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のどに詰まった!成人の窒息を救うハイムリック法のしくみ

看護師国家試験 第112回 午後 第21問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第21問

成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。

  1. 1.胸骨圧迫
  2. 2.人工呼吸
  3. 3.頭部後屈顎先挙上法
  4. 4.腹部圧迫法<Heimlich<ハイムリック>法>

対話形式の解説

博士 博士

今日は成人の窒息対応について整理するぞ。食事中に急に咳き込めなくなって顔色が真っ青になる、あの状況じゃな。

サクラ サクラ

食べ物を詰まらせて喋れない人、ドラマでもよく見ます。まず何をすればいいんですか?

博士 博士

意識があって呼吸ができない・声が出ない・両手で喉を押さえるチョークサインが出ていたら、完全気道閉塞と判断する。まず背部叩打法を5回ほど試み、効果がなければハイムリック法じゃ。

サクラ サクラ

ハイムリック法って、お腹を押す方法ですよね?どうやってやるんですか?

博士 博士

傷病者の背後に回って、片手で握りこぶしを作り親指側を臍のやや上、剣状突起の下に当てる。もう片方の手で握って後上方に素早く突き上げるのじゃ。

サクラ サクラ

お腹を押して、どうして喉の異物が出るんですか?

博士 博士

良い疑問じゃな。腹部を押し上げると横隔膜が上に追いやられ、肺が急に圧縮される。すると肺に残っていた空気が勢いよく気管を駆け上がり、人工的な咳のような力で異物を飛ばすのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、物理的に押し出すんじゃなくて、空気の流れで吹き飛ばすんですね。

博士 博士

その通り。だから胸骨圧迫や人工呼吸とは目的が全く違う。胸骨圧迫は心臓の代わりに血液を送るため、人工呼吸は酸素を送るため、頭部後屈顎先挙上法は気道を確保するためじゃ。

サクラ サクラ

選択肢を整理するとわかりやすいですね。ところで、妊婦さんや太った人にもお腹を押していいんですか?

博士 博士

妊娠後期や高度肥満者では腹部圧迫がしにくいし胎児への影響もあるので、胸骨下部を突き上げる胸部突き上げ法に切り替える。1歳未満の乳児には背部叩打と胸部突き上げを交互に行うのが原則じゃ。

サクラ サクラ

反応がなくなってしまったらどうするんですか?

博士 博士

すぐにCPR、つまり胸骨圧迫を開始する。圧迫で胸腔内圧が上がって異物が移動することもあるからの。圧迫30回ごとに口を開けて異物が見えれば指で取り除く、見えなければ闇雲に指を入れないことが重要じゃ。

サクラ サクラ

食物だけじゃなく、餅や飴、義歯なども原因になりますよね。高齢者では特に注意が必要ですね。

博士 博士

うむ。毎年正月に餅による窒息事故が多発する。予防として一口を小さく切る、よく噛む、食事中の会話を控えるなどの指導も看護師の大切な役割じゃ。

POINT

成人の窒息による気道異物除去の第一選択は腹部圧迫法(ハイムリック法)です。上腹部を後上方に突き上げることで横隔膜を押し上げ、肺内の残気を利用して異物を咳のように排出させる手技で、意識のある成人・年長児に適応されます。胸骨圧迫は循環維持、人工呼吸は換気補助、頭部後屈顎先挙上法は気道確保と、救命処置の各手技は目的が明確に分かれており、国家試験でも頻出のポイントです。反応がなくなれば直ちにCPRへ移行し、妊婦・乳児・高度肥満者では胸部突き上げ法など代替手技を用いる点まで押さえておくと、臨床現場でも落ち着いて対応できます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:成人の気道の異物除去を目的とするのはどれか。

解説:正解は 4 の腹部圧迫法(Heimlich法/ハイムリック法)です。窒息で気道が閉塞した傷病者の背後に立ち、剣状突起と臍の間の上腹部に握りこぶしを当てて後上方に素早く突き上げることで、横隔膜を一気に押し上げ胸腔内圧を急上昇させ、肺に残った空気で異物を咳のように吹き飛ばします。意識のある成人・年長児に用い、妊婦や高度肥満者・乳児では胸部突き上げ法や背部叩打法に切り替えます。

選択肢考察

  1. × 1.  胸骨圧迫

    心停止時に全身へ血液を循環させる手技で、気道に詰まった異物を物理的に排出することを目的としたものではない。ただし意識を失った窒息傷病者では結果的に胸腔内圧が高まり異物が移動することがある。

  2. × 2.  人工呼吸

    自発呼吸が不十分な傷病者へ酸素を含む空気を送り込む換気補助の手技。完全気道閉塞では空気が通らず効果が得られず、異物除去を目的とした手技ではない。

  3. × 3.  頭部後屈顎先挙上法

    舌根沈下で塞がった気道を確保するための基本手技であり、固形異物を排出させる目的はない。

  4. 4.  腹部圧迫法<Heimlich<ハイムリック>法>

    上腹部を後上方に圧迫して横隔膜を押し上げ、肺内の残気を使って気道の異物を押し出す、成人の異物除去の代表的手技である。

JRC蘇生ガイドラインでは、意識のある窒息傷病者にはまず背部叩打法を試み、効果がなければハイムリック法に移行する流れが推奨されている。反応がなくなった場合はただちに心肺蘇生(胸骨圧迫)へ移行し、胸骨圧迫30回ごとに口腔内を確認して異物が見えれば除去する。妊婦・高度肥満者では胸部突き上げ法、1歳未満の乳児では背部叩打と胸部突き上げの併用が原則となる。

成人の窒息時に行う「異物除去」の手技を選ぶ問題。救命処置の各手技(胸骨圧迫=循環、人工呼吸=換気、頭部後屈顎先挙上=気道確保、ハイムリック法=異物除去)の目的を混同しないことが鍵。