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胎児循環の謎—臍動脈と臍静脈、どっちがどっち?

看護師国家試験 第111回 午前 第7問 / 必修問題 / 人体の構造と機能

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第7問

胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。

  1. 1.総頸動脈
  2. 2.肺動脈
  3. 3.臍動脈
  4. 4.臍静脈

対話形式の解説

博士 博士

今日は胎児循環を整理しよう。成人循環とは大きく違う点があるけれど、何だと思う?

サクラ サクラ

えっと…肺呼吸をしていないので、肺のかわりに胎盤でガス交換するんですよね。

博士 博士

その通り。だから胎盤と胎児を結ぶ血管が重要になる。それが臍帯内の『臍動脈』と『臍静脈』だよ。

サクラ サクラ

問題は『胎児から胎盤に血液を送るのはどれか』ですね。どう考えればいいでしょう?

博士 博士

血管の名前の付け方を思い出そう。心臓から出る血管が動脈、心臓に戻る血管が静脈だ。胎児の心臓から外(胎盤)に向かう血管は『動脈』の名がつく。

サクラ サクラ

つまり臍動脈が胎児から胎盤へ!正解は選択肢3ですね。

博士 博士

正解。臍動脈には酸素の少ない静脈血が流れているが、『心臓から出る血管』だから名称は動脈なんだ。

サクラ サクラ

臍静脈は逆方向ですか?

博士 博士

そう、胎盤で酸素と栄養を得た動脈血が臍静脈を通って胎児に入る。流れている血液の性質ではなく、流れる方向で動静脈が決まる点がポイントだ。

サクラ サクラ

胎児循環には特殊な通り道があると聞きました。

博士 博士

3つの短絡がある。①肝臓をバイパスする静脈管(アランチウス管)、②右心房から左心房へ血液を送る卵円孔、③肺動脈から大動脈へ血液を送る動脈管(ボタロー管)だ。

サクラ サクラ

なぜそんな短絡が必要なんですか?

博士 博士

胎児の肺は呼吸していないため、肺へ血液を送る意味が薄い。肺循環をスキップして全身に酸素豊富な血液を送るための仕組みなんだ。

サクラ サクラ

出生後はどうなるんですか?

博士 博士

臍帯が切離され、第一呼吸で肺が拡張すると肺血流が増え、卵円孔・動脈管・静脈管は閉鎖する。動脈管は動脈管索、静脈管は静脈管索、卵円孔は卵円窩と呼ばれるようになる。

サクラ サクラ

臍帯の血管は通常何本あるんですか?

博士 博士

臍動脈2本と臍静脈1本の計3本が原則。単一臍動脈は先天異常との関連が指摘されている。

サクラ サクラ

総頸動脈と肺動脈は胎盤方向への流れには関わらないんですね。

博士 博士

その通り。総頸動脈は頭頸部へ、肺動脈は肺(または動脈管経由で大動脈)へ向かう血管だ。

サクラ サクラ

方向を意識すれば混乱しませんね!

POINT

胎児循環では胎盤が肺と肝臓の代わりとなり、臍動脈が胎児から胎盤へ静脈血を、臍静脈が胎盤から胎児へ動脈血を送ります。血管名は流れる血液の性質ではなく方向で決まる点がポイントです。胎児循環には静脈管・卵円孔・動脈管の3つの短絡があり、出生後の第一呼吸とともに閉鎖します。総頸動脈・肺動脈は胎盤への血流には関与しません。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。

解説:正解は 3 です。胎児循環では肺と肝臓が本格的に機能していないため、胎盤がガス交換・栄養供給・老廃物除去の役割を担います。胎児の血液経路は、①母体から酸素と栄養を得た動脈血が『臍静脈』を通って胎児に入る、②肝臓をバイパスする『静脈管(アランチウス管)』を経て下大静脈へ合流、③右心房から一部は『卵円孔』を通って左心房へ(体循環へ)、残りは右心室→肺動脈→『動脈管(ボタロー管)』を経て大動脈へ、④全身を巡った静脈血が内腸骨動脈から分岐する左右の『臍動脈』を通って胎盤へ戻る、という流れになります。つまり胎児から胎盤へ血液を送るのは『臍動脈』で、胎盤から胎児へ血液を送るのが『臍静脈』です。出生後は臍帯が切離され、卵円孔・動脈管・静脈管は閉鎖します。

選択肢考察

  1. × 1.  総頸動脈

    総頸動脈は胎児・成人とも頭頸部に血液を送る動脈で、胎盤方向への血流には関与しません。

  2. × 2.  肺動脈

    肺動脈は右心室から肺へ血液を送る血管で、胎児循環でも動脈管を介して大動脈へ流れますが、胎盤へ直接送るわけではありません。

  3. 3.  臍動脈

    臍動脈は胎児の内腸骨動脈から分岐し、臍帯を通って胎盤へ老廃物を含む静脈血を送る血管で、通常は左右2本あります。

  4. × 4.  臍静脈

    臍静脈は胎盤から胎児へ酸素と栄養を含む動脈血を送る血管で、方向が逆です。

臍帯内には通常『臍動脈2本+臍静脈1本』があります。単一臍動脈(SUA)は先天異常と関連する場合があり注意が必要です。胎児循環の3つの短絡『卵円孔・動脈管(ボタロー管)・静脈管(アランチウス管)』は出生後にそれぞれ卵円窩・動脈管索・静脈管索となり閉鎖します。

胎児循環における臍動脈と臍静脈の向きの違い、および胎盤の役割を理解しているかを問う基本解剖問題です。