感染制御チームICTって何するの?サーベイランスが鍵
看護師国家試験 第106回 午後 第10問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
病床数300床以上の医療機関で活動する感染制御チームで適切なのはどれか。
- 1.医師で構成される。
- 2.各病棟に配置される。
- 3.アウトブレイク時に結成される。
- 4.感染症に関するサーベイランスを行う。
対話形式の解説
博士
今日は感染制御チーム、通称ICTについて学ぶぞ。「Infection Control Team」の略じゃ。病院でどんな働きをするか知っておるかのう?
アユム
名前は聞きますけど…感染が広がったときに集まって対応する人たち?
博士
よくある誤解じゃ。ICTはアウトブレイク時だけ動くのではなく、「常設」で平時から日常的に活動しておるのじゃよ。
アユム
え、普段から何をしているんですか?
博士
大きく6つあるぞ。①院内ラウンドで感染対策の実施状況をチェック、②サーベイランスで感染発生状況をモニタリング、③職員教育、④抗菌薬適正使用支援(AST)との連携、⑤アウトブレイク時の調査・対応、⑥地域医療機関との連携じゃ。
アユム
サーベイランスって何ですか?
博士
継続的な監視・集計のことじゃ。例えば術後感染(SSI)、中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)、尿路カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、MRSAなどの薬剤耐性菌の発生率を定期的に測り、データに基づいて改善策を打つのじゃよ。
アユム
それで問題の正解は選択肢4なんですね。他の選択肢がダメな理由は?
博士
選択肢1の「医師で構成」は誤り。ICTは医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師を中心とする多職種で構成される。それぞれの専門知識が噛み合うことが強みじゃ。
アユム
それぞれの役割があるんですね。
博士
うむ。医師は臨床判断と抗菌薬選択、看護師(感染管理認定看護師CNICが中心)は現場の実践・教育、薬剤師は抗菌薬適正使用、臨床検査技師は微生物検査データの解析…と役割分担しておる。
アユム
選択肢2の「各病棟に配置」はどう違うんですか?
博士
ICTは病院全体を横断するチームで、各病棟に個別配置されるわけではない。ただし各病棟には感染対策リンクナースを置き、ICTと現場をつなぐ仕組みがあるのじゃよ。
アユム
リンクナースって初めて聞きます。
博士
病棟スタッフの中でICTと連携して現場の感染対策を推進する役割の看護師じゃ。ICTの手が全病棟に届かないので、現場密着の代表者を置く仕組みじゃな。
アユム
選択肢3の「アウトブレイク時に結成」は?
博士
これも誤り。常設でないと、予防的サーベイランスや日常教育ができぬ。アウトブレイクは「結果」であり、予防こそが本質。常設だから防げるのじゃ。
アユム
病床数300床以上って、何か意味があるんですか?
博士
診療報酬上「感染対策向上加算」が設定されており、300床以上の大規模病院では組織的な感染対策が求められ、専任のICTを置くのが一般的じゃ。加算の要件として連携カンファレンスの実施なども定められておる。
アユム
病院の規模によって体制が違うんですね。
博士
うむ。小規模施設でも感染対策は必要じゃから、地域の中核病院と連携して相談・指導を受ける仕組みも整備されておる。
アユム
最後に、看護師として知っておくべき基本は何ですか?
博士
スタンダードプリコーション(標準予防策)と感染経路別予防策(接触・飛沫・空気)、手指衛生の5つのタイミング、個人防護具の適切な着脱、これらがすべての前提じゃ。ICTの活動も最終的には現場のケア提供者の行動変容が鍵なのじゃよ。
アユム
ICT=多職種・常設・病院全体・サーベイランスが中核、バッチリ覚えました!
POINT
感染制御チーム(ICT)は医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師などの多職種で構成され、病院全体の感染対策を横断的に担う常設チームです。中核業務は院内感染サーベイランス、院内ラウンド、職員教育、抗菌薬適正使用支援、アウトブレイク対応、地域連携など多岐にわたります。300床以上の病院では診療報酬上の感染対策向上加算を背景に専任ICTが組織され、感染管理認定看護師(CNIC)が実働の中心を担うことが多いです。看護師は、標準予防策と感染経路別予防策を基盤としつつ、ICTやリンクナースとして組織的な感染対策に積極的に関わる姿勢が求められます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:病床数300床以上の医療機関で活動する感染制御チームで適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。感染制御チーム(ICT:Infection Control Team)は、医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師など複数職種で構成される多職種チームで、病院全体の感染対策を担います。その中心的活動のひとつが「感染症サーベイランス」で、院内感染の発生状況や薬剤耐性菌の動向、手指衛生遵守率などを継続的にモニタリングし、データに基づいて予防策の改善や介入を行います。診療報酬上「感染対策向上加算」(旧感染防止対策加算)として評価されており、300床以上の病院では専任のICT設置が一般的です。
選択肢考察
-
× 1. 医師で構成される。
ICTは医師だけでなく看護師・薬剤師・臨床検査技師などの多職種で構成される。それぞれの専門性を持ち寄ることが活動の強み。
-
× 2. 各病棟に配置される。
ICTは病院全体を横断的に管理するチームで、各病棟に個別配置されるわけではない。病棟には感染対策リンクナースなどが置かれ、ICTと連携する。
-
× 3. アウトブレイク時に結成される。
平時から常設され、日常的にラウンド・教育・サーベイランスを行う。アウトブレイク発生時に初めて動き出すのでは対応が後手に回る。
-
○ 4. 感染症に関するサーベイランスを行う。
院内感染や薬剤耐性菌の発生状況を継続的に監視・集計し、対策立案に活かすサーベイランスはICTの中核業務。
感染制御チーム(ICT)の主な活動:①院内ラウンド(週1回程度)で感染対策の実施状況を確認、②サーベイランス(手術部位感染SSI、カテーテル関連血流感染CLABSI、薬剤耐性菌など)、③職員への教育・研修、④抗菌薬適正使用支援チーム(AST)との連携、⑤アウトブレイク時の調査・対応、⑥地域医療機関との連携カンファレンス。感染管理認定看護師(CNIC)がICTの実働を支える中心的役割を担うことも多い。スタンダードプリコーションと感染経路別予防策(接触・飛沫・空気)の理解は、ICTの活動の基盤。
感染制御チーム(ICT)の構成と機能を問う必修問題。「多職種・病院全体・常設・サーベイランスが中核」と押さえる。
「患者の安全・安楽を守る看護技術」の関連記事
-
高齢者の転倒を防ぐ環境整備、やりがちなNGも解説
高齢者の転倒予防における環境調整の基本原則(段差解消・手すり設置・照明確保・安定した座面)を問う。
114回
-
病室の湿度はなぜ50%?乾燥と過湿のはざまで決まる「療養環境」の基本
病室環境整備における適切な湿度を問う必修問題。40〜60%(最適は50%)という基本的な数値を確実に押さえる。
114回
-
入院中の転倒・転落、内的要因と外的要因をどう見分ける?
転倒・転落の要因を「内的(患者由来)」と「外的(環境由来)」に分類できるかを問う必修問題。薬剤は内的要因の代…
114回
-
N95マスクが守る命—空気感染対策の最前線を理解する
空気感染予防の標準的な防護策を問う問題。N95マスクと陰圧管理がキーワード。
114回
-
無菌操作と清潔操作の使い分け
処置対象部位の常在菌の有無を判断し、無菌操作と清潔操作を正しく使い分けられるかを問う問題です。下気道は無菌と…
113回