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滅菌手袋はいつ使う?無菌操作と清潔操作の境界線

看護師国家試験 第112回 午後 第22問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第22問

看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。

  1. 1.筋肉内注射
  2. 2.口腔内吸引
  3. 3.ストーマパウチの交換
  4. 4.尿道カテーテルの挿入

対話形式の解説

博士 博士

今回は看護技術でつまずきやすい『滅菌手袋を使うべき処置』について整理するぞ。

アユム アユム

注射の時は滅菌手袋じゃなくていいって聞いたことがあるんですが、本当ですか?

博士 博士

うむ。筋肉内注射や皮下注射、静脈採血は『清潔操作』で十分じゃ。針やシリンジが滅菌されており、皮膚を消毒してから穿刺するから、看護師の手袋は未滅菌のディスポで問題ない。

アユム アユム

じゃあ、滅菌手袋が必要なのはどんな時ですか?

博士 博士

体の中で本来『無菌』であるべき部位に器具や手指が触れる可能性がある時じゃ。代表例が尿道カテーテル挿入、中心静脈カテーテル挿入、腰椎穿刺、術野での介助などじゃな。

アユム アユム

膀胱って無菌なんですか?

博士 博士

そうじゃ。健康な人の膀胱内には細菌はおらず、尿も膀胱内では無菌じゃ。外尿道口付近には常在菌がいるので、カテーテルを通す時にこれを膀胱に持ち込まないよう無菌操作が必要になる。

アユム アユム

カテーテル関連の感染って多いんですか?

博士 博士

CAUTIといって、院内感染の中でも非常に頻度が高い。カテーテル留置が長引くほどリスクが上がるので、必要最小限の期間にとどめ、早期抜去を図るのが感染対策の基本じゃ。

アユム アユム

口腔内吸引はどうなんでしょう?口の中は汚そうですが…

博士 博士

そう、口腔内は常在菌の宝庫で元来無菌ではないから、清潔操作で十分じゃ。ただし気管内吸引では下気道が本来無菌部位なので、滅菌手袋と滅菌カテーテルを使うのが望ましい。

アユム アユム

ストーマパウチの交換は?

博士 博士

ストーマは腸管粘膜が体表に出たもので、腸内容(便)が常に触れている部位じゃ。つまり無菌ではないので清潔操作でよい。未滅菌手袋で排泄物による汚染を防ぎながら交換する。

アユム アユム

なるほど、『その部位が本来無菌かどうか』で判断するんですね。

博士 博士

その通り!血管内、膀胱内、髄腔内、関節内、下気道、閉じた創部は無菌部位。皮膚表面、口腔、鼻腔、消化管、開放創はもともと菌がいる。ここを押さえれば判断に迷わなくなるぞ。

アユム アユム

滅菌手袋を着ける前の手指衛生も忘れちゃいけないですよね。

博士 博士

その通りじゃ。手洗い・擦式アルコール消毒をした上で、袋の中で汚染しないように装着する。WHOの『手指衛生の5つのタイミング』も合わせて覚えておくといい。

アユム アユム

処置ごとに何を使うかしっかり整理して、実習に備えます!

POINT

滅菌手袋を用いた無菌操作が必要なのは、本来無菌である体内部位へ器具や手指が触れる処置です。尿道カテーテル挿入は膀胱という無菌部位に器具を通すため、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)を防ぐ目的で滅菌手袋・滅菌ドレープ・滅菌潤滑剤を用います。一方、筋肉内注射・口腔内吸引・ストーマパウチ交換はいずれも清潔操作で対応可能であり、未滅菌手袋で標準予防策を守れば十分です。『処置の対象部位が本来無菌か』という視点が、清潔操作と無菌操作を見分ける最大のポイントになります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:看護師が行う処置で滅菌手袋を使用すべきなのはどれか。

解説:正解は 4 の尿道カテーテルの挿入です。膀胱内は本来無菌が保たれるべき部位であり、外尿道口から侵入する細菌が尿路感染症(CAUTI:カテーテル関連尿路感染症)の原因となります。そのため挿入時は滅菌手袋を装着し、滅菌野で無菌操作を徹底する必要があります。

選択肢考察

  1. × 1.  筋肉内注射

    穿刺部位の皮膚を消毒し、滅菌された注射針・シリンジを使えば清潔操作で十分で、滅菌手袋は不要。標準予防策として未滅菌の使い捨て手袋を用いる。

  2. × 2.  口腔内吸引

    口腔内は常在菌が存在し元来無菌ではないため、未滅菌手袋とディスポーザブル吸引カテーテルによる清潔操作でよい。気管内吸引では滅菌手袋や滅菌カテーテルが望ましい。

  3. × 3.  ストーマパウチの交換

    ストーマは腸管粘膜が体表に出たもので無菌部位ではなく、パウチ交換は清潔操作で行う。未滅菌手袋で便や排泄物からの汚染を防ぎながら実施する。

  4. 4.  尿道カテーテルの挿入

    膀胱内は無菌であり、カテーテル挿入時に細菌が持ち込まれると尿路感染症を起こす。滅菌手袋・滅菌ドレープ・滅菌潤滑剤を用いた無菌操作が必須。

無菌操作が必要な代表的処置には、尿道カテーテル挿入、中心静脈カテーテル挿入、創傷処置(創部が開いている・無菌部位)、腰椎穿刺、関節穿刺、手術介助などがある。逆に、筋肉内・皮下・静脈内注射、末梢点滴ルート確保、採血などは清潔操作で足り、未滅菌手袋を使うのが標準である。滅菌手袋装着前の手指衛生(手洗いまたは擦式アルコール消毒)も忘れてはならない。

処置の目的部位が「無菌であるべき体内」か「もともと細菌が存在する部位」かを見分ける問題。膀胱内は無菌部位であるため、尿道カテーテル挿入は滅菌手袋を用いた無菌操作が原則となる。