くびれた「頸部」そのものとは別の構造です。
-
○ 3. ③
③は大腿骨頸部です。大腿骨頭と骨幹部をつなぐくびれた部分で、首のように細くなっているため「頸部」と呼ばれます。高齢者の大腿骨頸部骨折が多発する部位です。
-
× 4. ④
④は小転子で、大腿骨近位内側後方に突出する小さな隆起です。腸腰筋の停止部として股関節の屈曲に関与します。頸部ではありません。
大腿骨近位部の解剖は「骨頭→頸部→大転子・小転子→骨幹部」の順で覚えると整理しやすいです。大腿骨頸部骨折は転位の有無で評価するGarden分類(StageI〜IV)が用いられ、転位型では人工骨頭置換術が選択されることが多いです。関節包内骨折のため血流障害が起こりやすく、骨頭壊死のリスクがある点が臨床的に重要です。
大腿骨近位部の解剖学的名称(骨頭・頸部・大転子・小転子)を図から識別できるかを問う問題です。
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